得心
真白は全部喪った。家族も親戚も友人も知人も実は嫌いだった人も地球が侵略されなかったら真白と恋人か夫になってくれたかもしれない人もよく知らない人も真白を一方的に認知していたかもしれない人も、みんな。親から授かった名前と肉体以外、何にも遺されていない。
真白と地球を構成していたものを悉く壊した存在に、好きだ愛してると言われて、抱き締められてキスされて、遺骨で出来た指輪を嵌めてもらって、何が書いてあるかはさっぱりだが、婚姻届らしき書類を見せられた時に、自分の居場所にできたような気がして、嬉しかった。
屋敷も庭も広大すぎて閉じ込められている感覚はない。自分の留守中は暇だろうとペットまで連れてきてくれた。海月に似た生物が真白に懐くように、真白も『夫』という名の飼い主にごろごろ甘えて眠る日々、とても幸せな事なのだと、信じる事にした。
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