二杯目 最初のメニュー(前編)
五月初め初夏の風が吹く季節
大学生活をこなしながら喫茶店で働く
ザ大学生のような生活を送っている。
喫茶店で働き始め二か月が過ぎ初めの頃より動けるようになった
だがまだまだ改善する部分がある頑張らないといけない。
それに自分が増えたことで夜の営業をすることになった。
今日の夜がその営業の一日目だ。
緊張と興奮が入り乱れている。
自分が持っているバーツールの手入れをしながらカクテルの手順
を確認する。
シェイク・ステア・ビルド・ブレンドどれをとっても重要な
技法だ。おろそかにしてはならない。
「緊張してる?」
店主いや三時(みつどき) 文睡(ふみん)店長が聞いてきた。
「えぇまぁ少し緊張してますね」
「そしたら少し休憩入れようか。お客様にその緊張が移らないようにね」
返す言葉もない。スタッフが緊張して居心地がいい喫茶店などない。
「すいません。休憩頂きます。」
情けなく休憩室に行こうとしたとき
「これ、飲んでみて」
店長からコーヒーを手渡された
「何の豆ですか?」
疑問に思い聞いた。
「内緒。落ち着いておいで」
店長が優しい声をかけてくれた。
休憩室で椅子に座りコーヒーを口に入れた。
苦い本当に苦いでもすっと抜けていく苦味だ。
落ち着くってこんな感じなんだ。
鞄から青色の小説を取り出す。
個人出版の通販で気になった本だ。
仮想の町を舞台に話が進んでいく小説でだんだんと引き込まれていく
背表紙から何か落ちてきた。切符?
へぇその町に行ける切符だ。面白い。
こんな時間だ。そろそろ戻ろう。
テーブルの上にあるコーヒーを飲み干す。
「休憩頂きました」
さわやかな気分だ。さぁ頑張ろう。
辺りも暗くなり看板も明るくなってきた。
「そろそろ夜のお客様入ってくるからお酒の注文準備しといて」
店長に言われ棚にある酒を取りやすい場所に移動させる。
エプロンを締めなおす。さぁこの瞬間を楽しもう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます