第04話】-(あられもない姿
〈主な登場人物〉
紬/イトア・女性〉この物語の主人公
カナタ、エテル〉主人公に想いを寄せるギルメン
カルド・男性〉ギルドマスター
──────────
(カナタ視点)
「この臭いなんとかなりませんかね」
服の
足元には汚水が流れ鼻をつくような臭いが漂っている。丸々と太ったネズミが時折横切っていく。丸く長い空間は出口などないのではないかと思うくらい果てしなく続いていた。
「我慢してくれ。下調べではこの下水から
カルドは
「というか、場所まで分かっているのなら他の冒険者達が既に行っているのではないですか?」
カルドの後ろを歩いていたカナタが
「ああ、他のギルドの奴らも討伐に行ったんだが、誰も帰ってこなかったらしい」
「え……」
カルドは涼しい顔でさらっと
「カナタ、君はまだカルドの事をよく知らないと思うけど、カルドはお金に目がないところがあるんだよ。皆が帰ってこないということは? それだけ報酬があがる。まあ、その埋め合わせがこっちに回ってくるというわけさ」
エテルは両手をあげ「やれやれ」と顔を振った。
「あはは……」
カナタはその様子を見て口を引きつらせ空笑いを浮かべた。
「おいおい、そんな言い方やめてくれ。これもギルドを
カルドが背中越しに
そして話の話題は
「それにしても幼女と少女しか狙わないなんて悪趣味ですよね」
「ああ、
「つまり、
言葉足らずなカルドの説明にまたもやエテルが補足を加えた。少なくともカナタが生きてきた人生の中で「
「……言えてますね。早く
「そうだね。さっさと
またしてもエテルの余計な一言にカナタが噛みつく。
「その下心、見過ごせませんね」
「お、あった、あった。この扉だ。ここから入るぞ」
そんな二人の
「この扉から
「はい。はい」
少し面倒臭そうにエテルは言うと剣で木製の扉に
★ ★ ★
(紬/イトア視点)
「う……ん」
頭が痛い。私はどうやら眠っていたらしい。
気が付くと私は見知らぬ部屋にいた。
「……へ? ここどこ⁉」
確かトゥエルと買い物というか荷物持ちをしていたはずなんだけど……。
私は頭を左右に振り辺りを見渡す。
そこはなんとも
赤い壁に赤い
出窓からは怪しい
さらになにより驚いたことは──。
「え…… 何この格好⁉」
私は
私は足の付け根ほどしかない丈の短いワンピースを身に着けていた。
その生地は薄くうっすらと下着が透けている。細い肩ひもは腕やうなじ、背中の肌をむきだしにし、胸元はかすかな谷間を作り、太ももから足先にかけては何も隠すものもなくあらわに。
現実世界の言葉で例えるならば、ベビードールという
知らない場所にいるだけでも頭が混乱しているのに、さらにはこんな
そして直視できなかった疑問を自分に問う。
これ、誰が着せたのだろう⁉
「いやああああああ⁉ 考えたくない‼」
嫌でも突き詰められる現実。私の停止していた頭がフル回転を始める。頭を抱え、のたうち回っていると私を呼び止める声が聞こえた。
「目を覚ましたかい?」
「え⁉ だ、だだだだれ⁉」
私は
そこには──。
一人の幼い男の子が部屋の扉の前に立っていた。
(続く)
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