第53話 復活

どうやら俺は意識を回復するまで1週間かかったみたいだった、その際俺の袋に保管している物資が使えなく苦労したらしい

復活早々、みんなのお叱りが!

やれ、油断しすぎだの、1人でうろつくなだの、ベッドから逃がさないだの、なでてーだの、一方的な要求に回復仕切っていなかった俺は返事も出来ずただ聞くだけだった

それからさらに2週間がたち、やっと家から出ていいことになった

「長かった、これで俺はじゆうだー」

「違います、ゆうちゃんはしばらく近所の散歩だけですからね」

チカはどこに行くのも一緒に着いてくるようになった

「もう大丈夫、軽く剣も振るえるし」

「だめです、みんなにも止められているでしょ」

チカと会話をしながら、しばらく散歩し家に戻った、広間にシンとカズマがいたので今後の話し合いをしにいった

「シン、カズマやっと動けるから話し合いをしよう」

シンは

「もう大丈夫なのか?」

「カラダ自体はリハビリがいるかな?でも、頭は動くから話し合いぐらいは出来る、あと袋の使用も出来る」

「そうか、なら働いてもらうか」

「なにか、あるのか?」

「おう、お前が寝てるうちに、猫人、リザードマン、熊人が傘下に入った、今は家を分け合い共同生活をしながら住んでいるが大きめの家を何件か建ててくれるか?」

「りょうかい」

「ただ、1人で行くなよ、人を恨んでいる奴もいるみたいだから、必ず戦える奴と行くように」

「俺に自由は?」

「ない、油断で致命傷負う奴が悪い、おまえ二回目だぞ!」

「それを言われると弱いなぁ」

「次に食料の確保がいる、思ったより早く人が増えた為に収穫までの食料は最低欲しい、肉と魚ばかりじゃ味気ないだろ?」

「それも了解、でもどこに買いに行く?」

「この前の街に行く、せっかく商会と繋がりが出来たんだ利用さしてもらう、ただメンバーに俺とキコを加える」

「メンバーは俺とシンとキコ、チカはどうする?」

「行きます」

「今回は交渉に口出ししないと言う条件なら」

「もちろんです、反省してます、優しいだけじゃ大事なものは守れませんから」

「わかった、では明日の朝出発しよう、留守はカズマ頼んだよ」

「あいよ」


翌日、朝早くに出発し、昼前に俺達はフランに着いた

「さて、商会に向かいますか」

シンとチカとキコを連れ商会に、入る

「ミックさんいる?以前に商談してもらったのだけど」

「少々お待ちください」

奥からミックさんが走ってきた

「ユウヤさん、よくお越しに、待っておりました」

あまりの勢いに俺は引きつつ

「なんかありました?牙と鱗がいい値で売れた?」

「おかげさまで稼がしてもらいました、そんな事より、ユウヤさんは古竜の血をお持ちですか?」

「血?どれぐらいいるの?」

ミックの勘は持っていると確信した

「角を浸せるぐらい必要なのですが?」

角が話に出てきた事で領主の関与を感じた

「角か?なら無理だね」

「な、なぜですか?」

「ミックさん、伯爵の依頼だろ?伯爵には角を安く奪われたから取引しないと決めたから間接的だけど断る」

「そういわず、何とかなりませんか?」

「無理だね」

ミックはチラリとチカを見て

「伯爵様はお嬢様を助けたいのですが、角だけじゃ駄目だったみたいで、このままじゃ、チカさんが助けようとした命が無くなってしまいます」

「だからなに?そのお嬢様を助ける理由が俺にある?」

「チカさんはそれで良いのですか?お嬢様はまだ12才です、恋も知らぬお年頃そのような方が明日も知れない命、なにか、感じるものがあるでしょう」

「なにも?以前はありましたが反省しました」

「ミックさん、女に泣き落としは商人としてどうなの?以前は商人としての誠意があったから今後も付き合おうかと思ったがどうやら見込み違いらしい、今回の取引に誠意はないよなぁ」

ミックは自分の失態に気付いた

「お待ちを!」

「シン、この店は駄目だ、金か権力になびいて客を見なくなった」

「そうか?なら別の街にするか?」

「お待ちを、私はそのようなつもりはありません、ただ、若い娘が亡くなられる不幸をなんとかしたい一心です」

「じゃあ、ミックさんはそこらの貧民の子供助けてる?死にそうなのたくさんいたよ?」

「貧民の方とお嬢様を一緒に出来ません」

「でも、恋も知らないお年頃な人がいるよ、ミックさんの言葉だとなんか感じるものがあるんだよね?若い娘が亡くなられるのをなんとかしたいんだよね?さて、ミックさんは牙と鱗で大金を稼いだ、何人助けたかな?」

「い、いえ、助けては・・・」

「おかしいよね?俺達には見ず知らずの人を金銭関係なく助けろと言うのに、この街に住むあなたは助けない、そうなってくると身分の上下で助ける助けないを決めてると?」

「その通りですが、何が悪いのでしょう?伯爵様は仁政で知られているお方です、領地に住む民はみな尊敬しているお方です、その方が困っていたら何とかしたいのが人情でしょ」

「それを俺は否定しない、俺達もかってに生きてるし、しかし、義理のないましてや既に搾取された俺に情で訴えるのはどうなんだ?伯爵が何をしてようがかまわんが俺は既に敵と認識している」

「敵とはどういう事ですか?」

「金銭的に買い叩かれた為に仲間の1人が暴発したため処分した、わかるか?間接的だが、こちらは死人が出ている伯爵がどう出るかわからんが竜を倒せる集団を相手にどこまでやれるか見物だな」

ミックは商談どころじゃない早く伯爵に伝えて力ずくは止めねばと考えていた

「さて、交渉は終わったが、そろそろかな?」

ミックは不思議そうに聞いた

「何がですか?」

「うん?お前のとこの下の者が伯爵様を呼んでくる頃だろ?」

すると表が騒がしくなってきた

扉が開けられ伯爵が入ってきた

「いや~ミックくん商談ご苦労さま、商品はどこかね、いてもたってもいられなく来てしまったよ」

「ふーん?表に大量の兵士を連れてよく言うよ」

「ユウヤくんだったかな、さっさと渡してもらおうか?もちろん支払いは行うよ金貨百枚だ、感謝したまえ」

「ゆうちゃん、これが皆に慕われる仁政者か?」

「この世界じゃそうなのかもね?俺達と価値観が違うね」

二人で笑いあった

ミックは頭を抱えていた、金貨百枚なんて低い金額じゃ話にならない、どうにか伯爵様を止めなければ

「伯爵様、まだ交渉中でして金額のほうはお控えていただければ」

「なんだ、まだだったのか?早くしろ値引きはいいからこの額で了承させろ」

値引きじゃないんです~と言えればいいが

仕方ない

「伯爵様も直々に来ていただいてますし、この額で受けていただけませんか?お礼は必ずいたしますので」

「断る!いくら積まれても断るつもりだが・・・なぁ、馬鹿なのか?こんな金額で受けれるか?商人として最低な事をしている自覚はあるか?」

「それは・・・後で必ず」

「後で必ずは商売じゃないよな、まあ、あんたとはこれっきりかな?死にたくなければ俺達やアイツらから離れていた方がいいぞ」

「へっ?」

「さっきから聞いておれば、冒険者風情がワシの頼みを断るとは・・・」

「頼み?徴発じゃなくて?頭大丈夫か?」

「許せん、兵士よ、こやつらはワシに歯向かう大罪人だ、牢にぶちこんでしまえ」

「はっ、伯爵様はお下がりを」

伯爵は部屋から下がりかわりに兵士が入ってきた

「おっ?可愛い子いるじゃん、兵長、牢に入れたら楽しんでいい?」

「かまわん、手柄次第ださっさと捕まえて竜の血を取り上げるぞ」

「「「おー!」」」

兵士に勢いがつくが

シンは退屈そうに

「強そうなのがいないなぁ~」

「シン、任したぞ、俺とチカは戦えないから」

「あいよ、りょーかい、さっさと終わらして次の街いこーぜ、キコ二人を守れよ」

キコは気合い充分だった

「もちろんだ、ユウは弱ってるし、チカは戦えない、このチャンスにキコがフェンリルということを見せてやる」

「さあ、死にたいのはどいつかな~」

シンは如意棒をピンポイントで突くように伸縮させ近い相手から頭だけを吹き飛ばしていた

兵長はパニックを起こし混乱していた

「へっ?な、なにが起こっておる?なぜ頭がー」

その間も兵士の頭は消えていった

すると反対側の窓から兵士が突入してきた、

キコが仕止めようと動くと兵士の頭は消えていた

「シン、こっちもとったのか?」

キコは見せ場を取られ不満そうに言う

「あん?取ってねぇよ、こっちで遊んでいるだけだが?」

「こっちの兵士も頭がなくなる、あーまた消えたー」

キコはユウヤ(容疑者)の顔を見る、しかし、動いていない

「あれ?違った、ユウじゃない?」

混乱しているうちに目の前の兵士の首は無くなっていった

「キコのみせばー」

ユウヤは笑いながら

「ポメラニアンは戦うものじゃないよ?」

ユウヤは袋からフラガラッハを取り出し使用していた、この剣は自動で戦ってくれることに気付いたユウヤはいざというときに準備していたのだった、

「ゆうちゃん、ポメラニアンも狩猟犬だよ」

チカはユウヤに検討違いなダメ出しをするが聞いていなかった

「キコも戦うー」

見せ場を取られそうなキコは全力で加速し何とか倒していた

「くっ!早いな!」

ユウヤは敵ではない何かと戦っていた

その間にもたくさんの死体が部屋にたまった

その度に袋にしまい外に捨てていた

店先に兵士死体がたまっていく光景に何事かと街の人が集まってきた、そこでユウヤは屋根に立ち

「この街の領主は古竜の角を金貨千枚で巻き上げたのにも関わらず今度は古竜の血を金貨百枚でさしだせと命令してきた、断ると犯罪者に仕立て兵士をけしかけてきた、連れの女は兵士の慰み物にするつもりらしい・・・これがこの街のやり方か?この街の総意で希少なものは徴発しろ、余所者は犯罪者にして慰み物にする!そんな街なのか?だが、俺達は理不尽には従わない!その力がある!ただ街の決断じゃない自分はまともな人間だ!と言うものがいれば俺達に近づくな!俺達は虐殺したい訳じゃない、さっさと俺達から離れる事だ、今なら兵士諸君も見逃してやろう、さっさと逃げるがいい」

街の人は急いで逃げ出した

中には兵士の姿もあった

「さあ、シン、別の街に行こうか?」

俺の演説中にシンは伯爵を捕まえて手足を斬っていたようだ

「何してるの?」

「逆らえないように恐怖を植え付けてる」

「あっ、そう」

俺は趣味じゃないなぁと思いつつ、腰を抜かしているミックを見つけ

「ミック、次に俺達に会うときは覚悟しておけよ」

ちょっと脅し、倉庫をあさってから店を後にした

シンはあさったものが気になるらしく

「ゆうちゃん何取ってきたの?」

「根こそぎ♪俺達、盗賊家業の方が稼ぎ良かったりして」

あながち間違いではない事を口にしながら次の街を目指すのだった

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