第27話 約束と告白

「クライス君?大丈夫ですか?」




リリカ様の問いかけに頷くことしかできない。


俺は王都に行ったらどうなるんだ?唯一の存在って言ってたよな。なら監視されての生活か?もう、エリスや家族に会えないのか?




クライスの思考はどんどん暗い方向に落ちていく。


様々な出来事が一気に押し寄せ思考は絡めとられる。


考えが纏まらず、リリカの言葉を反芻するばかりである。




「クライス、しっかりして!!」




パチン!!!


エリスに両頬を叩かれ目を見開く。




「悩むなら相談して、一人で悩まないで。私はクライスに何処までも付いていくよ。」




エリスの真剣な眼差しに魅入ってしまう。


何処までも真っ直ぐなエリスの瞳にクライスの思考も引き戻される。




「ありがとうエリス。そうだよな、一人で悩んじゃ駄目だよな。」




エリスが笑顔で優しく微笑んでくれる。


やっぱり、エリスは可愛いな。そして、何時も俺を元気づけてくれる。




すーーーーー、はーーーーー。深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着かせる。


時間をかけて気持ちを落ち着かせてリリカと向かい合う。




「リリカ様、王都に一緒に行った場合僕はどうなるんでしょうか?」


「まず初めに言っておきます。クライス君を何処かに監禁して研究等させませんし、あなたの周りの人物に危害を加えはさせません。それはリリカ・フォン・マルスの名と第3王女の立場により絶対にさせません。それが例え国王である父上であっても許しません!!!確実に約束いたします。」




リリカがクライスの一番心配しているだろう懸念を払拭する。


その言葉と雰囲気はクライスを安心させるのに十分だった。




「ありがとうございます、リリカ様。ではあと一つ確認しても宜しいですか?」


「ええ、大丈夫ですよ。何でも仰ってください。」


「まだエリスと一緒に王都に行く事は可能ですか?僕はエリスと離れるのは嫌なんです!!エリス、俺と一緒に王都に来てくれないか?いきなりなのはごめん。でも、エリスと離れるのは本当に嫌なんだ!!!」




クライスの突然の告白にエリスは顔を真っ赤にして驚く。


リリカは聞くことが判っていたのか驚かず笑顔のままで答えてくる。




「ええ、お茶会の際にも言いましたがエリスさんにも王都に来ていただきたいと思っておりますので大丈夫ですよ。勿論、エリスさんが行きたいと言うのならですが。」


「そうですか、わかりました。」




クライスはスッキリした顔で目を瞑る。




俺の気持ちは伝える事が出来た。後はエリスが決める事だ、例え断られても悔いはない。


後は父さんや母さんをどう説得するかだよな。絶対驚くだろうな。まあリリカ様に言われたら断れないよな・・・。




「ふふふ。自分の心配よりエリスさんと行けるかの心配ですか。エリスさん羨ましいですわ。」


「いえ、そんな突然言われても。嬉しいですけど、父様と母様に何て言えば・・・・。」




エリスは両頬を抑えて身体をくねらせる。


静かに顛末を見守っていたアーカムは身体を小刻みに揺らし脚は小刻みに震えていた。


そして、突然立ち上がりリリカに頭を下げる。




「リリカ様、僕は今回の事を父上に報告してきます。後ほど父上からも詳細を尋ねられると思いますがスムーズに話し合いができるよう場を整えておきます。」


「そうですか、わかりました。後ほど、今回の詳細を纏めた書類を作成します。後は、お二人の回答とご両親にも報告が必要ですからね。」




アーカムはリリカに一言断りをいれると足早に出ていく。




「さて、もう少しお話は続きますが身体の調子は大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫です。」




そして、アーカムを見送った後リリカとクライスの話は続くのであった。

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