第14話

 もう見なくても分かってはいるのだけれど、

 念のためだ。


 決して仲間を探す為ではない。


「水沢のステータス見せて貰っていい?」


「見たいの?」


 あっさり見せてくれる。


 ミズサワ ユウコ 18歳


 種族: 人間


 職業: 聖騎士


 レベル: 1


 体力: 1000


 魔力: 100


 筋力: 900


 敏捷: 300


 知力: 200


 器用: 200


 魅力: 300


  運: 300


 耐荷重: 700


 スキル: 身体強化・精神耐性・槍術・聖槍装備・聖盾装備


 こちらに来る前と筋肉量は変わっていないように見えるのだが?


 一応、男である僕の方が腕回りは太いのだが、実際には女である水沢の方が僕より15倍も力が強い計算である。


 異世界よ、僕の男としての尊厳は、どうなっている?



 ここまで来たんだ、最後まで行こう…。


「横手。」


 手の動きだけで要求する。


「理斗さん……頼み方が雑になってないですか?」


 と、言いつつもメモを渡してくれる。


 ヨコテ マキ 17歳


 種族: 人間


 職業: 賢者


 レベル: 1


 体力: 200


 魔力: 1000


 筋力: 100


 敏捷: 400


 知力: 400


 器用: 600


 魅力: 500


  運: 300


 耐荷重: 500


 スキル: 魔力強化・精神耐性・短縮詠唱・白魔法・黒魔法・二重詠唱


 うん、あんまり横手は賢いイメージはなかったのだが…。

 賢い者とは?



「よし、気を取り直して長岡。行ってみよう。」


「何がですか?理斗さん?何の気を取り直すんですか?」


 横手が騒いでいるが気にしない。


 長岡から無言で差し出されたメモを見る。


 ナガオカ ハルカ 18歳


 種族: 人間


 職業: 弓聖


 レベル: 1


 体力: 800


 魔力: 300


 筋力: 600


 敏捷: 500


 知力: 200


 器用: 300


 魅力: 400


  運: 200


 耐荷重: 600


 スキル: 身体強化・ 精神耐性・弓術・魔弓・聖弓装備


「理斗、ドンマイ。」


「……………。」


 これで悲観するなって言われてもさぁ。


 経験値10倍、ちゃんと働いてくれるの?


 敵にとどめ刺さないと経験値入らないとかいうオチ待ってない?


 僕は指輪だけつけて、どうやって攻撃するのさ?


 お荷物以外の何者でもないのだが。



 途方に暮れそうになっているところでノックの音が聞こえる。


 そういえば宿舎に案内してくれるとか言っていた気がする。


 僕だけ倉庫だろうか?


 そうしていると、ノックの音が聞こえドアが開き銀髪の美しいメイドさんが入室して来る。


「ご歓談中に失礼します。皆様の宿舎への案内を仰せ付かりました、メイド長のロゼと申します。」


 なんと異世界で2人目の自己紹介である。


 今度は名前を覚えておこう。


 美しいメイドさんだからではない。


 だって今は目の前の美しいメイドさんに美しい妹がいるかより、美しい彼女自身が美しいメインヒロインかどうかより、美しい彼女の美しいステータスが、どのくらい僕よりも高いのかの方が気になっているのだから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る