プルヌス・ローブのこと

 プルヌス・ローブは、無垢の女神である迦琉カルに向けて他の神々が贈った、戦いのための衣装である。これには美の女神の魔法がかけられており、その姿や機能は自在に変えることができる。


 迦琉はあるとき、外敵が迫ったことから、人の隠れられる大きさまでプルヌス・ローブを広げ、その内に閉じこもった。ところが、それでかえって見えない外敵の恐ろしさを増すことになった。


 迦琉は言った。

「あれでは危ない。中からこっそり外が見たい。」


 美の女神は、纏う者がそれを願えばよいという。

 しかし、こう付け加えた。

「それは美に反すること。」


 迦琉は言った。

「私は、美の女神ではありませんから。」


 プルヌス・ローブは今日も新たな姿を見せる。


 迦琉は言った。

「洗濯は毎日です。」

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