第14話 旧型怪人コランダムとTKG
「へんしーん」
今日の舞台は近所の公園。いつものように折り畳みテーブルを広げて、戦いが終わってから食べるカップうどんの内側の線ピッタリにお湯を注ぎ、正義のしるし赤いスカーフを首に巻いて俺は変身した。悪の秘密結社「優しくしてね」の怪人を倒すために。
今日の相手は、もはや絶滅危惧種の旧型怪人だ。頭が岩みたいにゴツゴツしている。
「ふはははははは、俺様は怪人コランダム様だあ。ダイヤモンドの次に硬い鉱物だあ」
怪人は聞いてもいないのに自己紹介をした。ついでだから説明しよう!
硬いと言われるダイヤモンドは硬さを表す数値で言うとモース硬度10、コランダムはモース硬度9なのだ。
どれくらい硬いのかよくわからないだって?よろしい、実践有るのみだ。少年少女諸君!試しに殴ってみよう!
俺は怪人の頭にグーパンチをくらわせた。
「あ、イタタタタ」
硬い、なんという硬さだ。さすがモース硬度9だ。まずい!指の骨が折れたかも知れない。
その時だ!
ボロ~ン
背後からギターの音がした。
ああ…なんとなく想像がつくぞ。きっと不完全な良心回路を埋め込まれた正義のヒーロー・キカイダー的なやつがいるに違いない!
共に闘おう!と振り返ると、
ヒヒ~ン
ギターを持って馬に乗った「ギターを持った渡り鳥」的なやつが居た。
俺は目が点になってずっこけた。渡り鳥的なやつは生身の人間だから怪人には勝てないぞ!
「大丈夫だ!」
渡り鳥的なやつはピストルを出した。あーやれやれ、この流れはあれだ。
ウー ウー
ほら見ろ、いつものお巡りさんだ。
「お勤めご苦労様です!」
え?どういうことだ?
「俺か?俺は国家権力の敵を倒すため警察に雇われたTKG所属の
渡り鳥的なやつは聞いてもいないのに自己紹介をした。
TKG?卵かけご飯?
「
様子を見ていた怪人が、それを聞いて勢いづいた。
「ふはははははは、武器を持たない丸腰人間め、まずは貴様から始末してやる」
「黙れっ、こうしてやるっ!」
TKGの
バキッ バキバギ
ギターは木っ端微塵に砕け散った。モース硬度9が相手だから当たり前だ!
「ふはははははは、そんな攻撃が俺様に通じると思ったのかあ」
怪人はふんぞり返って高笑いした。
だがしかし、頭は鉱物だが身体は普通の旧型怪人なのだ。ふんぞり返った瞬間、頭の重さでバランスを崩し、その場に倒れてしまった。
「成敗っ!」
TKGの
お前らは暴れん坊将軍とお庭番か!やめろ!これ以上往年の名キャラクターの要素を入れないでくれ!キャラ渋滞が起きるじゃないか!
「さあ、留置場までしょっぴくぞ!」
お巡りさんは怪人を起こそうとした。
「お、重たい…」
俺も手を貸した。しかし頭が鉱物の塊だけあって重たい。こいつはさっきまでどうやって2本足で立ってたんだ?
その時だ!
ブオーンと非力なエンジンをブン回す音が聞こえた。
遠くから軽トラが猛スピードで近づいてきて公園の入り口で止まった。その後ろにはクレーン車がついてきてるぞ!
軽トラの中から全身黒タイツ姿の
「うむ、わかった」
書類に目を通すとお巡りさんは交通整理を始めた。なんで協力してるんだ?黒タイツには甘いなあ。悪の秘密結社「優しくしてね」は国家権力の敵じゃなかったのか?
グオーン
公園内に入ってきたクレーンが動き始め、怪人を吊して軽トラの荷台に移動させた。
黒タイツはお巡りさんにご苦労様でしたと敬礼して軽トラに乗り込んだ。
ヴオオオオーン
あまりの重さに車体が沈んだ軽トラは、非力なエンジンが悲鳴を上げながら去っていった。せっかくお縄にした怪人が逃げていくぞ。それにあれは過積載じゃないのか?
「これにて一件落着」
大岡越前のキメ台詞をパクってTKGの
「砕けたギターの破片は片付けておきたまえ」
お巡りさんも帰って行った。
ちょ待てよ、それは
橘のおやっさんのスナックに着いたとき、俺の手の指はパンパンに腫れていた。
「鉱石を素手で殴るなんて馬鹿の所業よ」
そう、怪人を殴った時、やはり指の骨が折れていたのだ。さおりんに包帯を巻いてもらいながらオレはおやっさんに言った。
「おやっさん、生卵をくれないか。カップうどんにかけて卵かけうどんを食べたいんだ」
「お!TKU、卵かけうどんだな」
TKU、いや、そんなことよりTKGだ。対怪人ギター隊とは何者なのか。
「謎ね。ひとつ分かっていることは、ギターが武器と言うことね。今度はどんな使い方をしてくるのか…
さおりん、頼むから使える武器を作ってくれよ。
パカラッパカラッ
「
俺はそれ以来、街の中で馬を見かけると
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