第1話 個性豊かな変人共!?
昼休憩……。午前の授業と、午後の授業の狭間にある長い休憩時間の事なのだが、俺にはそんなものはない。
「星雲! 一緒に食べない?」
「そうよ、星雲さん。ぼっち飯するなら、私達と食べましょ。どうせ一緒に食べるような友達居ないでしょ」
「星雲くん……。食べよ?」
このように、疲れる要因ABCがこぞって誘ってくるからだ。傍から見たら、ハーレムで羨ましいとか思っている奴もいる。ほんと、そう思うなら代わってほしいものだ。
「俺は、一人がいいんだが」
「一人……、便所飯。トイレでナニをしながら食べる気なの?」
「何もしねえよ! 普通に昼飯食うだけだよ!」
「何故、そんなに声を上げて反論してくるの? まさか、ナニを別のナニと勘違いしてるの? 興奮してるの?」
「ああ、興奮してるよ。お前へのいかりでな!」
「私に興奮してるの? きゃー、助けて狼が襲って来るぅ」
「襲わねえよ!」
なにがなんでも、時雨だけはない。誰が、好き好んでこいつを襲わなきゃならんのだ。
「何言ってるの星雲、一緒に食べたほうが楽しいし、私も殴れてストレス発散出来るし、一石二鳥だわ」
「お前こそ何言ってるんだ、俺は殴られたくないから」
「なんで? 星雲って、私に殴られるために生まれてきたんでしょ?」
「そんな事の為だけに生まれたとしたら、俺は身を投げる」
殴られて、一生を終えるくらいなら死んだほうがマシだ。
「冗談だって。ご飯一緒に食べよう、お願い」
「断る! 俺はトイレで食べるんだ!」
そう宣言して、逃げ出そうとしたその時、水羽が裾を掴んだ。
「離してくれ、頼むから!」
「一緒に……食べよ」
「でかした、水羽!」
漆原立ち上がり、紐で俺の腕を縛り始めた。
「おい、これはどういうつもりだ!」
「これで、星雲は逃げれない。私達と食べる以外道は無いわよ」
「やり方がきたねえ……」
このまま走って逃げたら、縛りプレイの好きな変態というレッテルが、貼られてしまう。まあ、その前にすぐ捕まりそうだが。
仕方なく、俺は言うことを聞き席に大人しく座った。
「まあ、それでいいわ。じゃあ食べますか」
「いや、その前にこの縄を解いてくれよ。食べれないじゃないか」
「でも…………、解いたら逃げる」
もし、逃げたとしても流石にこの状態からだと、速効漆原に捕まるんだよな。
「いや、逃げない。心を入れ替えた、頼む水羽……な?」
「分かった……」
そう言って、水羽は素直に俺の縄を解いてくれた。
「なんで、俺がこんな目にあわなきゃならんのだ」
「逃げるから悪いんじゃない?」
「そりゃ、変人に誘われたら逃げたくもなる」
変態とストーカーとゴリラと一緒に昼飯を食いたいやつなんて、居るか?
「変人変人言うけどさあ。私のどこが変人なの? 言ってみ」
こいつ、まじで言ってるのか?
「まず、時雨。普通、そんな下ネタを連呼しない。なんだよ、生きがいが下ネタって。頭おかしいだろ」
「何がおかしいのか、分からないは。下ネタは、私の全てだもの」
それが、そもそもおかしいって話なんだけど……。
「次に、水羽。毎日毎日、ストーカーストーカー。なに、暇なの? たまに、怖いからねそれ。しかも、なんで男子トイレにまで入ってこようとするの!?」
「だって……ね。いや……だった? 嫌って言われても、やめないけど」
じゃあ、聞くなよ。ずっとストーカーされ続けたら、流石に嫌になる。プライバシーもへったくりもないからな。幸い、家にまで来てないだけマシか?
「最後に、漆原。暴力をやめろ、学校来てなんで大抵毎日俺を痛めつけようとするんだ。俺は、サンドバッグじゃねえ!」
「私は、星雲が泣くまで殴るのをやめないわ」
「ガッツポーズすんな!」
こいつの場合、本気でやりそうだから怖いんだよな。
「そういう、星雲くんはどうなの?」
「俺か? いや、特に普通だと思うが」
「星雲くんだって、毎日のように下ネタを叫び、授業を中断させ、挙げ句の果には、女の子をトイレに連れこもうとした、変人じゃない?」
「なんだと……。ふざけんな! 下ネタを叫んでるのは、お前が下ネタを言うからそれに反応してツッコんでるだけだ! 授業中の中断も、もとはといえばお前が中断させて変な事を言うからだろ! トイレに連れこもうとしたってのは、何度も言うが俺じゃなくて、勝手に水羽が付いてきたんだろうが!」
「人のせいにばっかしちゃ駄目でしょ」
「うがぁぁぁぁぁ」
頭をかきむしり、机に打ち付ける。なんで、こいつらと関わってるんだろう……俺。関わりたくなくても、あっちから関わろうとしてくるし、それどころか拒絶しても、むしろ近づいてくるし……。
どうすればコイツラから、離れる事が出来るんだろうか……。
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