第9話
右側1人目が横手真紀。
明るめのショートボブが良く似合っている。
背は低めで可愛らしい顔をしている。
活発な彼女は無類の猫好きだ。
猫以外の話をした記憶がない。
よく捨て猫を拾って来ては、里親探しを協力させられる。
そして新しい飼い主が見つからなかった時は、横手が自宅で飼うらしく名付けを相談される。
実際に彼女の家では何匹いることやら?
明るく奔放で、人懐っこい彼女こそが猫のようである。
彼女のような女性に、猫耳と尻尾を生やした獣人の存在を期待していた時期が僕にもありました…。
横手の右側に座っているのが長岡遥。
肩を超えるくらいの黒髪を後ろに流している。
背丈は155くらいか?
顔付きは綺麗に整っていて、胸は絶壁である。
とても平である。
出会った当初は髪が短かったので、スカートを履いていなければ性別を間違えた可能性もあっただろう。
彼女は胸を大きくしたいと僕に相談した。
誰に吹き込まれたのか、それはもう牛さんのようになりたいのだと言う。
僕はネットで検索した乳牛の画像を彼女に見せた。
彼女は涙目になっていた。
考えて見てほしい。
人の体に牛のような乳が付いていたらホラーだ。
稲中○球部の世界だ。岸○のババァだ。
僕は彼女に、それは個性だし個人差もあるし、きっと成長途中だと必死に説得した。
それでも未だ熱心に相談に通ってくれる長岡に対して、誰かに揉んで貰えとセクハラを口にする勇気は、残念ながら僕にはなかった……。
100人の人間が彼女達を見れば、間違いなく100人全員が彼女を美少女だと答えるだろう。
だからこそ僕は彼女達に惚れる事が許されない。
多くの男子生徒から受ける恋愛相談の中には、必ず彼女達の名前が出て来るからだ。
後で諦めなければならないのが分かっていて、身を引いて辛い思いをするのが分かっていて、その距離を縮める努力をする程、僕は愚かではないのだ。
ならば惚れないようにするほうが賢明だ。
損な役回りだとは思うが、自分で身に付けた処世術なので文句は言えない。
5人を代表して深川が口を開く、
「相変わらず締まりのない顔をしているのね。早く挨拶を済ませてステータスを見て貰って来なさい。」
高圧的な物言いだが彼女のデフォルトだ。
「もう皆は済ませたらしいね。5人一斉にこっちに来たの?」
「いいえ、最初が私。次に八戸さん。水沢さん、横手さん、長岡さんの順番に1時間置きよ。そこの窓から見えるのだけれど、召喚される度に塔が光るの。最後に光ってから1時間以上たっているから、
おそらく香川君が最後かしらね。さぁ、皆も着いて直ぐに済ませたのだし、先方も待っていらっしゃるのだから。」
異世界よ、なんて迷惑な召喚だ。
まさか王様達に6回も同じ台詞を繰り返させているのか?
せめて同時に呼ぼうよ。
絶対に疲れてるよ。
また来たのかよって顔してるよ。
ノックせずにドア開けたら寝てる人いるよ?
これでステータス低かったら冷遇されるか、追放されるパターンのヤツでしょうよ。
まだカルロス家の場所、聞いてないよ?
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