第41話
会いたいと思った女子から連絡がきた。
おのずとテンションが高くなる。
『ちょうどヒマしていたところ。どうしたの？』
ポチッと送信。
『ヒマがあったらマンガを描きなさい（怒）』
うわっ。
普通に怒られた。
単なる励まし？
それとも悪ふざけ？
女の子って、なにを考えているのか、時々わからない。
『うそうそ、冗談』
『昨日話していた浴衣の件』
『家で試しに着てみました。じゃじゃ〜ん』
ポンポンポンッと写真が送られてくる。
一枚は前から、一枚は横から、一枚は後ろから撮影したやつ。
快晴を切り抜いたような生地の上で、きれいな金魚が泳いでいる。
青と赤のコントラストが美しい。
『メッチャかわいい』
ポチッと送信。
『浴衣がかわいいって意味？ それとも僕がかわいいって意味？』
うぅ……。
また答えにくい質問を。
『どっちもかわいい』
赤面しつつ送信。
いいね！ のスタンプも付けておいた。
『きゅんきゅん』
猫のスタンプが送られてくる。
アキラ。
ちゃんと夏祭りを意識しているんだ。
けっこう嬉しい。
検討するとは約束したけれども。
実際に行動してくれると、嬉しさもひとしお。
『本当はマンガ描いてた？ ごめん、邪魔だったかな？』
『今日のノルマは達成したから大丈夫。もう腕がヘトヘトだよ』
『おおっ！ えらい！ えらい！ 何時間やったの？』
『14時間くらい』
『すごっ！ どうしたの⁉︎ やる気じゃん⁉︎
いえない……。
悪夢のせいで創作欲に火がついたとか。
恥ずかしいからアキラには秘密。
『夏休みの魔法』
『なるほど笑』
『アキラは何してた？』
『今日は本を読んで、夏休みの宿題をやって、家で映画を観たかな』
『やべぇ……夏休みの宿題、忘れてた』
『まだ二日目だから。今度、一緒にやろう』
次にデートする約束。
この流れで取り付けておくか。
『またショッピングモールへ出かけるか。映画が安くなる日にさ』
『そうしよう。リョウくんのマンガの参考になるしね』
『おすすめ映画があったら、また紹介してくれ』
『僕に任せなさい！』
キスマークのスタンプが送られてくる。
天使様かよ。
『金魚の浴衣って、前から持っていたやつ？』
『うん、買ったのは二年前かな。着るのは今回が三回目です』
『他にも持っているの？ お花の柄のやつとか？』
『あるけどな〜、サイズが合うかな〜』
『背が伸びたんだ？』
『うむ、あと胸とか』
えぇ……。
しれっと胸の話になった。
マジか。
ドキドキする。
いや、でも、思春期の女の子なら成長するのが普通なわけで……。
『他に待っている浴衣はね、アサガオのやつでしょ、風車のやつでしょ、バラのやつでしょ。あと帯が三本あります。バラのが一番かわいいけれども、サイズが小さいかなぁ……シクシク』
いいな〜。
アサガオとか気になるかも。
『もしかして、いま、浴衣を着ている？』
当たり
ところが……。
あれ……。
待っても待っても返信がこない。
既読マークはついているのに。
お〜い、アキラさん。
睡眠薬でも盛られた？
うっかり寝落ちしちゃった？
お手洗いだろうか。
トイレに携帯を持っていかなさそうだし。
モヤモヤ、モヤモヤ。
焦らし作戦？
まさか焦らし作戦なのか？
それは小悪魔すぎやしませんかね。
効果はバツグンなのですが……。
モヤモヤ、モヤモヤ、モヤモヤ。
こんなに胸が苦しいのか。
メッセージを放置されるの。
相手が親なら何とも思わないのに。
やっぱり恋か。
これを恋といわずして、何を恋というのだ。
くそぅ……。
10秒に1回くらい携帯を見ちゃう。
意味はないと理解しているのに。
腕が
ああっ！
来い！ 来い！ 来い！
頼むから返事をくれ！
このまま一日終わるとか、気になって寝られない！
モヤモヤを忘れるため、マンガを描こうとしてみた。
しかし、ペンがまったく進まない。
ならばとマンガを読んでみた。
ところが、内容が頭に入ってこない。
ごごごごごぉ〜。
やべぇ、病気だな。
「ああっ！ もうっ！ 果報は寝て待てだ！」
横になってから数分後。
ピコン！
リョウはベッドから跳ね起きる。
アキラからの返信だ。
動画ファイルが一本届いている。
その他、一切のメッセージはなし。
「なにこれ？ 動画だけ？ また俺を
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