第4話 武器。

 脅威が迫る中、“エミリア=アルケミーオ”という錬金術師の少女が武器を用意すると云う。ただ、期待はできない。

 敵の規模、実力も分からないこの状況、敷島と斎藤の頭は窮地を逃れる術を高速に思考する。

 しかし余りにも異質な状況に答えは出ない。


 〜○〜


 特殊部隊の訓練で武器類の整備、操作は徹底して身に付けている思い浮かべるとリアルな細部まで思い描けるおっさんである。

 “敷島隊長”は、89式カービン銃を思い浮かべ、その火力、加えて弾薬、グレネード弾も思い浮かべる。


「ちょこっおと待ってね」と “エミリア=アルケミーオ”は襷掛けしている革の鞄からエメラルドグリーンの本を取り出す。

 左手に書を持ち腰の大きな紅い袋を目の前に置いて右手を添えて「蒼き帳の書よ。

 “尊き様”に成り代わり理を具現するを命ずる」と呟く。


 青い光のカーテンが紅い袋を覆う。

 やおら青い光のカーテンを「ジャジャジャジャーン」と言いながら“エミリア”が開けると、そこには89式カービン銃 ×2と一抱えもある関連装備品が鎮座していた。


「うおー」と駆け寄るおっさん2人。

 おいおいコリャ、まだ配備前の最新鋭の89式カービン銃じゃないか!

 特殊部隊で先日米軍の先端武器開発部門から説明だけ受けた代物じゃないか!

 痺れるぜと唸りながら、腰の弾薬入れに〈ガシガシ〉装備品を収納する。

 最後に89式カービン銃を掴むと細部を点検し、弾倉カートリッジを〈カシッ〉と装填する。


「おい、“斎藤”ちょっと軽すぎないか?」

「確かに無茶苦茶軽いすね」

「悪魔小娘、これ大丈夫か?軽すぎるぞ。。。」

「ははーん、おっさんらは、そんじょそこいらの鉱物で錬金したと思うてか?アホ!」

「あの〜僕 “エミリア=アルケミーオ” なんだけどね」

「おっさんらの鉄やらタングステンやらなんていうガラクタな鉱物持ち合わせてないのよ。

 それはミスリルちゅう鉱物。

 いいから、いいから使いなされ!錬金で生み出した物は最適に構成されるから調整の必要もなし。

 おっさんらの特性にも合うように成って産まれるから腕が下手くそでも使えますので!あしからずぅ」


「おい、“斎藤”試射してみろ」

「ラジャ」

 〈パン、パン、パン〉とセミオートで1メータ先の地面に撃ち込む。

「ひゅー、“隊長”こりゃ89式カービン銃じゃありません!スーパ89式カービン銃です。

 無反動で射線のズレも無く着弾出来ていると感じます。」


「もーお試し済んだら、か弱きレディの“エミリア”を守りなさいよ」


「葦でenemiesが目視出来ていない。

  第1、敵かも確認出来ていない。発砲は出来ない!」と敷島隊長。


「やっぱ、お花畑、呆けた日本人、おっ〜さん!」


「おっさん、持つ物持ったらこの岩に掴まってくれないかしら!早く!

  いいから、もう!」


 少女ながら威圧感のある雰囲気に推されて少女を挟んで岩の左右に掴まる。


 〜○〜


 錬金術師 “エミリア=アルケミーオ”の能力に驚愕する。既知の武器の性能を遥かに上回る武器が目の前に現れる。

 ただ、この自衛隊特殊部隊の敷島隊長と斎藤隊員のおっさんコンビの武器知識 と 錬金術師 “エミリア”の連携はやばくないか…!

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