第17話 エピローグ……帝都陥落
それから半年後。
俺たちサロメルデ王国軍と、新ゲルゼリア王国軍は共同でベルゼード帝国へ侵攻していた。
人望のない皇帝に対し不満が募っていた旧ゲルゼリア王国軍人の多くが、サロメルデ王国や戦艦ゲルゼリアを領土とする新ゲルゼリア王国へと寝返った。ある者はその身一つで、ある者はアドヴァンサーに乗ったまま亡命した。そして何隻もの戦闘艦も、そのまま新ゲルゼリア王国陣営へと馳せ参じた。
サロメルデ王国空軍は、新型の第五世代機“アルジェンティス”を中心に改良型アルガムシリーズと帝国より奪取したリクシアスを装備していた。その総数は開戦前の二倍以上となっていた。
「詞。突っ込むぞ」
「いつでもどうぞ。空間防御、およびクラインコートは正常です」
帝都上空、帝国軍の真っただ中へと突っ込んでいく。
猛烈な砲撃を受けるものの、砲弾は空間防御の影響で弾道は捻じ曲がる。そして光学兵器も装甲表面で弾かれる。
俺の突撃により帝国軍の陣形が乱れていく。そこへサロメルデ王国軍とと新ゲルゼリア王国軍の混成部隊が雪崩れ込む。
「葵。二時の方向、グリンドリン。大型のガトリング砲を構えてます」
「上等だ」
俺はそのグリンドリンへ向けヒートソード“ブレイザー”を抜き斬りかかる。
「閃光のクルーガーか」
「そうだ。貴様は?」
「モーゼル。フランツ・モーゼルだ」
忘れない名だ。
こいつが詞を殺したと言っていい。恨んではいないが、出会った以上全力で墜とす。
モーゼルは抱えていたガトリング砲を投棄し、長剣を抜刀した。
「例の防御システムですね。しかし、剣撃なら通る」
「お前に当てることができるか」
前回対峙した時は複座のマジステールだった。あの時は鈍重な練習機だったが、今は改良型のゼファーだ。グリンドリンにも引けは取らない。数度刃を交えた後、奴の長剣は折れてしまった。
「くっ。ここは一旦退却です」
モーゼルのグリンドリンは発光弾をばら撒いて逃げた。これを至近距離で使用された場合、瞬間的にモニターが機能を失う。
モニターが回復した時には、奴は遥か上方へと退避していた。一騎打ちには興味がないと言っていたが、さて、それは相手の決める事だろう。
あの、漆黒のアドヴァンサー“シュバルリト・グラン”が、モーゼルのグリンドリンへと一気に接近した。そしてシュバルリト・グランはアドヴァンサーの背丈ほどもある大剣を一気に振り抜く。
モーゼルのグリンドリンは真っ二つに切り裂かれて爆散した。
「あら葵。獲物取られちゃったけど良かったの?」
「関係ない。次いくぞ」
「了解」
俺たちは帝都上空を我が物顔で蹂躙した。
その数時間後、ベルゼード帝国は力尽き降伏した。
[了]
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