4話 宿題。

「明日は夏祭りがあるからね! 今日は宿題を少し終わらせておくよ!」


「え、なー姉ぇって夏休み中に宿題終わらなくて泣くタイプだったよね?」


「それは過去のなー姉ぇです! 今のなー姉ぇは生まれ変わり、もう夏休みの宿題は全部終わらせたのです!」


「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 田舎に来て4日目。 今日は朝早くからなー姉ぇがまた家に来た。


 昨日は釣ったアユで宴会じゃあ!って言って、初日と同じぐらいの時間に宴会がお開きになって寝たのに、なー姉ぇは本当に元気だなぁ。


「アッキー宿題持ってきているでしょ? お姉ちゃんに見せなさい!」


「へいへい」


「どれどれ……アッキー! 全然宿題終わらせてないじゃん!? これヤバいよ!?」


「大丈夫大丈夫。 きっとなんとかなるよ」


「なんとかなるとかじゃなーい! アッキーそこに正座! すぐに宿題やるよ!」


「えぇ~せめてこのテレビ見てからでさ————————」


「す・ぐ・に・や・る!!!」


「……は~い」


 俺は横になっていた姿勢を戻して正座をする。


 なんかなー姉ぇ気合入ってるな。 そんなに夏祭りに行きたいのか。


「まずは数学からやっていこうか。 一番数学が進んでないってことは苦手なんでしょ?」


「そうだよ」


「ならさっさと終わらせちゃおう。 分からないところはあたしが教えてあげるから」


「え、でもなー姉ぇって……言っちゃあれだけどバカだよね?」


「それは小学生の頃の話。 今は……じゃっじゃっじゃ~ん! 見てよこのテストの点数たちを!」


「ん~! うぇ! 100点がいっぱい!?」


「5教科平均96点だよ! 凄いでしょ!」


「すげぇぇぇぇぇぇ!」


 なー姉ぇ無茶苦茶頭良くなってるじゃん! 凄いな!


「なー姉ぇなんでそんなに頭良くなったの? あんなにバカだったのに!」


 俺がそう言うと、なー姉ぇに拳骨を落とされた。 痛てぇ。


「バカバカ言わないの! ここド田舎でしょ? 高校に行くのも一苦労なのよ。 だから、とりあえず勉強しておけば、一人暮らししながら良い高校に通うとかの選択肢が増えるなって思って勉強したの」


「そうなんだ……しっかり考えてるんだな」


 俺なんて都会にはいっぱい高校があるから、どこかの高校には入れるだろうって楽観的に考えてたな。 ちょっと反省。


「それにこんなド田舎だとすることがあんまりないからね。 勉強って良い時間つぶしにもなるのよ」


「そうなんだ」


「そうなのよ……ってか、時間が着々と進んでるね。 早く宿題に取り掛かろう! 休憩しながらでいいから、今日中に持ってきた宿題を終わらせるよ! いい!?」


「ヒェッ! 鬼教官だぁ~!」


「なんとでも言うがいいわ!」


 俺はなー姉ぇ監修のもと、宿題を終わらせていく。


 途中休憩でかき氷を食べたり、昔のテレビゲームをしたりしたけど、なんとか夕食までには宿題を終えることができた。


 その後はなー姉ぇも一緒に夕飯を食べて、22時ぐらいまでテレビゲームを一緒にしたのだった。


 ……レースゲームしたけど、なー姉ぇって画面と同じ動きをするタイプだったんだな。


 ドリフトとかジャンプする時、画面と動きが連動していたよ。


 その姿がなんとも可愛らしかったな。 恥ずかしくて本人には言えないけど。

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