第13話

 まだ見ぬセレスさんに想いを馳せていると深川が言う、


「私はカティアさんに憧れるわね。」


 まったく、僕にも分かるように話をして欲しい。


 横手と長岡も知らない名前を口にしながら話に参加し始めた頃、不思議そうな顔した八戸が僕に言う、


「理斗君は、どう思った?」


……笑顔で残酷な事を仰る。


 どう答えるべきか?


 ここは正直に、色んな事に謝り倒してたら名乗って貰えなかったと説明するべきか?


「理斗君?」


 うん、全員が疑惑の眼差しで見ていらっしゃる。


「僕のステータス関係でゴタゴタしちゃって紹介どころじゃなくなったんだ。だから文字通り顔を合わせただけで名乗って貰ってなくてね、まだこの世界で名前を覚えているのは城まで送ってくれたカルロスだけなんだ。」


 嘘は言ってないよな?


「えっ?」


「えっ?」


 今度は背後の戦友から声がかかる。


 だって妹いないんだもの…。


「いえ、むしろ貴方は戦友という認識が強くてですね…。」


「戦友…。」


 悲しそうな顔から一変して突然うっとりし始めた。


 何かしらのスイッチが入ったのだろうか…?


……厄災から世界を守る為に召喚された勇者の戦友。


 あぁっ、物凄いパワーワードですね……。



「そんなにステータスがおかしかったんですか?」


 横手の一言で現実に帰還する。


「職業が庇護者でスキルが庇護。過去の勇者にも前例がないとか。ステータスはオール60で、耐荷重だっけ?15しかなくて、装備出来る物が指輪しかないみたい。」


 女子たちに気まずい雰囲気が流れ始める。


 いつも元気な横手ですら言葉をなくしている。


「み、皆のステータスは?」


 深川が僕と目を合わせずに口を開く、


「私の職業は勇者だったわ。ステータスとスキルはメモしてあるから待ってなさい。」


 彼女はゴソゴソと取り出したものを見せてくれた。



 フカガワ トモミ 18歳


 種族: 人間


 職業: 勇者


 レベル: 1


 体力: 700


 魔力: 300


 筋力: 500


 敏捷: 300


 知力: 300


 器用: 400


 魅力: 600


  運: 300


 耐荷重: 600


 スキル: 神聖魔法・聖剣技・聖域・聖剣装備・精神耐性



「……………。」


 ……………。


 圧倒的じゃねぇか。


 あの妹姫様め、どうしてくれようか?


 それともこのステータスは、

 勇者の勇者だけの勇者たる所以なのだろうか?


 ダメだ、1人見ただけでは参考にならない。



「八戸さんは、どうだったかな?」


「私?私は聖女らしいよ?はい、これ。」


 そしてメモを渡される、


 ハチノヘ アヤコ 17歳


 種族: 人間


 職業: 聖女


 レベル: 1


 体力: 200


 魔力: 900


 筋力: 100


 敏捷: 200


 知力: 700


 器用: 700


 魅力: 600


  運: 100


 耐荷重: 500


 スキル: 聖魔法・白魔法・精神耐性・聖杖装備


「……………。」


 なに、それ?


 その精神耐性が今こそ欲しい!


 このまま行けば他の3人も同じようなステータスである事は間違いないだろう。


 異世界よ、僕は妹姫を懲らしめる為に呼ばれたのか?


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