第5話 じゃ、おやりなさい!

“エミリア”の錬金術とおっさんの知識が合わさり現代の最新兵器が更なる進化を遂げる。ただ自衛隊故に実弾を使う事になると自己セーブが掛かりなかなか即応出来ない。


 〜○〜


 錬金術師 “エミリア=アルケミーオ”がその能力を体現する。


「立ち上がれ “ミスリル・ゴーレム” 」と少女は命じる様に呟く。

 〈ゴポゴポ、ゴポ、ゴポゴポポポポ〜〉と岩が水中の土砂から抜け出す様に上昇し始める。


「わ、わあわわわ」とおっさん2人は必死に岩にしがみ付く。

 〈ヒューン〉と高速エレベーターのように垂直にしがみ付いている岩が湖面より5メータは上昇した。

 視界が開ける。

 敷島隊長は、しがみ付いた状態で少女が見ていた方向を遠望する。

 そこには遠浅の葦の水辺を西洋の革の鎧を身に付けた骸骨の大軍が槍や剣を振り回しながら此方に向かって来ていた。

 骸骨も葦で視界が悪く、葦を刈りながら行軍していた。

 しかし、骸骨兵は足を止めて此方を正確に指差して駆け足し始めた。


 何故か?そりゃもう、5メータもある高台に捜索中のおっさんが間抜けにも姿を晒しているから…。

 〈ヒュるる〉と、弓矢が “ミスリル・ゴーレム” の1メーター手前に降り注ぎ始める。

 #事を悪化させてないか?


「さて、おっさん達、ありゃ〜敵だと思うけどな〜?」

「まだ悩むの?命いくつあっても足らないよ」


「私の知っている日本人達は速決断が信条のサムライだったけどね〜」

「彼らはね、常に死を背負い一部の隙なく愛するモノを守るべく、躊躇なく命を舞わせたね。

 同じ血を本当に継いでいるのかえ?」


「分かった。この状況は緊急安全処置状態を確定している。」

「“斎藤”行くぞ!」

「待ってました!」

「が〜足場悪いすね」


「やっとか弱き乙女を守る気になったと思ったら、文句かえ〜面倒くさ」


「二番隊 “ダイヤ・ゴーレム” 浮上して左手のおっさんの指示に従え」

「三番隊 “タングステン・ゴーレム” 浮上して右手のおっさんの指示に従え」


 〈ゴポゴポ、ゴポ、ゴポゴポポポポ〜〉辺り一面から隆起してくるゴーレムの群れ。


 “ミスリル・ゴーレム”の左手に、二番隊:“ダイヤ・ゴーレム”計5体。

 右手に“タングステン・ゴーレム”10体が姿を現わす。


「これ身に付けておっさん達、早く!」と “エミリア” が指輪を投げてよこす。


 “敷島”隊長はダイヤの指輪。


 “斎藤”隊員はタングステンの指輪。


 どの指にしようか迷っていると「あーもう、女子か女子か〜!」とまくし立てられて恋人、結婚と意味が付かない親指にする…。

 指輪を嵌めた途端〈ブオーン〉と頭の中に煌めく光の帯が駆け抜けて〈ざわざわ〉と複数の思念?が同居する。

「御命令を」と無機質な声が頭に響く。

 “敷島” 隊長が試しに命令してみる。

「“骸骨兵” に向かって防御体制を取りつつ俺を狙撃し易い位置取りに陣取らせよ」


 一体の“ダイヤ・ゴーレム”が両掌を差し出して“敷島”隊長に乗るように促す。

 “敷島” 隊長が乗ると、2体の“ダイヤ・ゴーレム”が両サイドから掌で“敷島”隊長を覆う様にして前方だけに空洞を形作る。

 まるで城の銃眼のようだ。

 残りの2体は両脇に立ち遊撃の構えをとる。


 “ダイヤ・ゴーレム”の利点、透明なので覆われても視界は全天周クリアである。

 完全防護の城の銃眼から“敷島” 隊長が86カービン銃をニョキッと突きす。

「こりゃイイわ!SBY OK」と声が出る。


 “斎藤” 隊員も思案していたが「エミリアお嬢ちゃん、俺のイメージは具現化したのかい?」と質問する。

 そこの葦の茂みにあるよと指を指す。

 そこにはカーキー色の軍用コンテナがあった。

 中から取り出したのは、GAU-8 アベンジャー - ゼネラル・エレクトリック製の7銃身30mmガトリング砲。

 最高発射速度〉毎分4,200発から3,900発。

 砲身数〉7本。

 精度〉4,000フィート(約1,333m)で射撃して直径20フィート(約6m)の範囲内に80%の弾丸が到達する。

 砲弾〉

  PGU-14/B 焼夷徹甲弾

  PGU-13/B 焼夷榴弾

  PGU-15/B 練習用模擬弾

  PGU-15A/B

 装甲貫徹力〉500mで69mm。1,000mで38mm。


 鈍い光沢の機関砲弾倉帯を弾倉口にセットすると、「“ゴーレム”よ、1人は馬になりその背中に機関砲アヴェンジャーを載せて砲台となれ!あと2人は両サイドからアヴェンジャーを固定してサポート。

 残りは左右に5メータ間隔で展開して待機」と指示する。

 “タングステン・ゴーレム”は整然と配置に着く。


「さて、配置につきましたぜ、か弱きお姫さま!」

「“斎藤” お前〜俺の武装が見劣りするやろうが!差をつけるな差を!」と憮然としながらもニヤける“敷島” 隊長。※アヴェンジャーの1弾の破壊力は装甲車両の鋼鉄を貫通し中の兵士を貫き通し余りあるほど。


「おい。悪魔ムスメ、いつでもどうぞだぜ。」


「じゃ、おやりなさい!」


 〜○〜


 アベンジャーその驚異的破壊力が炸裂するのか。楽しみだ!

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