聖剣ストライクブレイカー75号と満挽良男(1)


聖剣ストライクブレイカーstrike-breakerの納められた箱は東ノ国に届いた後、人間がその剣をどこかに運んで、108の聖剣はばらばらになってしまった。


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これを見た迦琉がいった。

「あれ? 人間が箱を開けたよ?」

華厳はひとつ舌打ちをした。

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108本の聖剣のうち一本は、満挽良男まんびきよしおという人間の手に渡った。その聖剣の番号は75号である。


満挽良男は、小奈良勝利の友達であった。


満挽良男は、聖剣ストライクブレイカー75号に「石切丸」という名前を刻み付け、その剣を固くなった大地の岩盤に突き立てて、こう叫んだ。


「大地よ!我のために働け!」


すると石切丸はたちまち弾けとび、空を舞って満挽良男を襲うと、満挽良男の皮を剥いで、天に吸い込まれるように風に乗って東の方角の空に飛んだ。


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「使い方を間違うとこう。」華厳が言う。

「どうして?」迦琉が訊ねた。

「わからない?」華厳が答える。

「大地の怒りだ。」刻光が続けた。

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大地は裂け、岩を突き出して、満挽良男を襲う。


「やはりそう来たか。」

満挽良男は不敵な笑みを浮かべてそう言って、右や左に体をひねりながら、くねくねとこれをかわした。


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「こんな避け方はあり得ない…。」刻光が言った。

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そこに小奈良勝利が現れ、満挽良男に救いの手を差し伸べたのである。


2人は逃げた。


行き先は何処いずこか。


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神々は、これを見守ることにした。


「どこに逃げるのかな。」迦琉が心配そうにしている。

「カルマのご機嫌次第かな。」命琉が最初に席を立つ。

「だって聖剣は?」

「もう任せておけばいい。」


華厳が人間界を映す鏡を閉じ、刻光が書類をまとめ立ち上がると、迦琉は大人しく2人の後についた。


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