第119話 閑話 日本にいる時

日本にいる時。

とあるクリスマス前。


チカは友達のサチと帰宅中。

「ねぇチカ、クリスマスはどうするの?」

「うん?たぶん家で過ごすよ。」

「それならクリスマスパーティーしない?」

「クリスマスパーティーってメンバーは?」

「サッカー部と私達料理部でやろって話。」

「サッカー部って男の人も呼ぶの?」

「あたりまえじゃん、それにサッカー部はイケメン多いからみんな期待してるんだよね。」

「ごめんね、私はいいや。」

「お願い!チカ!チカが参加してくれないとこの話が流れちゃうの!」

「なんでよ~!」

「サッカー部の部長がチカ狙いなんだと思うの。絶対って念押しされたし。みんなを助けると思ってね。」

「うう、あんまり気が進まないよ。私にその気はないし。」

「ねぇ、チカも彼氏いないでしょ?この機会にね。」

「彼氏はいないけど、好きな人ならいるの!」

「えっ?だれ?同じ学校の子?」

「違います。秘密です。」

「うー、気になるけど、でも同じ学校じゃないならパーティーしても問題ないよね。みんなもいるし。」

「はぁ、仕方ないな、一次会だけだよ、それに早く家に帰らないと行けないから遅くまではいないよ。」

「ありがとう!わかってるって。あっ!それとプレゼント交換するから用意よろ!」

「あー後から言ったね。ズルいよ!」

「もう、オッケーもらったもんね♪」

「サチのひきょーものー!」


パーティー当日、

「ねえサチ、会場ここであってるの?」

「あってるよ、メンバーのお父さんの店なんだって。」

「ここ居酒屋じゃない、まずいよ!」

「アルコールは無しだから問題ないよ、それに奥の個室だからばれないし。」

「やだなー。」

「今さらキャンセル出来ないからね。さぁ早く入らないとホントに補導されちゃうよ。」

サチに促され中に入る。

「チカちゃん、サチちゃんいらっしゃい!」

サッカー部の男子も料理部のみんなも既に揃っていてチカ達が最後だった。

「遅くなってすみません」

「いいよ、まだ時間前だしね、さあ全員揃ったところではじめよー」

席は男女混合でチカの横にはサッカー部長のケンゴがいた。

「チカちゃん今日はよろしくね」

「はい、よろしくお願いします。」

「固いね、もっとフレンドリーにいこうよ。さあ、飲み物何にする?」

「えーと、烏龍茶でお願いします。」

「チカちゃんは休みの日、何してるの?」

「えーと、普通に過ごしてますよ、料理したり、読書したりしてるかな?」

「いいね、家庭的だね。今度俺に食べさせてもらえない?」

「いや、ちょっと・・・」

「大丈夫だよ、失敗しても美味しくたべるから。」

「おい、ケンゴ、失礼だろ。チカちゃんが作る物が失敗するわけないだろ。」

「ヨウスケ、お前話に入ってくるなよ!」

「ケンゴにチカちゃんはもったいない、もっといい男なんてどう?」

「ははは・・・」

チカは乾いた笑いしかでなかった。


「しんどいな・・・」

チカはトイレに行くついでにゆっくり時間を潰していた。

「早く終わらないかな・・・はぁ、帰りたい。」


「あれ?チカ何してるの?」

チカが振り向くとそこにはユウヤがいた。

「ゆうちゃん!なんでここに?」

「いや、それ俺のセリフ、ここ居酒屋だよ?」

「学校の友達とクリスマスパーティーしてるのですけど、そのメンバーのお父さんのお店らしいです。」

「なるほど。それなら・・・いいのか?」

「それより、ゆうちゃんは何してるの?」

「あー俺はー」

「おい、ゆうちゃん早く戻ってこいよ。」

シンが顔を出す。

「なんだ、シンくんと呑みに来てたんだ。」

「まあね、俺達もクリスマスパーティー中なんだ。お互いに楽しもうね。」

ユウヤは自分達の部屋に戻ろうとする。

「待って。」

「何?」

「クリスマスパーティー?女の子もいるの?」

「いるよ、俺の主催の合コン、名付けて独り身クリスマスパーティーだ!参加資格は彼氏彼女のいないこと・・・だったんだ。」

「あれ?シンくん彼女いるよね?」

「あいつはどこかで聞き付けたみたいで勝手にきた・・・」

「あーなるほど。」

「おかげでパーティーはシンの独り勝ちだ。」

そこにシンがやってくる。

「何言ってるんだ、ゆうちゃんもミナちゃんといい感じに話してるじゃないか。」

「あれは幹事どうしの会話だよ。」

「またまた、そろそろ彼女の一人ぐらい作れよ。」

「シンくん。」

「何?」

「そんな危険な所にゆうちゃんがいていいと思いますか?」

チカの目は冷たくシンを見ていた。

「い、いえ、ゆうちゃんは居るべきではないかと。」

「わかっているなら、行動ですね。」

「はい、ゆうちゃん、ゴーホーム!」

シンは俺を押し帰らそうとする。

「シン、何を説得されてる!チカも冗談は止めてよ。幹事してるんだから帰れないよ。」

「むう、冗談じゃないのに・・・」

「あーこんなところにいた、チカ早く部屋に戻りなよ、男子が、気にしてるよ。」

「サチ、それどころじゃないの!」

「チカ、呼ばれてるよ。お互い部屋に戻ろ。」

「・・・いや!」

チカは泣きそうな顔でユウヤの腕を掴んで離さない。

「ゆうちゃん、おじょうの相手をするべきだと俺は思うぞ。」

「シンまで!はぁ、仕方ないな。俺達の部屋に来るか?」

「うん!」

チカは笑顔になった。

「そのかわり、ちゃんと今パーティーしてるところに挨拶してくること、あとおやっさんか姐さんにちゃんと俺達といると伝えること、いいね。」

「うん、わかった。ちょっと待ってて!動いちゃダメだよ。」

チカは呼びに来てくれた子の所に向かって行った。

「シン、俺はここにいなきゃいけないのかな?」

「戻ってくるまで我慢しろ。」

トイレの前で待機することになっていた。


チカは部屋に戻ってすぐに。

「すみません、用事が出来たのでこれで失礼しますね。これ今日の会費です。」

「ちょ、ちょっと待ってよ、まだ早いじゃん、もっと遊んで行こうよ。」

「すみません、絶対に外せない用事なんです。」

「チカ、それさっきの男の人と関係あるの?」

サチが爆弾発言をする。

「うん♪」

会場は男の悲鳴で溢れる。

「チカちゃん、彼氏いたの?」

「彼氏じゃないです。」

「その人とどんな関係?」

「うーん、なかよし?」

「いやいや、それじゃわからないよ。」

「お父さんの仕事関係の人なの!これでいい、待たせているから先に帰らしてもらうね。」

チカは足早に部屋を後にした。

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