拠点開発

第40話 新天地

王国から逃走した俺達は盆地を、目指して森を越えたところで険しい山にたどり着いた

「ゆうちゃん、この山越えは厳しくないか?」

「任せろこんな時こそ、神の袋の出番」

ごそごそ

「天鳥船」

「なんだこの船?」

カズマがユウヤに聞く

「えーと、鳥のように空を飛べる船らしい、これで山を越えよう」

「最初から出せば、楽に移動出来たのでは?」

カズマの問いにユウヤは目を反らした

ユウヤのコメカミをグリグリしながら

「ちゃんと、盗ってきた物は確認しとけ」

「カズマ、イタイ、イタイ」

「カズマくんその辺でゆうちゃんも反省してるから」

チカは止めるが

「おじょう、コイツは全く反省してませんよ」

「そうかも知れないけどやめたげてよ、痛そうだし」

「コイツは言ってるだけで効いてないですけど、まあ、おじょうが言うなら止めときます」

「ありがと、さあ、ゆうちゃん、気を取り直して行きましょ」

「チカだけだよ、優しいのは」

カズマに舌を出しながらチカに抱きついた

顔を真っ赤にして、ワタワタしながらチカは

「こんなところでダメだよ、明るいし、みんな見てる」

と問題発言をしていた

ワタワタしてるチカを見てシンが

「ゆうちゃん、倉田さんに見つかったら殺されるかもな」

「やめてシン!考えたくない、その為にも隠れなきゃ」

下らないことを言い合いながらみんな船に乗った

船は見た目は木造の和船だが中には入れる扉があり、中は30人が乗れる広さがあった

エミが「見た目と違うよね?こんな広さ無かったはず」

イヨ「なにも知らないのですね、空間魔法で作られた部屋なので船の見た目とは関係ないのです」

相変わらず二人の仲はよくなかった

ナオが「ユウヤさん、この船動かせるのですか?」

「なんか、動かし方は頭に入ってきたから大丈夫、さあ山越えをするぞ、出発だ」

ユウヤは先頭にあった操舵室に行き船を動かした

「さて、出発だ、お空の旅にゴー!」

ユウヤは運転を楽しんでいた

チカは横のイスに座り、空のドライブを楽しんでいた

それを見たタクミは

「シンさん、なんでしょうあの操舵室の空気、俺達の事見えてないのでは?」

「気にするな、あの二人はすぐ二人の世界を作る、なんでまだ付き合って(ヤって)ないのだろう?」

「歳の差じゃないでしょうか?中学生のおじょうに手を出したらまずいでしょ」

「まあ、世間体は悪いが、おやっさんも認めているし、なんか、娘が大人になった日に『お前も大人になったなぁ』って言ってやるて燃えてたぞ」

「なんすかそれ、おじょう絶対怒るでしょ」

「なに他人事みたいに言ってる?お前もタイミングが悪くその場にいたらやらされるぞ?」

「えっ?」

「あのおやっさんだぞ、だからみんなゆうちゃんとおじょうがデートした日はなるべく、おやっさんから離れているんだ、まあ、俺は言いたい側だから近くにいるようにしているが」

「やべぇ、気をつけておきます」

「まあ、あれだ、巡りあわせは運次第、気にするな」

雑談をしていたらユウヤから

「みんな山を越えたぞ、池のほとりに着地する・・・あれはなんだ?」

少し離れたところから何かこちらに向かって来ているようだった

「あれはドラゴンか?それっぽいぞ」

シンはそういうと剣を持って外に行こうとした

「シン!大丈夫だ、こんなこともあろうかと、

ポチっとな!」

槍が射出された、槍はすごい勢いで飛んでいきドラゴンを貫いた

「な、なんだあの槍は凄まじい威力だ」

「グングニルっていう槍、絶対当たって自動で帰ってくるから、船のミサイルにちょうどよし」

「なあ、ゆうちゃん、後で俺用の武器ちょうだい」

「シン用か?どんなのがいいか、考えておいて、いろんな武具があるから」

チカは飽きれながら

「ゆうちゃんどんだけ盗ってきたの?」

「あるだけ、貰った」

「ゆうちゃんいい笑顔だけどダメだよ~」

「チカ用のアイテムも一緒に探そ?チカの身も守らないとね」

「ゆうちゃん、プレゼントしてくれるの?」

「もちろん、似合うのが見つかればいいんだけどね~」

いちゃつき出した二人を操舵室に置いてシンは離れていった

ほどなくして、船は撃墜したドラゴンの近くに着地した、ドラゴンを神の袋に回収したユウヤがみんなにたずねた

「さて、回収はすんだけど、この辺を拠点にする、結構よくない?」

周囲を見ると池のほとりで平地が広く、住みやすそうだった

「そうだな、この辺にするか、ここなら追っても来ないだろ」

みんな荷物をおろした



「あ~つかれた~」

長時間運転していたユウヤは背伸びをしながらそういった

「運転お疲れ様、肩揉もうか?」

チカはユウヤの後ろに回り肩を揉み出した

「二人ともいちゃつくのは後にして、宿泊の準備始めるぞ」

シンに声をかけられ、ユウヤは

「あいよー、どの辺に住むかも考えないとね」

「ユウヤー、なんか家とかもアイテムにないのか?」

ふと、カズマが聞いてきた

ユウヤは「うーん」

神の袋を調べ始めた

「あったー日本式の家、って、なんでこんなの入っている???」

入れた覚えがないが便利そうなのでよしとした

「取りあえず出してみるか?」

「それが結構魔力喰う上に場所移動出来なさそうなんだよ、しかも、頭の中で部屋割りとかの設定もしなければいけないから付加がヒドイ、たぶん1日1件が限界かも」

「設計も出来るのか?親切仕様だな、取りあえず、あのあたりのちょっと高い場所に全員分の部屋がある大きめの家を建てて貰えるか?」

「大きめか~大変そうだがギリいけるかな?」

「それから少しずつ、周りを整備して各自の家を建ててもらおう」

「?みんなの部屋もある家を建てるのにさらに作るのか?」

「最初の家はいずれ、お前とおじょうの家にすればいい、まあ、集合場所や話し合いの場所にはなると思うがずっと一緒に住むのは気を遣うだろ」

「それなら全員分の家を建てるぞ、なんでチカと二人暮らし?」

「お前はおじょうを1人にしておくのか?何かあれば大変だ、そして、おじょうと一番気があうのはお前だから一緒にいろ」

「まあ、いいが、チカが嫌がったら他のプラン考えて護衛するぞ」

「ああ、それでいい(おじょうが嫌がるわけないし)」

「オーイ、チカ?ちょっと来てー」

「ゆうちゃん何?」

「なあ、落ち着いたら俺と二人で暮らさないか?」

「???にゃ!!!」

「ほら、カズマ嫌がってるじゃないか?」

カズマは笑いをこらえながら

「お前、その言い方・・・(コイツはなんでプロポーズしてるの?)大丈夫、おじょうは混乱してるだけだ少し待て」

「そうか?」

「そうだ!間違いないから答えを待ちなさい」

チカは顔を真っ赤にしながら深呼吸して答えた

「わたしで良ければお受けします、二人で幸せに暮らしましょうね」

「ありがと、いきなりで無茶な頼みかと思ったが受けてくれてよかったよ」

「はい、ふつつかものですがこれからも末長く宜しくお願いします」

カズマは必死に笑いを堪えていた

『絶対すれ違ってるのに、これもうプロポーズしてOK貰ったよね、やべぇ、みんなに知らせなきゃ』

「カズマ、そういうことになったから」

「わかったみんなに知らせてくるよ、若」

そういうとカズマはみんなに知らせに行った

「若?あいつは何を?」

ユウヤに対しての認識が変わった時だった


少し離れた場所、シンは木を切り広い場所を作っていた

「シン、大変だ」

「なんだカズマ?遊んでないで手伝え!」

「その前に話を聞け!」

プロポーズの事をシンに話しているとみんなが集まってきた

エミ「ユウヤやるー」

シン「おじょうのアピール凄かったし、この世界にきて、倫理観なくなったか?」

ナオ「目出度い、そうだ呼び方も変えたほうがいいか?」

リョウタ「そうだな、おやっさんの跡継ぎになったという事だよな」

カズマ「呼び方は若でいいんじゃないか?もう呼んだし」

タクミ「でも、おやっさんの許可がでるまではおじょうに手を出させないほうが?」

カズマ「タクミ未練だぞ、それにおやっさんからは向こうにいる時から許可は出ている、いつ大人になるかの賭けにも参加してるし、ちなみにおやっさんは14才の夏休み中で賭けてる」

タクミ「それどうなんですか!」

カズマ「二人の仲を認めているのだろ、ユウヤの事も子供みたいに可愛がってるし」

シン「何はともあれ目出度い、家はあの辺りか?みんな気合い入れて整地するぞ

「「はい!」」」


二人はみんなの話し合いを知らず新居の設計をしていた

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