第6話 先輩と待ち合わせ




「まゆちゃん、今日も後輩君来てたね」

はなみやが帰った後、バイトの先輩が私に言う。今日も来てたね。か……

はなみやは私のことをどう思っているのだろう……

「あの子絶対まゆちゃんのこと好きだよね。もう、まゆちゃんのこと好きって雰囲気全開だったよ」

「そんなことないですよ」

あり得ないかな。どうなんだろう。もし、はなみやが私に好意を持ってくれていたら………




「やばい……めっちゃ緊張する……」

僕はドキドキしながら授業を受けていた。

この授業が終わったら大好きな先輩…まゆ先輩と一緒にレポート……幸せすぎる。早く授業終わって……

まあ、僕の授業が早く終わってもまゆ先輩の授業が終わらないから意味がないのだが……

そんなそわそわした状態で今日一日授業を受けて、ようやく、授業が終わり僕は教室を飛び出してまゆ先輩と待ち合わせしていた場所に向かう。


「はなみや、お待たせ」

まゆ先輩と待ち合わせしていた場所に到着してから10分くらいするとまゆ先輩がやってきた。今日もかわいい。バイト着もかわいいが私服もめちゃくちゃかわいい。私服が至福だ。ちょっと大人しい感じのワンピースを着ているまゆ先輩…最高にかわいい。

「まゆ先輩お疲れ様です」

「うん。お疲れ様。さっそくだけど、レポートどこでやる?」

「大学の図書館とか空き教室とかが無難ですかね?」

「うーん。でも、まゆ、そういうところでレポートやるの苦手なんだよね。近くの喫茶店とかじゃダメかな?」

「え、僕はいいですけど…まゆ先輩はいいんですか?その…僕なんかと喫茶店とか行って…」

「あー、はなみやは知らないのか、まゆ、彼氏と別れて今フリーだから気にしなくていいよ」

え、まゆ先輩彼氏と別れてたの?

え?え?え?何があった?まゆ先輩と付き合って別れるって僕だったら絶対嫌なのに……どっちから別れを切り出したんだろう……と気になったが、当然そのようなことをまゆ先輩に聞く度胸は僕にはなかった。


結局、大学の近くにある喫茶店でレポートをすることにした。喫茶店までそれぞれ車で行くか話していたらどっちかの車で行ってレポート終わってから大学の駐車場に戻ってきて解散にした方が楽しくない?と言われて僕としては反対する理由がなかったので同意した。

まゆ先輩の車に僕が乗せてもらうことになり、一度自分の車にノートパソコンを取りに向かってからまゆ先輩の車に向かう。


どこに座るべきなのだろう……

助手席?それとも後ろの席?どっち?わかんない。

と困惑しながらまゆ先輩と歩いているとまゆ先輩が助手席片付けるからちょっと待ってね。と言ってくれて助手席に置いてあったノートパソコンが入った鞄を後ろの座席に置いたので、助手席に座ればいいのかな?と判断して僕は恐る恐る助手席に座った。

まゆ先輩の車に入った途端いい匂いがした。いつもまゆ先輩から感じる洗剤の匂い…まゆ先輩の車には可愛らしいぬいぐるみがいっぱい置かれていて乗るだけで癒された。


やばい…まゆ先輩がめっちゃ近くにいる……

やばい。めちゃくちゃ緊張する。大好きな先輩の隣に座っているこの状況が幸せすぎた。最高すぎる。

もう、レポートなんかどうでもいいからこの幸せな時間がずっと続いて欲しい。ずっと、まゆ先輩の隣にいたい。


そんな願いが叶うはずもなく、車で10分ほど走ると目的の喫茶店に到着した。この10分間は幸せすぎる時間だった。ずっとこの時間が続けばいい。何度も何度もそう思った。

まゆ先輩の車から降りて喫茶店に入るまでずっと同じことを考えていた。

今、こうしてまゆ先輩と一緒にいられるだけでも十分幸せなのに……






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る