第115話 帝国の動き

帝国の軍勢は宰相ポルナレフの名の元に多くの貴族が私兵を連れ参戦していた。

彼らの狙いは法国が滅びる際に持ち出された財宝をユウヤから奪い取る為、集まっていた。

ただ多くは烏合の衆であったが、兵の数だけは多く兵数差だけを考えれば戦争するのが間違っているといえた。

「見よこの軍勢を!陛下と言えども私を止めることは出来ない。」

「このまま皇都に上ったら・・・」

「これこれ不敬な事を考えたらいけないよ。」

「ただこの戦で勝てば帝国内に敵はいなくなりますな。」

「その通りだが、事が成功するまでは漏らしてはいけない。あくまで陛下の兵という名目なのだから。」

参戦している貴族も含め勝った後の事しか考えていなかった。


その頃、皇帝は、

「申し上げます、宰相閣下の元に八割の貴族が集まったとの報告がありました。」

「多いな、ワシの人望の無さがわかるなぁ。そう思うだろ、ジェンダー子爵。」

「陛下、お戯れを。これを機にいらぬ貴族を粛清しましょう。」

「大丈夫だ、参戦した愚か者どもは全滅するであろう、奴等は法国の末路を知らんのだ。」

「陛下、我等は大丈夫でしょうか?そのまま攻められると帝国の滅亡もありえますが・・・」

「それも大丈夫だ、ここにきてマリアに助けられておる。」

「マリア皇女殿下に?」

「うむ、マリアは魔皇帝ユウヤのお妃チカ殿と連絡を取り合う仲らしい、お陰で帝国に攻めて来ない約定を交わせた。」

「なんと!皇女殿下の先見の明は見事にございますな。」

「ただ、賠償金として参戦し、戦死した貴族の財産の半分を渡さねばならぬがな。」

「それは致し方無き事かと、しかも逃げ延びれば賠償から外れると考えるとかなり譲歩してくれていると考えれます。」

「まあな、だが逃がす気はないみたいだがな。」

「いても役に立たない貴族はいなくなってもらいましょう、もし逃げ延びれるような者は役に立つでしょう。ところで倉田殿は参戦なさるのですか?」

「既に向かっておる。貴族のクビを一番に上げると息巻いておったぞ。」

「貴族共も、不幸な事だ。私なら倉田殿とはやりあいたくないですな。」

「ワシもだ。」


「陛下、直轄の兵を準備させ、貴族領の制圧の準備をしておきます。」

「うむ、任したぞ。くれぐれも魔帝国とは争わないよう注意しておいてくれ。」

「はっ!かしこまりました。」

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