第05話】-(その吸血鬼、ぺろりと舌を這わす
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
トゥエル・男性〉ギルメン、半分心は乙女
その他ギルメン〉カナタ、エテル、カルド
──────────
(紬/イトア視点 続き)
雪のような白髪に、子供にはそぐわない大人びた
「君を
「──⁉」
こんな子供が⁉ 同時に生まれる言葉遣いの違和感。私の考えを見透かしたかのように
「ああ、この姿のこと? 普段はこの姿の方が怪しまれないからね」
そう告げるとその
「──っ⁉」
私は目の前で起きたことに
その青年は、趣味の悪そうな柄のネクタイを締めたジレ姿をしていた。肌は白髪と同等に異常なまでに白く、
そんなにも不気味な雰囲気を
私は魅入られる瞳から首をふり無理やり
「公園でたまたま君を見つけてね。私のコレクションにしようと思って連れてきたんだ」
「こ、コレクション⁉」
「そうだよ。まさかこんな私好みの少女がいるなんて思わなかった。その服もとても似合っているね」
「あ、あなたがこの……服を⁉」
私の顔が青ざめていく。こんな
私が怒りで手元をプルプルさせていると青年は
私はその鮮やかなまでの行為に今度は恐怖を覚えピクリとも動けなかった。そして青年は私の首筋に視線を移しじっくりと舐めまわすように見ているようだ。
「綺麗だ。首筋もこの身体も。早く私のものにしたい」
私の視線は一点を見つめたまま。こめかみから冷たいものを感じた。青年は
「君は特に気に入ったから、この部屋をあてがうことにした。何か
私の首筋につーっと舌を
──ゾクッ。
私は答えが分かっているはずなのに声を
「あなた……もしかして……
「フフフ」
青年は不敵な笑みを浮かべるだけで無言を貫く。そして。
「心配はいらない。最後は
私……
★ ★ ★
(トゥエル視点)
コツッ。コツッ。
「ケロちゃん、本当にこっちですの? こんな
頬をつきながら
公園で
廊下にはゴシック様式の大きな窓が隙間なく並び、その窓からは暗雲の隙間から
洋館の中は無数の部屋の扉があり、廊下には絵画や彫像、アンティークな壺などの
トゥエルはそれを見逃さなかった。
透かさず近くの柱の陰に身を寄せ、いつでも交戦ができるように戦闘の構えをとる。目を凝らしその足音の正体を
トゥエルに緊張が走る。
徐々にその足音は近づいてきた。しかも一人ではない。数人と追われる足音にさらにトゥエルの緊張は高まる。
声が聞こえてきた。
するとトゥエルの顔が引きつった。
「この
「お約束では地下に牢屋があってそこに人質とかいるもんだがなあ」
「お約束って、ゲームじゃないんですから……」
「カナタ、ゲームってなんだ?」
「いっいえ、なんでもありませんっ」
この間の抜けた会話の主達をトゥエルは
「「「おわっ‼」」」
突然の
「トゥエル⁉ なんでこんなところにいるんだ⁉」
「街に買い物に行っているはずですよね⁉」
「その言葉そっくりお返ししますわ。
「トゥエル、ここは
一瞬目を丸くしたトゥエルはすぐに顔を
「なんですって‼ どうして
両手を頬にあて
「それにしてもその小さな犬は何ですか? 普通の犬には見えませんけど……」
カナタが
「あ、これはケルベロスのケロちゃんよ」
何くわぬ顔でトゥエルは答えた。
「ケルベロスって……あの黒竜を倒した時に召喚した時のですか?」
「そうですわ。
確かに頭が三つもあるのだからそこら辺の犬よりも
「……ということはここにイトアが?」
「そうなりますわね」
話の
「それなら丁度よかった。俺たちは
カルドはここぞとばかりにトゥエルに提案を持ち掛ける。
トゥエルは肩をすくめ。
「仕方ありませんわね」
四人は二手に分かれて
(続く)
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