第57話 スタンピート後

魔物を倒したあと、シンは住人に囲まれていた

「ありがとうございます、冒険者様、お陰さまで命が助かりました、このご恩は忘れません、」

「気にしなくていい、俺は報酬に釣られただけだ」

住人は思っていた照れ隠しだなと

そこにはこの街を治める男爵がきた

「シン様、ありがとうございます」

「かまわない、報酬は今晩いただくがかまわないか」

「勿論でございます、彼女も喜んでおります」

「なら、今晩に備えて少し休もうか、仲間が来たら別室で休ませてやってくれ」

「わかりました、出来る限りの歓待をさしてもらいます」


話はスタンピート前にもどる

ユウヤ、シン、チカ、キコはフランの街を出てから隣の街に着いた、普通なら馬車で1日はかかるが天鳥船だと1時間もかからなかった

街に入り、ユウヤとチカとキコは買出しに行った

ユウヤが戦える事もわかりシンは別行動をとることにした

「どっかにいい子はいないかなぁ~」

女あさりであった

チカとキコに手を出す訳もなく、禁欲生活は限界だった(1日たっていない)

するとメイド服を着た美女が冒険者ギルドに入って行った

シンは興味をしめし、追いかけてみた

顔を見るとメイドさんは二十歳ぐらいポニーテールが似合う綺麗な人だった

メイドは受付前で冒険者に演説していた

「冒険者の皆様に仕事を持って参りました、1人金貨1枚、手柄次第で増額ありの魔物退治のお仕事です、人数制限もありません、皆さま参加をお願いします」

1人の冒険者から質問が

「そんな甘い話は無いだろ、隠してる部分はどんだけやばい話だよ」

「隠してる訳でもありません、倒す敵はこの辺りに出る魔物です、ただ数が多い為、兵士だけでは足りないのです」

ベテラン冒険者が質問

「何匹いる?」

「偵察の話だと、およそ1万、この街に向かってきているそうです、現在領主様は籠城準備にかかっていますが戦える力がほしい為、皆さまにも協力を求めています、共に戦ってくれませんか?」

冒険者は顔を見合わす

「多すぎないか?俺は逃げさしてもらうよ」

「死にに行くのは嫌だな」

「悪いな」

否定的な意見が多かった、そこでシンは

「メイドさん、報酬で君がほしい、代わりに俺が街を襲う魔物を全部処理してやる」

全員がシンを見る

「あんたにそれができるのか?」

「出来る!で、どうなんだ?報酬になるのかならないのか?」

「報酬は成功報酬、誰もが納得出来る戦果を出した時です、戦果が少なければ金銭で納得してもらいます」

「それでいい、魔物が街の近くに来たら教えてくれ」

皆が不審に思いながらもメイドは成功報酬ならいいかと思った

そして、この事を領主に報告した

「ロンメル男爵様、冒険者の集まりは悪そうですが1人、腕に自信があるものが金銭ではなく報酬に私の身を要求してきました」

「なに、そのような要求など従う必要がない」

「それが、成功報酬でかまわないとそれも誰もが認める戦果で無ければ金銭でよいとの事でした」

「なに?実質求めてないのか?」

「自信がおありのようでしたので、本当に戦果をあげた場合はそのかたのもとに参りたいと思います」

「しかし、メイ、そなたは我が友の忘れ形見、そのような真似をする必要はない」

「いえ、今まで育ててもらった恩を返すためにも街を救っていただけるなら、それにそこまで強いかたの元に行くのもよいかと」

「ふぅ、わかったそなたがよいのなら頼めるか」

「喜んで、後は冒険者様が口ほどの実力で街を救ってくれればいいのですが」

「うむ、余程で無ければ金銭で片付けてしまおうか」


そして、翌日、魔物が接近してきた

領主は集めた冒険者と兵士の前で演説した

「今、街の命運は諸君達に預けられている、苦難の日になるが神は乗り越えられない苦難は与えられない、諸君達の奮闘に期待する!皆のもの配置につけ!!」

号令の元、全員が城壁の上に集まった、

「遠距離攻撃準備!指示が出るまで待機しろ」

兵士長が号令して回る

その中、シンは

「ゆうちゃん、付き添いありがとー」

「お前が街を救うなんて言うと思わなかったが・・・女か?」

「さすがーよくわかってる♪いい女がいてなメイドさん何だけどいっちょ惚れさせて美味しくいただくさ」

「あーそれで手柄か?」

「そだよ、まあやれるからいいけど」

「さて、そろそろ殺るか」

「おう!」

2人は戦意を高めた


遠目で領主はシンを確認していた

情報も調べたがあまり無くわかったのは街に入場時の名前ぐらいだった

「メイあれか?装備も普通そうだが?」

いささか拍子抜けしていたが2人が戦意を高めると目が離せなくなった

「なんだあれは、急に雰囲気が違う」

周りにいた兵士は腰を抜かしているようだった


シンは如意棒を巨大化して叩きつけた

「プレスせいこー」

無造作に単純に振り下ろすだけで百、二百の魔物が血の跡になっていた

「シン、今回は数で勝負だ、負けんぞ!」

ユウヤは袋から雷公鞭を取り出した

これは形あるものを雷で焼き尽くし粉砕できる高い攻撃力が売りの武器である

そして、雷公鞭を使い辺り一面を吹き飛ばした

「見たか、これが加減無しの俺の全力だ!」

疲れて膝をついたユウヤを見ながら

「やる~半数はいったかな?でも、制御はまだ甘いね、魔力ほぼ空でしょ」

「ちょっと、やり過ぎたかな、今は少し休むけど、頑張ればもう一発いけるよ」

「やめて、手柄おいといて」

「どうしよ~かなぁ~」

城壁の下で様子を見ていたチカにシンは声をかけた

「おじょう、大変だ、ユウヤが魔力を使いすぎている、早く保護してやって!」

「なっ!てめぇ、汚い手を!そうまでして勝ちたいか!(浮気したいか!)」

「なんとでも言え、卑怯、汚いは敗者の戯言だ、そこでチカちゃんの胸に抱かれながら自分が負けるところを見ておけ」

そう言うとシンは城壁を飛び降り突撃していった

入れ替わりにキコにのったチカが俺の所にきて俺は抱きしめられた


「なんなのですか?あれは?」

メイは混乱する頭で領主に問う

「わ、わしにもわからんが勝つ事には違いないだろう、メイが連れてたお陰だ、これで街の住人誰1人死ぬことはなく今日を乗り越える」

しかし、ロンメルは気づく、メイを冒険者に渡さねばならぬ事に

「メイ、すまない、このような戦果を見せられるとメイをあの者に与えねばならない」

「領主様、お気になさらず私もあのような方に貰われて幸せでございます、その目は憧れの英雄を見てるように熱を帯びていた」


「取りあえず、あそこで休まれてる方にお礼をいいに行こう、誠意ある対応をしなければ」

領主はメイを連れユウヤのもとに

「此度は街を救っていただき感謝します」

偉そうな人に挨拶され少し戸惑いながらユウヤは

「これは丁寧、自分は冒険者のユウヤ、こちらはチカとキコになります」

「ワシは領主のロンメルと言うこの度は貴公とシン殿のお陰で被害なく乗り越える事が出来ます」

「あー、俺の手柄はシンにつけておいてください、シンが言うから参戦しただけですし」

「なんと、よろしいのですか?」

「予算に余裕があれば他の冒険者や兵士に配ってあげてください、どうせシンは女性を要求しているのでしょう?俺達に予算がかからなければ少しは余裕ができるでしょ」

「感謝するが、シン殿が要求した彼女も納得してるのでお気になさらず、今晩は宴を開きますのでユウヤ殿もぜひ楽しんでください」

「わかりました」


戦いの後、街中が、宴になっていた、俺とチカとキコの三人は街を歩きながら飲み食いして楽しんでいた

「ゆうちゃん、シンくんどこいったの?宿も別みたいだし」

チカに聞かれたので

「詳しくは聞いてないけど、今晩は帰らないと思う、でも、大丈夫だよ、うん」

「それって、もしかしてエミさん怒ることじゃないかな?」

「チカ、詳しくは考えちゃダメ、俺達は何も知らなかった、そうだろ」

「もう、帰ったら怒られるよ」

「初めての街でイロイロあって、一晩はぐれてしまっただけだ」

「はぁ、そういう事にしときます」


あきれながらも見逃してもらった

帰ったらどうしようと思いながら

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