6話 告白。

「…………え?」


 俺はなー姉ぇからの告白に思わず茫然としてしまう。


 なー姉ぇは俺のことが好き……? あたしと付き合って下さい……?


 ってことは、恋人関係になろうってことだろ……?


 …………えぇぇぇぇぇぇぇ!


「い、いつから俺のことが好きだったの!? 俺、まったく気づかなかったんだけど!」


「いつからって……気づいた時には好きになってたから分からないよ。 少なくともアッキーと会えなかった3年間は寂しかったし、辛かったよ」


「そ、そうなんだ……」


「だから、アッキーのおじいちゃんが、今年はアッキーが来るって教えてくれた時は嬉しかった。 来る日と時間帯はおじいちゃんが大体教えてくれたから、ずっとあの日は待ってたんだよ?」


 だから初日、あの場所にいたのか。


「2日目はとりあえず遊びたかったけど、なにをすればいいのか分からなかった。 だから、最後にこっちに来た時にした虫取りをしようと思って誘ったの。 まさか、最初アッキーがセミ触れなくなってたのは予想外だったけどね」


 なー姉ぇに言われて思い出した。 確かに前来た時に最後にしたのが虫取りだったな。


 あの時も朝、俺負けちゃって、縁側で昼寝をしてからまた再戦を申し込んだんだっけ。


「3日目は釣りに水遊びしたね。 2日目までにアッキーが時々あたしの胸とかお尻を見ていて、あたしのことを異性として少しは意識してくれていることが分かった。 だから、恥ずかしかったけど水着姿をアッキーに見てもらってアピールできたらいいなって思ってたんだ……どうやら効果てきめんだったみたいだけどね」


 む、胸とかお尻見てたこと気づかれてたのか。


 ってか、もしかしてボディタッチが多かったのって俺にアピールするためだったのか!?……ちくしょう! 見事になー姉ぇの罠にハマッちまった!


「4日目の時点で今日告白することはあたしの中で決まってた。 だから、少しでも良いところをアピールしたくて、自分の頭が良いってことをアピールするためにアッキーの宿題を手伝ったんだ。 このためにあたし、自分の宿題すごい早さで終わらせたんだから!」


 なー姉ぇそんな狙いがあったんだ……見事に俺、なー姉ぇの狙いに気づかずに感心しちゃったよ。


「そして、今日。 成長したあたしの浴衣姿を見て、少しでもアッキーがあたしを女の子として見てくれたらいいなって思ってた。 結果は最高だったよ。 あんなに惚けた顔で本心の『綺麗だ……!』が聞けて、あたしの心臓は破裂しそうだった」


「全部、全部……! アッキーに女の子としてみてもらいたい! 意識してもらいたい! 好きになってもらいたいって思って…………頑張ったんだぁ……!!」


 なー姉ぇは瞳に涙を溜めながら震える声で話す。


 そんななー姉ぇが愛おしくて、俺は思わずなー姉ぇを抱きしめた。


「アッキー……?」


「なー姉ぇ! 俺もなー姉ぇのことが大好きだ! こんなに俺のことを一途に思ってくれているんだ! 惚れないわけないだろ!!」


「ア、 アッキーぃ……!」


「なー姉ぇ……こんな俺だけど、俺と付き合ってください!」


「…………はい!」


 なー姉ぇが返事をした瞬間、大きな大きな花火が空へと打ち上げられた。


 そして、大きな一輪の花が咲いた瞬間に、俺となー姉ぇの唇はそっと重なったのだった。

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