第39話 閑話 銀次の受難 2
人生最高の土下座が決まった後、侯爵に呼ばれていた
「ヤマダ殿!なぜあのような真似を!貴方が戦えば息子の仇がとれたのに」
「侯爵さま、兄貴には勝てません、あのまま戦えば俺だけじゃなく侯爵さまも死んでいました」
「そ、そんな」
「あの人はもう人ではありません!以前より強くなってるみたいです、息子さんの御不幸はわかりますがあの人とは敵対してはいけません、今回俺の謝罪が通って助かっただけでも運がよいのです」
「私に泣き寝入りしろというのか」
其処にシルフィが入ってきた
「お父様、亡くなったアースお兄さまについてお話が」
「おお、シルフィ、不甲斐ない所を見せたな、だが必ず仇はとってみせる」
「お止めください、お兄さまが亡くなったの自業自得です、新任の騎士団長を馬鹿にし、軍規粛清の為に処刑されたそうです」
「しかし、普通は除隊ですむだろ、侯爵家の人間だぞ」
「関係ないと思います、あの方に皇帝陛下も暗殺を企てたそうですが失敗し、命を狙われ命乞いしたそうです、その時はマリア皇女殿下の取り成しで助かったそうですが」
「兄貴が女で止まるのは珍しい、普通は皆殺しで終わりだな」
「なんだ、そいつは!陛下のお命を狙うとは!」
「あの人は仲間かそうじゃないかだけです、まあ、仲間でも反抗すれば殺しますが」
「頭がおかしいのではないか!」
「同意します、それほど危険なのです、侯爵さま、貴方はその危険人物と敵対しようとしたのです、今回は自分の謝罪が効きましたが次回も効くとは限りません、もし敵対するなら一族郎党皆殺しを覚悟しておいてください」
シルフィがちょこっと手をあげて質問してきた
「あの~銀次さま、あの方に誘われてましたが騎士団に入るのですか?」
「ああ、拒否権はなかったし、騎士団に入るよ」
「それはおめでとうございます、副長として誘われたと言うことは最低でも騎士爵に任じられるはずですから、これで貴族入りですね」
「ありがとう、貴族はならなくてもいいけど出来れば平和に暮らしたかったなぁ」
「ふふ、頑張って手柄を立ててくださいね」
「シルフィさまは嬉しそうですね」
シルフィは赤くなりながら小さい声で
「だって、もう少し爵位が上がればお嫁にいけますし」
「うん?なに?聞こえなかったんだけど」
「な、なんでも、ありませんよ、銀次さまが嬉しそうにしてるからこちらも嬉しくなっただけです」
「まあ、嬉しいのかな、一応憧れの人ではあるし、ただ苦労も多いんだよ~」
「頑張ってくださいね、応援してますよ」
「ああ、死なないように頑張るよ」
銀次は騎士団に向かった
残った侯爵は娘に恐る恐る聞いた
「なあ、シルフィ、まさかとは思うがヤマダに恋心などないよな?」
「お父様、お気づきになりましたか?応援してくださいね」
「まて、私はそんなの認めないぞ、平民に嫁ぐなど考えられん」
「あら、お父様我が家にも利はあります、それに爵位も得る事になるでしょう」
「なんの利があるというのだ」
「この度は騎士団長になられた倉田様ですが、すでに最強とも言われております、その1の部下ともなれば手柄次第で爵位も得られるでしょう、そして、最強の騎士団とのパイプにちょうどいいと思われます」
「しかし、だな」
「陛下ですら、恐れておられる方ですよ、1度敵対した我が家としては多少の繋がりは持たねば他家につけこまれてしまいます」
「それなら、倉田本人に」
「それは無理でございます、どうやらマリア皇女殿下の想い人のようです、だから銀次さまなのです、勿論騎士団でナンバー2の座を得て貰わねばなりませんが、そして、最後の理由としては私の想いでございます、お父様どうかご了承を願えませんか」
侯爵は娘の勢いに負けていた
「わかった、しかし、ヤマダ殿がちゃんと副長の任をこなした時だけだぞ」
「ありがとうございます、お父様」
シルフィは満面の笑みでシーツに返事を返した
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