BDB49

東ノ国。1990年。

ある音楽プロデューサーがいた。名前をトングという。


録音作業の準備を始めていたトングのもとに、ある男が訪ねてきた。体ははち切れんばかり。髪をなでつけ、Tシャツは汗ばんでいる。よく行く場所は秋葉原だという。


彼は連れてきた仲間と、声を揃えて言った。

「僕ら、何でもやります。人気者にしてください!」


トングは目を見開いた。

そして、手元の機材を弄びながら、しばらく黙るとこう言った。


「君たちは、死ぬほど苦しむかもしれない。それでいいか?」

「はい!」

全員が声を揃えた。


彼らが女神の微笑みを手にするまでの物語は、ここから始まった。


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