第31話 名付け 前

「うーーーーん、あれ?俺はどうなったんだ。」


「また、意識を失ったんだよ。今回は精霊達のせいだけど。」




エリスが今の状況を教えてくれる。




「大変だったんだよ。クライスが倒れた後リリカ様と精霊達が喧嘩しちゃうから。」




そうだった・・・。リリカ様が精霊達を挑発するから勝手に魔力を集めだして魔力切れを起こしたのか。




「もう大丈夫なの?」


「少し頭が重いのと身体が痛いだけかな。それ以外は大丈夫だと思う。」


「それ、大丈夫とは言わないんじゃない?」




俺の答えに呆れながら答えるエリス。


いや、仕方無いでしょ!!!他に何て言えばいいんだよ。


心の中で愚痴を言ってるとエリスが真剣な眼差しを向けているのに気付く。




「どうしたの?」


「あのね・・・・。私も王都に行く事にしたよ。」


「本当か!!!!」


「嘘ついてどうするのよ!!あんな告白までしといて・・・・。」


「すいません・・・・・。」




エリスが顔を真っ赤にして怒る。


今のは俺が悪い・・・。でも、エリスも王都に来てくれるのか・・・。素直に嬉しいな。




「なに、ニヤニヤしてるのよ。」


「いや、心底嬉しんだけど。だって、エリスと王都でも一緒にいられるんだよ?笑顔にもなるよ。」


「バ!バカ!!!恥ずかしいこと言わないでよ。」




怒られたな。素直な気持ちを言っただけなのに・・・。女性の気持ちは理解できない。




「もう!!そんな事よりも精霊達から伝言があるわよ。」


「は?伝言?何を言ってたんだ。」


「名前を付けてくろだって。右腕の子はカッコいい名前を希望で左腕の子は可愛い名前だって。」


「名前?しかも、カッコいいのと可愛いの・・・?本当に何言ってるんだ?」


「リリカ様との会話を聞いていたけど、『一心同体でこれから生きてくんだから名前を付けろ』って言ってたよ。」


「成程・・・、一心同体ね。一緒に生きていくなら名前は必要か・・・。」


「そうよ。多分右腕の子は男の子で左腕の子は女の子ね!!どんな名前にしましょうか?」


「え!!エリスも考えるの?」


「当たり前でしょ!!!クライスだけだと、一体どんな名前を付けるか心配よ。」


「信用ないなーーー。」


「今後、私も名前で呼ぶんだから呼びやすい名前を付けるわよ。」




エリスが意気込んでる。確かに名前は大事だけど俺以上に気合入れてるな・・・。


それじゃ、精霊達も起こして四人で決めるか。




意識と魔力を両腕に集中して精霊達を呼び起こす。


魔力により両腕の精霊結晶が輝きだし二体の小さな人の形を作り出す。




「あれーーー、もう大丈夫なの?」


「僕達が寝てからそんなに時間が経ってないはずだよね?」


「僕「私達を起こしてどうしたの?」」


「いや、名前を付けようかと・・・。」


「「名前!!!」」




予想以上の反応に驚いてしまい身体が強張るクライス。




凄い喜び様だな・・・。これは下手な名前が付けられないぞ。


全身から冷や汗を流しながら苦笑いを続けるクライス。




「さぁ、さぁさぁ、さぁ。一体僕たちにどんな名前を付けてくれるんだ?勿論、カッコいい名前だよね?」


「ああ、勿論可愛い名前なんでしょう?私達の期待を裏切らない可愛い名前なのね。」


「「一体何て名前なの?」」




二体の異常な興奮に傍で見ていたエリスですら顔を引き攣らせている。


まだ名前は決まってなく、これから決めるのだ。


二体の精霊に伝えた時の反応が怖くて中々言い出せない二人だった。

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