神々の日々「雪を迎う柊」

その香りが辺りに満ちると、細く長い指が、はるか昔から伝わる加護を封じた、香水の蓋を閉じた。


金剛石ダイヤの触れ合う音を微かに残し、雪柊ユウシュがその小瓶を置く。


視界が乱れている。


------------------まただ。


力が…弱まっている。


私の一部であった柳喃リュノとの別れから時が経つ。

私は何を失ったのか…。

彼女と共に、美を探し求めた。

その声は、いまも頭の中で鮮明に囁く。

彼女はもういない。


私は一人、完全なる美を求め、その道についた。

そして全てを修め、その先を追う。


取り戻すべきは彼女か。

いや。那由多なゆたなる美の力に加ゆるものはもうない。

私は、頭の先から爪先まで…この身体を思念ひとつで変容させ、いかなる美しき身様をも顕す術を得た。


私は…、何を求めよう。


雪柊は髪を整え、さらりと外套を羽織った。


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