第214話
ヒロインが猫の真似をするアイディア。
さっそくマンガに取り入れてみるか。
猫パンチしてきて……。
布団にくるくる包まって……。
動けなくなって、にゃ〜にゃ〜鳴いている。
よしよし。
女の子を観察していると、ネームがはかどるな。
一息ついてペンを置いたとき、アキラの携帯が、ぴろりん♪ と鳴った。
「誰から?」
「当ててみなよ」
「う〜ん、アキラが出題してくるってことは、四之宮先生だな」
「お、当たり。すごい、すごい」
メッセージを見せてもらった。
驚いたことに一切の
『今日のアキちゃんのパンツ、何色?』
とストレートに質問している。
四之宮レン⁉︎ お前もか⁉︎
『今日は白ニャンコの日だよ』
『(/・ω・)/にゃー!』
アキラも普通に返している。
『奇遇だね』
『私も白ニャンコ』
『これって運命かな?』
『白ニャンコ同盟』
『でれでれ』
なんなの?
君たち、そういう仲なの?
『アキちゃんに会いたい……』
『会いたい……会いたい……会いたい……』
『骨がぎしぎし鳴っちゃうくらい強く抱きしめてほしい』
『チラッ』
『いま一人?』
『いや、リョウくんと一緒』
『……』
『…………』
『………………』
怒ってる⁉︎ 怒ってる⁉︎
メチャクチャ
この無言の圧よ……。
『もしかして、
『アキちゃんは、私とカナタ先生……』
『どっちが大切なの?』
きた〜!
究極の二択みたいなやつ!
『レンちゃんが一番大切だよ』
へぇ〜。
迷うことなくレンかよ。
「おい、アキラ」
「ごめん、ごめん、同率一位にさせてちょうだい」
「お前、女たらしのホストみたいだな」
「もしかして、怒った?」
「いや……別に……」
まあ、いいや。
アキラは人気者だからな。
うつくしい景色と一緒で、独り占めすることは不可能に近い。
『前回の読者アンケート……』
『はじめて斬姫が1位を取りました』
『おおっ!』
『すごい! すごい!』
アキラがあっぱれのスタンプを送る。
『ご褒美……』
『欲しい……』
『というか、アキちゃんが欲しい』
『近いうちにデートする?』
『いいの?』
『リョウくんに確認してみます』
アキラはリョウの鼻先に携帯を突きつけながら、
「というわけで、今度デートしてきてもいい?」
とNOをいわせぬ語気で迫ってきた。
男性諸兄には覚えておいてほしい。
女の子が『◯◯してもいい?』と尋ねてきたときは、とっくに結論が出ており、別に男性の許可を求めているわけではないということを。
「遊んでこいよ。でも、デートなの? 普通に友だちと遊ぶ感覚じゃないの?」
「レンちゃんは僕に対して、とてつもない恋愛感情を抱いているのです」
「へぇ〜、それじゃデートだな。仕方ないな」
何いってんだ、俺は。
『リョウくん、いいってさ』
『やった』
『カナタ先生、ありがとう』
『どうせ、このやり取り、見てるよね?』
『アキちゃんは美品のまま返すから安心してね』
包丁を持ったヤンデレ娘のスタンプが送られてくる。
怖いよ、レン先生……。
一瞬、心臓がドキッとした。
「四之宮先生、病んでるオーラが出ているよな。アキラが襲われないか心配だぜ」
「大丈夫、レンちゃんは僕のことを傷つけないから」
本当かな?
リョウはやれやれと首をふる。
『あれが見たい』
『アキちゃんの男装』
『どうしよっかな〜』
『私、がんばってオシャレするから』
『ダメかな……』
『なら、いいよ』
『ありがとう』
アキラがニヤニヤしながらこっちを見てくる。
「なんでお前が嬉しそうなんだよ」
「だってさ、だってさ、僕の男装を見たいってさ。これはもう、レンちゃんの乙女心をドロドロのぐちゃぐちゃに溶かしてあげねば」
タチの悪いホストじゃねえか。
リョウがそのことを指摘すると、
「ホストか〜。レンちゃんがお客様になってくれたら、歌舞伎町ナンバーワンも夢じゃないな〜。なんたって、日本で一番稼いでいる高校生の一人だからな〜」
アキラは売れっ子ホストみたいに、
「やっぱり、妬いてる?」
「妬いてねえ……」
「あ、リョウくんが
「子どもじゃないから拗ねないよ」
「よしよし、好きなだけ僕に甘えなさい」
けっきょく、膝枕してもらった。
「でもさ〜、僕みたいに気ままな女と付き合えるリョウくんは、人間として優秀だと思うんだ〜」
「ニャンコみたいな性格だよな、本当に」
アキラのこういう部分が好きなんだよな〜。
とか思っちゃうリョウは、甘いのだろうか。
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