第22話
翌朝、目覚めると窓の外は薄暗い。
思ったより早く目覚めたようだ。
これなら遅刻せずに済むだろうと圏外表示のスマホを確認する。
時刻は6時30分を表示している充電も出来ないスマホ。
地球から持ち込んだものだが、少しでも長く使えるように電源を切っておくべきだろうか?
とはいえ、これ以外に時間を確認出来るものも持っていないのだけれど。
この世界の人は時計はどうしているのだろうか?
ハト時計?ほろっほー?くるっくー?
後で聞いて見よう。
そういえば訓練の時は服は貸して貰えるのだろうか?
ブレザーに革靴は流石に動き辛いと思われる。
昨日は体育なかったしね。
恵ちゃんは昨日は大丈夫だっただろうか?
1人で眠れたのか?
朝は起きれたのか?
朝ごはんや登校は?
一晩開けたら水沢が取り乱していないか不安になって来た。
やはり昨日の内に対処しておくべきだったか?
ノックの音で我に帰る。
「どうぞ。」
「カガワ様、起きていらっしゃいましたか。お顔を洗い、ご準備下さいませ。」
結構な時間考え込んでいたようだ、
時刻は7時30分を表示している。
「ありがとうございます。すぐに用意します。」
「ところで、ユーリさまとセレス様が朝食をご一緒にと申されておりますが如何なさいますか?」
「えっ?どうしてでしょう?」
「?どうして?カガワ様が両殿下にメロメロだからではないでしょうか?」
その設定、まだ続いてるの?
僕はロザリーさんに説明した。
それはもう有りのままに説明した。
メロメロと言わなければ泣かれてしまいそうだったと。
むしろ、あのタイミングでメロメロですと答えずにいられる者がいるはずがないと。
「不敬罪ですね。王族への嘘は不敬罪です。王族を公の場で泣かせていたとしても不敬罪でしたね。」
「短い間でしたが、お世話になりました。」
あぁ僕はどうすれば良かったのだろうか?
短い異世界生活でした。
ゼロで終わる異世界生活…。
「随分と簡単に諦めるのですね?」
「ですが、どうしようもないでしょう?」
「メロメロになれば宜しいじゃないですか。嘘では無くなれば良いのです。」
良い笑顔で言うなぁ。
出会って間もないけれど、物凄い笑顔だ。
きっと心の底から溢れた笑顔なのだろう。
「では、まず朝食をご一緒するところから始めましょう♪」
楽しんでるね。
語尾に音符が見えるようだ。
ロザリーさんに連れられて来たのは、中央の塔テラス。
朝からどれだけ階段を登らせるのか?
だが、他に選択肢はなかったのだ。
そこでは既に王族がテーブルに座っている。
「カガワ様をお連れ致しました。」
「おはようございます。お待たせしました。」
とりあえず挨拶しておく。
「あぁ、おはよう。良く眠れたかな?」
王様が返事を返してくれる。
「「おはようございます。」」
王女姉妹もご機嫌宜しいようで。
「おはよう御座います。カガワ様、さぁ席にお座りになって。」
王妃様に勧められ席に着く。
これみよがしに姉妹の間だ。
「カガワ様、聞きましたよ。ユーリとセレスにメロメロだそうですね。」
まだ続くんですね、それ。
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