第4話見えない関係

 私の趣味は人間観察と情報収集。人間観察だけで大体のことは分かるけど、確信はない。それを確かにするためには、ターゲットと接触する必要がある。ターゲット以外にも、その親友とか。情報と情報を交換して新たな情報を得る。まるで情報屋のようなことをやってきた。いつしかそれが当たり前になっていた。

「こんにちは。今帰り?」

 一日中情報を集めて回った私は、放課後、学園のマドンナに接触した。昇降口に佇む彼女は、やはり絵になった。

「友達を待っているの。……田辺さんは、今帰りなの?」

「私のこと知ってるんだ?」

 情報屋として売っている訳ではないので、マドンナが自分のことを知っているなんて驚きだ。

「知ってるよ~。だって、テストいつも上位でしょ? それよりも、田辺さんがわたしの事を知ってるのも意外だったかな」

「学園のマドンナを知らない人はいないと思うけど」

 テストで上位なんて、誰でも取れる。それよりも学園のマドンナと呼ばれる方が難しいだろうに。

「マドンナはやめてよ~」

「ごめんごめん。じゃあ、永川さんさ、永川先生の従妹だったよね?」

 永川と言う苗字がどれ程珍しいのか私は知らない。だから、これは確認の為の質問だ。

「そうだけど、どうして?」

「いや、随分仲が良いなと思ってさ」

 これは嘘じゃない。前々から思っていたことだ。少し騙しているような気もするが。

「仲は良いけど、それだけだよ? お互い兄妹みたいに思ってるだけ」

 意外とすんなりと聞きたい情報を聞き出せた。どうしようか悩んでいたところなのに。「聞きたいことはこれだけ? 情報屋さん」

 思わず顔を顰めた。バレていたか。

「そんな名前で売った覚えはないんだけどね」

「有名よ。女の子の間では特にね」

知らなかった。これからは少し自重した方が良さそうだ。

「ね、代わりに情報をくれない?」

「どーぞ。何が聞きたい?」

「ありがとう。じゃあ……」

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