第15話
結論から言うと僕に割り当てられた部屋は倉庫でも馬小屋でもなかった。
東側の塔の3階にある、騎士達に与えられた部屋の一室である。
大体6帖程でベッドとテーブルセットが置かれ、クローゼットがある。
女子達は反対側の塔らしい。
らしいというのも、先に女子だけ案内されて行き、後から案内された僕は美しいメイドであるロゼさんにそう聞いたのだ。
基本的に東西の塔で男女に分かれていて、無闇に出入りしないようにと念を押された。
ご安心下さい、瞬殺されます。
中央の塔は5階に王族の居室があるようで、用が無ければ3階より上には登らないようにと注意を受ける。
しかし、何故メイドさんからの説明なのだろうか?
ステータス差別か?
いえ、決して僕は偉い人間じゃございません事よ?
でも女子達は、今頃えらい騎士団長さんや宰相さんから説明されているのではだろうか?
何だか、やるせない。
各塔の1階に風呂で2階に食堂、東側の地下には牢屋がある。
西側の地下は何があるのか教えて貰えなかったが、恐らく簡単には口に出来ないような、硬い口を破らせるような施設なのだろうと思う。
王様の趣味が詰まった秘密の部屋でない事を祈るばかりだ。
この後の歓迎会までの時間まで少しあるらしく、またロゼさんが迎えに来るまで休んでいて良いと言われた。
でも明日からのスケジュール管理や連絡役の為に、各々に1人ずつメイドさんが付いてくれるらしく、今から挨拶に来るとの事。
どうせ僕よりも強いのだろう。
待つこと数分。
ベッドに座って休んでいるとノックが聞こえて来る。
「どうぞ、開いてます。」
ドアを開けて入って来たのは、美しいロゼさんを少しだけ若くした感じの美しいメイドさんだった。
「カガワ様の担当となりました、ロザリーと申します。至らぬ点はあるかと思いますが、宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、宜しくお願いします。もしかして美しいロゼさんの妹さんですか?」
「美しいロゼ?いえ、カガワ様。私はロゼの娘です。」
「えっ?」
「そんなに驚かれる事でしょうか?」
「えっ?」
「?」
いったい美しいロゼさんは何歳なのだろうか?
20代にしか見えなかったのだが。
そしてロザリーさんも僕と変わらないくらいか、
下手すれば年上だぞ。
異世界よ、顔面偏差値という言葉を知っているな?
肌年齢という言葉を知っているな?
早く、今すぐ地球人に謝るんだ。
でなければ、戦争になるぞ。
多くの血が流れる。
あのレベルが驚愕に値しないなんて、あんまりにも理不尽だ。
男はただ巻き込まれるだけの美容関係の悲しい戦争。
女達の戦いに逆える未来が見えない。
不毛過ぎる。
そして美しいロゼさんは、僕の美しいメインヒロインでない事が確定した…。
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