第41話
パオラ様からは解放されたが、それでも母と呼ぶ事は譲らないようだ。
「パオラ様、それでも僕は両親に感謝しているのです。僕を産み、幼い頃は愛を注いで育ててくれたのです。ここまで無事に大きくなれましたし、教育機関にも通わせてくれました。食事代も与えられていましたし、何不自由なく生きて来たのです。」
パオラ様には響いたのか、もう号泣していた。
「貴方は何と逞しく、そして優しく育ったのでしょうか。分かりました。この世界に来て間もないのです。すぐに私を母と思うには無理があるのでしょう。ですが、いつまでも待っていますよ。」
シリキンウグスは大きく頷いている。
うんうん、じゃねぇよ。
王女姉妹も感動の涙が止まらない。
ロゼママの美しい瞳にも真珠の如き輝きが光る。
随分と長かった朝食から解放され、美しいロゼさんと共に自室へと向かう。
訓練前の用意があるのだ。
「随分とパオラ様に気に入られているのですね?お使えして長いのですが、あの様なお姿は一度も拝見した事がありません。それに驚きました、あの方に意見が出来る人は貴方が初めてなのです。」
「そうなのですか?確かに皆様、驚いているご様子でしたけど。ちゃんと最後まで話せば伝わらない人でもないでしょう?」
美しいロゼさんは、本日は何度めか分からない美しい瞳を見開いている。美しい。
「………カガワ様。いえ、リト様。今後、何かパオラ様に意見がある時はリト様から伝えて頂いても?」
「ええ、勿論。これからお世話になるのです。そんな事でしたら、いつでも仰って下さい。本人も仰っていたではありませんか、間違っていたら指摘する様にと。」
「ありがとうございます、リト様!」
現在、美しいロゼさんからの熱い抱擁中である。
そんなに嬉しかったのだろうか?
それとも、そんなにも圧政を強いられていたのだろうか?
「すみません、取り乱しました…。」
「いえ、お気になさらずに。」
美しいロゼさんは、取り乱しても美しいのだ。
さて、予想外のご褒美を頂いたので訓練を頑張ろうと思う。
と言っても走っては女子の訓練を見学し、走っては座学にお邪魔するを繰り返すのみ。
真新しい発見?というか知識といえば、魔法について。
どうやら異世界の魔法は自由度が高いらしい、というか魔法名とか決まっていないようで。
魔力の高い人のライトヒールが低い人のハイヒールと同じ効力の場合もあるらしく、あまり立派な名前を付けても意味がないらしい。
なので攻撃時に仲間を巻き込まない為に魔法名を口に出す感じだろうか?
黒魔法の属性は、火・水・風・土の4属性。
雷は風に含まれるらしいのは、プラズマが気体扱いだからか?
暗黒魔法はデバフ系というか、毒や呪いに麻痺と種類は多いようだ。
反対に聖魔法はバフ系や解呪や結界なんかが使える。
神聖魔法は職業が勇者にしか使えないので詳細は不明らしい。
僕のスキルには魔法がないのであまり関係はないのだが。
もし使えるようになったのなら僕の中に眠る中2心が、遠い昔に考えた色んな魔法の名前を叫び始めるかも知れない。
異世界よ、僕が魔法を使えるようになるまで待っていたまえよ。
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