第4話 むかしむかしのエタったファンタジー、2話め
- つづきです -
やっと少し転写作業を進めることができました( ̄▽ ̄;)
内容はちょっとちょっとですね(^_^;)
改めて見直すと悪くないところもある。今の自分にはできない、やれないところもあります。でも今の自分だから気づくこともありますね、そこは良し悪し、いろいろです(;´д`)
まあ、転写作業ですから気がついた誤記と誤表記だけを直すつもりでした。でもどうしても我慢できなくて、ちょっと直した箇所もでましたねぇ( ̄▽ ̄;)
仕方ありません。それも自分、自分の作品ということです(^_^;)
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◇
「
玉座に腰掛けた男の声に、その場に居合わせた兵は、身をすくませた。
落ち着かなげな様子を見せていた男は、兵の発した変わらぬ答えに、たまりかねたように立ち上がる。そろそろ五〇に成ろうかという彼の髪には心労の為か白いものが見える。
「もう待てぬ!!わし自ら立ち、イルスを救いに出ようぞっ」
「気の短い領主殿じゃな」
声自体はそれほど大きく発せられたわけでは無かった。ただそれに注目するように、静寂が
「誰だ!!いや誰だろうと構わん。わしに命令などさせんっ」
沈黙を破り、臆することなく言ってのけた男に、その老いた声は半ば嘲笑するような、それでいて諭すような口調で言葉を継いだ。
「よいかリーよ、大公よ。領主とは領民のために尽くすもの。私事に兵を用いてどうする?
それにその態度はどうした。領主の威厳はどこに忘れてきたのかな?
まあ、領主とて人の子…。愛するものを奪われたとあっては、しょうがあるまい。
だが、自ら立つのだけは抑えねばな…」
闇の
逃げまどう兵士たちの姿があった。
大公にはそれが幻だと判った。その場には一切の音が欠けていた。
だが、それゆえにその光景は、より一層生々しく感じられた。
恐怖を隠すこともできずに表情に出した兵士が、ほとんど這うようにして彼をすり抜けてゆき、そして追いすがった数匹の魔に、生きながら引き裂かれ、むさぼり食われていた。
別の兵士は、見上げるような漆黒の竜の吐き出す炎により、くすぶる炭の塊となっていった。
大公は、その光景から逃れるように目を背け、それと同時に景色がゆらぎ消える。
「悲惨な出来事じゃ…」老いた声は悔いるかのようにそうつぶやく。
「真実なのか!?もしそうならガイルは、わが兵たちはっ!!」
大公の悲痛なさけびに、声は感情を抑え、言葉をつぐ。
「もう兵は出さずとも良い。代わりにこの者たちを探すが良い」
彼に探すべき明確な場所が指示される。
大公の前に、四人の姿がゆらめきながら現れる。
三人の男と一人の少女が。
「彼らが救いだしてくれるはずだ。
一人は戦士、優しきもの。一人は魔術師、鉄と火の使い手。一人は狩人、竜の乗り手。
そして最後は名高き黄金竜」
大公は一人の男を見据えていた。
黄金の鎧、竜鱗を模したものを身に
そして端正な顔つき、切れ長の目、わずかに尖った耳が妖精の血をひく事を示していた。
「
彼はその男について聞いたことがあった。
先の大戦で英雄と並ぶほどの、うわさの持ち主。その鬼神のごとき戦いぶりで死んだ敵は数知れず。
大公は男から目をそらし、隣の少女を見つめる。
年は
首の後ろで束ねた髪と、軽快に動くことが出来そうな服装が快活な少女であろうことを、大公に感じさせた。
そのとなりの男は、彼には魔法使いのように、どうしても思えなかった。
濃い緑の
そして最後に残った戦士を見たとき、彼はどこかでその人物に会っているような気がした。
優しそうな目をした男…。その目つきがガイルによく似ていた。
「リルフか?」
声が大公のつぶやきに答える。
「その通り、リルフ・ファインじゃ。
リーよ彼にこれを渡すが良い」
一振りの剣が彼の手の中に現れる。
反り身の
「その刀、名をガープという。
リーよ、今言ったことに従ってくれ。そうすれば姫は無事戻るのだ」
いつの間にか四人の姿は消えていた。
「だが、あなたは誰なのだ!!まさかっ」
「おまえには誰だろうと、構わないのではなかったかな?」
その声が耳元でささやかれたように感じ、導かれるように振り向いた大公は、声の主を見たような気がした。ゆらめく白い
「まさか……、イリア…さま……」
動く
「リー様、もうしばらくお待ちください。必ずや吉報がお聞きに…?」
大公を押し留めようと近づいた近衛隊長は、彼の顔に浮かんだ表情を見てとり、半ば足を踏み出した形で歩をとめた。
「どうなさりましたか?顔色がすぐれなくなられておりますが」
ガイルより隊長の役を引き継いで間もないその青年は、少しうろたえた様子を見せる。
「…なんでもない」
「ですが…」
自分の身を案ずる
「たのむ、しばらくは一人にさせてくれ」
釈然としない様子ながらも、近衛隊長は部下と共に広間を出ていった。あとには玉座にもたれた大公と一振りの剣が残った。
「すまん…」
大公は兵たちのことを思い、苦悩に顔をゆがませた。
- 娘の救出隊の出発を明日に控えた夜、ガイルは戦衣に身を包んで彼の前に現れた。
先頃うけた、蛮族との小競り合いの時の傷がまだ
「リー様、私も行かせて頂きます」
「いかん。おまえはまだ、あのときの傷が癒えていないではないか。
それに近衛の職に就いていたのではなかったのか?」
「部下に譲ってまいりました。こつは教えましたから、私より上手くやるでしょう」
彼は大公の反論をあっさりと切り返した。
「だが怪我人であることには変わりない」
「大公。救出隊に志願した者たちの大半は若者です。イルス様を助け出せることは間違いないとは思いますが、被害も小さなものではないはずです。
策を講じる者をつけるべきです。
もちろん私以外の者を選ぶのは簡単です。ですが貴方は、足をほんの少し引きずるというだけで、姫を救い出すという栄誉を私から取り上げようとするのですか?」
リーはため息をつくように笑い、言った。
「行ってくれるか?」
「任せてください。イルス嬢ちゃんは必ず連れて帰りますよ。
私にとってもかわいい娘同然ですから…」
彼はそう言いながら、歩み去ろうとする。
もう戦いへと気持ちが向き、心はここにあらずという様だ。
「ガイル、死ぬな」
その背に大公は、小さくつぶやくように声をかけた。
それが聞こえたかどうかはついにわからなかった。
大公は手の中の震える感触で
無意識に握りしめられていた刀は、喜びにうち震えるようかのように、手のなかで強く脈動を繰り返している。
その時、辺りを揺るがすかのような羽音が城に響き包まれてゆく。
双頭の竜は、城の中庭へ降り立とうと巨大な翼を打ち下ろす。
城は不意の訪問者に眠りを妨げられ、まどろみの中から引きずり出されようとしていた。
◇
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今回は以上です。お付き合いありがとうございました。
残りは3、4パートかな?次の次くらいには、このお話で主人公としていたリルフの登場となるかなと思います(^_^;)
その前に双頭竜のシーンですね。果たして当時の自分は、強大なドラゴンというものを表現できているのでしょうか?←まだ目を通していないのです。…不安です(;´д`)
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