3話 魚釣りと水遊び。

「アッキーとこの川に来るの3年ぶりだね」


「そうだね。 ここもそんなに変わっていないなぁ」


 田舎に来て3日目。


 今日は昼にそうめんを食べていたら、なー姉ぇが釣りセットを持って現れた。


 どうやら今日も遊ぶらしい。 今日は川で魚釣りと水遊びだ。


「アッキーと釣りってしたことないね。 アッキーは釣りしたことある?」


「父さんとしたことあるから大丈夫だよ。 でも、今日の釣りの餌ってなに? ミミズとか?」


「ううん。 うどんだよ」


「うどん? うどんで釣れるの?」


「案外釣れるよ」


「そうなんだ」


「そうなんだよ。 よ~し今日はいっぱい釣ってみんなで塩焼き食べるぞ~! アッキーも頑張ってよね!」


「うん。 川魚食べたいし、どうせならいっぱい釣りたいからね。 頑張るよ」


 俺達は餌をつけてから釣り竿を振る。


 ポチャっという音が鳴ると、他に聞こえてくるのは鳥のせせらぎと水の流れる音、そよ風に揺れる草木の音だけになった。


 あぁ~なんか落ち着くし癒されるな~。


 最初は1週間も田舎でなにしようって思っていたけど、なー姉ぇのおかげで退屈しないな。


 むしろ暇つぶし用に持ってきたゲームができないよ。


 こんな夏休みもありだな。 楽しいな。


 俺はそんなことを思いながら、隣に座っているなー姉ぇを見る。


 なー姉ぇ本当に可愛くなったよなぁ……でも、無防備で困るんだよな。


 今、俺は思春期だ。 色々と気になるお年頃。


 なのに、なー姉ぇは俺を男として意識していないのか無防備なことが多い。


 前に屈んで胸の谷間が見えることだってあるし、俺の前でも激しく動くから、よく胸が揺れたり下着がチラッと見えている。


 それにボディタッチがとにかく多い。 俺はいつもドギマギさせられてしまう。


 なー姉ぇって、今の全校生徒小学生も入れて7人っていう田舎の学校じゃなくて、都会の学校に通ってたらモテモテだったろうな。


 誰にでも優しくてボディタッチするタイプだろうから、なー姉ぇはその気がなくても、男の子をその気にさせる小悪魔な女の子になっていたに違いない。


 …………なー姉ぇ、恐ろしいな。


「ん? アッキーあたしのことじっと見てどうしたの?」


「え、い、いや……あ、なー姉ぇきてる! きてるよ!!」


 俺がじっとなー姉ぇを見ていると気づかれてしまった。


 どう言おうか悩んでいると魚がヒットする。 なー姉ぇの意識が魚に向いたから助かったな。


「よっ! ほっ! しゃあ! 釣れたよアッキー!」


 なー姉ぇがリールを引いて魚を釣り上げる。 良い大きさの魚だ。


「これってなんの魚?」


「多分アユじゃないかな?」


「アユって塩焼き美味しいやつじゃん! 流石なー姉ぇ!」


「!! へへっそれほどでもあるかな!!」


 なー姉ぇは得意げに胸を張る。 よ~し! 俺も頑張るぞ!


 俺となー姉ぇはそこから2時間ぐらい魚釣りを続けた。


 そして、俺が2匹、なー姉ぇが4匹のアユを釣り上げた。


 え~と……俺だろ? 豊川一家3人でしょ? じいちゃん、ばあちゃんもいるから……うん! みんなに一匹ずついくな!


「アッキーやったね! これでみんな食べられるよ!」


「やったねなー姉ぇ!!」


「うん! これで心置きなく水遊びができるね!」


 なー姉はそう言うと、アユが入っているバケツを地面に置いてショートパンツを脱ぎ始める。


 ちょ、ちょっと!?


「なー姉俺もいるんだからいきなり脱ぎ始めないでよ!」


「え~大丈夫だよ。 下に水着来てるから問題ないよ~」


「だとしても! 急に脱ぎ始めると度肝抜かれるから勘弁してよ!」


「は~い次から気を付けま~す」


「それ気を付ける気ないやつじゃん!」


「ふぅ……着替えたからこっち向いていいよ~」


「えっ! もう着替えたの!?」


「だって脱ぐだけだしね」


 俺はなー姉が向いていいと言ったから、ゆっくり見る。


 そこには学校指定のスクール水着を着ているなー姉が立っていた。


 胸元にある『とよかわ』と書かれているワッペンがもの凄く形を変えている。


 ………………スゲェ。


「どうしたのアッキー? アッキーも水着に着替えなよ」


「え、あ、うん分かった。 じ、じゃあ覗かないでよ?」


「覗いちゃ駄目なの?」


「当たり前でしょ!?」


「アハハッ冗談だよ冗談」


「ったくもう……」


 俺は草むらに隠れて水着に着替える。


 そして、水鉄砲や水風船を使っておもいっきり夕方まで水遊びを楽しんだのだった。


 ……スクール水着の上から着ているTシャツが水で濡れると、破壊力凄いな。

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