My Guitar History #8(2006-2007)

僕のギターヒストリー、第8話です。


バンド「ナイト・クロウラー」は無期限活動停止となってしまいましたが、そこで僕の音楽活動がストップしたわけではありませんでした。


アコースティック・ユニット、そしてブルース・セッションというふたつの形態で、しぶとく活動は続いたのでした。


話は過去に遡りますが、「ナイト・クロウラー」を結成したきっかけは、2001年7月の有志5人によるスタジオでのジャムセッションでした。場所は西荻窪にしおぎくぼにある、スタジオUEN(ユーイーエヌ)。


このセッションは2回目より、他の希望者も参加可能な「公開制セッション」へと発展しました。


2003年9月までに計6回を開催、最後は総勢17名の大セッションへと成長しました。


まだ、ブルース・セッションが今日のように各所で開催されていなかったこともあり、予想外の人気を集めたのです。


ナイクロの活動を優先するようになり、この「西荻セッション」は終わりになりましたが、このセッションこそが、僕の現在に至るブルース・セッション活動の原点だと思います。


そして、僕がその後セッションを続けていく上で常に大きな味方であり、音楽と人生の先輩であり、かけがえのない友人であったのがりっきーことりきおさん(故人)でした。


彼は音楽活動を断続的にしかやって来なかった僕なぞとは違い、大学を卒業して家業の割烹店を継いでからもアマチュアバンド活動をずっと続けてきた、筋金入りの音楽人でした。


彼はギター、ベース、ボーカルがメインパートでしたが、ドラムス、キーボードなど他の楽器もこなす、オールラウンドプレイヤーでした。


とにかく音楽経験がハンパなく豊富で(レコーディングのこともよく知っていました)、人脈が広く、腕前も聴く耳も確か、男っぷりもよく、しかも誰とでも分け隔てなく接する広い心の持ち主なので、周りには彼を慕う人々が(男女を問わず)大勢集う、そんな感じでした。


彼は性格も生活環境もだいぶん違う、僕のような人間にもとても友好的に接してくださったので、本当にありがたかったです。


彼が公開セッションに途中から参加して以来、ずっと親しくさせていただきました。


セッションに毎回来ていただくだけでなく、彼の経営する向島むこうじまのお店「寿家ことぶきや」(後に押上おしあげに移転して「Kotobuki」と改名)にも頻繁に通って、店内で即席セッションを繰り広げたものでした。


本当に楽しく、充実した時代でした。


ナイクロ活動停止後の2006年、彼、そしてハーピストのSさんに声をかけて、アコースティック・ブルースのユニット「MAC & SUGAR DADDY」を結成しました。


ライブの場はもっぱらりきおさんのお店、押上の「Kotobuki」です。


このユニットのために同年買ったのが、エピフォンのブラウンサンバーストのEL-00。2万7千円。


以前買ったスタッフォードのパーラーギターではさすがに音量不足なので、これを新たに購入しました。


現在でもたまに弾きます。15年も経つと次第に鳴るようになってきました。


そこで年数回のライブをやるうちに、りきおさんがこういう提案をしてくれました。


「また、西荻のようなセッションを復活させましょうや。今度はブルースに絞ったやつを。


場所は曳舟ひきふねのスタジオ、メンツはわたしの知り合いに声をかけますから」


実はそれ以前も曳舟のスタジオで、ナイクロの元メンバーNさんとその奥さん、りきおさんとその奥さんを中心としたロック色の強いセッションが何回か開かれていて僕も参加していたのですが、りきおさんはそのセッションが「仕込み」を必要とするアレンジものの曲中心になり、ブルースをあまりやらなくなったのが気に入らなかったのです。


この提案には僕も賛同、通称「曳舟セッション」が2007年5月よりスタートしました。


僕とりきおさん、そしてそれぞれの知り合いを呼んで10名足らずでやる、ごくごく身内なノリのセッションでした。


アルコールや食べ物も持ち込み可のスタジオでしたので、お酒に酔いながら歌い、演奏する3時間。


これが実に居心地のいいセッションでした。


ある新規参加メンバー曰く「東京一ゆる〜いセッション」。


まさに言い得て妙でした。


テクニックをひけらかしたり、互いにバチバチと火花を散らしたりすることなど絶対にない﹅﹅、お気楽極楽なセッション。


ある意味理想の音楽世界が、そこに実現したのでした。(続く)

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