第20話 命者(みょうじゃ)
大通りの街道、街路といえど、小道、裏道と同じように陽は沈み夜は来るもので、次第に街中らしい静けさ、
住宅街なら
かつて生と死の間に
壁が無くなると、隔てるものが消え、区切り
伴走しているような、完全に重なっているような。生と死だけではない、それは私とも丸っきり重なっており、私が歩くことは生が歩くことでもあり、死が歩くことでもある。大通りを生死が歩いていく。
生と死が
その時には地獄もあった。今はない。
おそらく地獄とは生と死の間で燃えさかる火のようなものだったのだろう。それを分ける火の壁であったのだろう。それが無くなっていることに、いま大通りの角、アパートに近づく道に入る段になって気づいたのだ。これでは
静まり沈む見慣れた帰り道にまだ、遠く霞んで紫陽花は咲いているか。
(続く)
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