第63話 閑話 倉田に挨拶

「ねえ、ゆうちゃん倉田の叔父さん帝国にいるの?」

「えっ?な、なんのことかな?」

「ふーん、そうなんだね、あのね叔父さんにゆうちゃんと付き合いだした事を伝えたいな」

「うっ!チカ、俺を殺す気?」

「なんでそうなるの?叔父さん優しいよ」

「そりゃチカにはね~、うん、やめようよ」

「もう、そんなことは言ってこの世界に来て会ってないから挨拶ぐらいはしとかなきゃ」

「あの人は絶対無事だから会わなくても大丈夫、会ったら俺の命がヤバイ」

そこにおやっさんが通りかかった

「おや~何か楽しい話をしてますなぁ」

「やめて、おやっさん!来ないで!」

「おやおや、倉田に会いに行きたいと、そこまで言うなら会いに行きなさい、これは命令だ」

「いや~~~」

しかし、拒否権はなく倉田の元に行くことになった

・・・シンとカズマを巻き込んで

「なぁ、ゆうちゃんや、何故俺を巻き込む」

「お前しか対等に闘えないだろ」

「倉田さんはメンドイからなぁ~」

シンのテンションは低かった


「なぁ、ユウヤ、俺は見逃してもいんじゃないか?」

「やだなぁカズマ、死なばもろともだよ」

「てめぇー1人で死ね、おじょうに手を出したのはお前だろ!」

「カズマー見捨てないで、三人で殺ればきっとできる」

「あの人が簡単に殺れるか!」

カズマは逃げたそうだが、すでにアイテム縛竜索(目標を縛って捕える縄)によって捕獲していた


「三人ともなに叔父さんの悪口言ってるの?叔父さん優しいよ」

三人は冷めた目でチカを見ていた

「チカ、何かあったら助けてね」

心からの懇願をした


皇都に着き倉田がいる騎士団を訪れていた

「すいません、ここに倉田さんがいるはずなのですが取り次いでもらえませんか?」

ガタッ!受付の人は動揺していた

「き、きみ!悪いことは言わない、倉田団長に会わずに帰るんだ」

「そうしたいのですが、こちらも事情がありまして・・・」

「そうですか・・・わかりました案内いたします、ご冥福をお祈りしています」

しばらく歩き訓練所にでた

「今はここで殺戮・・・じゃなくて訓練を行っております、くれぐれも死なないようにしてください」

そういうと受付の人は急いで帰っていった

俺達三人は戦闘装備に変更して倉田さんに会いにいった

奥に行き、代表でシンが話しかける

「倉田の兄貴おりますか?若手筆頭シンが参りました」

「なんだ、シンか」

奥から鬼じゃなく倉田がでてきた

「御無沙汰しております、此方におられるとお聞きしたので参りました」

「そうか」

倉田の横薙ぎの一撃がきたのでシンは如意棒で受け止めた

「あぶね!倉田さん何をするんですか」

「ふん、腕はおちてないようだな」

「相変わらずムチャクチャだ!」

「叔父さん、元気ですか?」

「おーチカちゃんワザワザ訪ねてきてくれたのか」

チカの顔を見ると倉田は優しい顔になった

「あのね、今日は報告があってきたの」

「なんだい、叔父さんにいってみな」

「うん、私ねゆうちゃんとお付き合いする事になったの」

チカは満面の笑みで倉田につげた

倉田は怒りに満ちた目でユウヤを見た

「おい、どういうことだ!ユウヤ覚悟は出来ているな」

殺意を込めユウヤに話しかけていた

「叔父さんだめ、ゆうちゃんを責めないで、私は今幸せだから叔父さんにも祝福してほしいな」

「ぬぅ!ダイジョウブ、シュクフクシテル」

「よかった~ ねっ、叔父さんは話せばわかるんだから、みんな心配しすぎだよ」

その言葉にユウヤ達三人だけでなく周りの騎士も疑惑の眼差しを向けていた


「ユウヤ、せっかく騎士団に来たんだ、訓練でも受けていけ」

倉田の言葉に

「お断りします、私は文官ですので戦闘は必要ないかと」

「やかましい、チカちゃんを守る力があるか確めてやる、シン、カズマも来い」

倉田が剣を構えた為、三人はすぐ戦闘態勢に入る

「いい判断だ、チカちゃんは少しさがってなさい」

チカは言われるまま下がって、離れた所にいた銀次の所に行った

「さあ、遠慮なく来い」

ユウヤは迷わず雷公鞭を放った

「くらえ!」

雷が倉田を襲うが左手一本で受けきった 「なんで、受けれるの?あれ人間?」

「今さらだろ」

カズマはトライデントを振るい倉田を突く

それに合わせシンも如意棒で反対側から攻撃を仕掛けるが決定打を与える事は出来なかった

「もう、一発!雷公鞭!」

ユウヤが放った瞬間シンとカズマは呼吸を合わせ離れた

ドガン!

訓練所の地面が激しく吹き飛ぶ

土煙で倉田がいた辺りは見えなくなった

ユウヤはとっさに草薙の剣を腹の辺りに構えた

「ゴフッ!」

ユウヤに倉田のボディブローが炸裂した幸い草薙の剣で受けた為、死ぬ事はなかったがユウヤは意識を失い倒れた

「ゆうちゃん!」

チカは急ぎ駆けつけてくる


倉田はユウヤを倒したあと、カズマに襲いかかった

カズマも倉田に合わせカウンターで槍を突き出すが紙一重で躱され、突進してきた勢いのまま蹴りをくらい壁まで吹き飛ばされ意識を失った

「さて、シン、お前だけになったな」

「相変わらずムチャクチャな人だな、まあ、俺は他の二人みたいにはならないさ」

「生意気な説教だな!」

倉田とシンはお互いの距離を詰め、ゼロ距離で殴り合いを開始した

それは周囲の人から攻撃の動きが見えず、ぶつかり合う衝撃が空気を伝わって届くのみだった


そんななか、

「ゆうちゃん、大丈夫?銀次さんポーションを早く!」

チカは急ぎユウヤの看病を開始していた

意識を取り戻したユウヤは

「チカ、ありがとう、やっぱり倉田さんは強いな~」

しみじみと悟っていた

「おじょう、俺の看病もしてくださいよ」

カズマもポーションを貰い回復してからユウヤの所に合流した

そして、まだ闘ってる二人を眺め

「カズマ、あれどうなってる?」

「俺に聞くなよ、すでに理解を越えてる」

「どうやって止める?このままじゃ、この辺更地になるよ」

「銀次さんに任せよう、倉田の兄貴の担当だし」

会話に銀次が入ってきた

「やめてくれ、死んでしまう、ここは若い二人の出番だろ」

ユウヤは急に病人になり

「ゴホゴホ、さっきのケガで動けない、銀次さん俺の事はいい先に逝ってくれ・・・」

「ゆうちゃん!」

チカは心配して抱きついてくる

「ユウヤ嘘突くな!さっきまで元気だっただろ、さっさとおじょうと二人で止めてこい」

「えーーー」

「えーじゃない、もういいだろ怪獣大戦争はお仕舞いだ」

「ほっといたら何時か飽きて止まるよ」

「お前な皇都が失くなるだろ、頼むから止めて!後処理俺がするんだぞ」

泣きが入った銀次さんが可哀想になり

チカに声をかけてもらった

「二人ともやめなさーい!」

その声に二人が止まった

「もう訓練はおしまいです」

倉田とシンは顔を見合せ

「仕方ない、シン腕を上げたな」

「倉田の兄貴も更に人間やめましたね」

二人は爽やかな笑顔で会話していた

「ユウヤ、お前は接近戦を訓練しておけ、遠距離に頼りすぎだ!カズマは焦ると大降りの一撃に頼る癖を直せ、隙が大きすぎる、シンは・・・無いな、次は俺も強くなっておく」

三人に指摘をする姿はまるで指導しているようだった

周りで見ていた騎士は倉田の指導を生きて終えた三人に驚愕していた

そこに銀次が

「倉田の兄貴、マリアさまがお越しです、おじょうに挨拶をなされたいとか」

「なに?まあ、俺も世話になってるからな、チカちゃん今日は時間あるかな?」

「うん、あるよ」

「じゃあ、この後、食事でもしようか、そこで世話になってる皇女さんを紹介する」

「叔父さんにいい人?絶対いくー」


このあとの予定が決定したユウヤ達三人の意思は関係なく

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