第413話 いい気味だわ!

「や、やめっ……」 



 ブチブチブチっ!



「ガャァァァァアッ!!」


 肉を引き裂く音が鳴り響き、その音を掻き消す悲鳴が上がる!



 ビチャビチャッ!!



 大量の血が地面に落ちて弾ける!


「あはっ! ん?」


 あ〜あ、あまりの激痛に失神しちゃったか。

 まぁ痛覚を数倍に引き上げられた状態で私に力付くでゆっくりと翼を引き千切られたわけだし、いかに熾天使と言えども失神しちゃうのも仕方ないか。


 うんうん! わかる、わかるよ! ヨハンくん!!

 何たって私もかつて痛覚を無理やり上げられた状態で拷問されたからな。

 あの狂いそうな激痛は筆舌に尽くし難いよね〜!


 まぁ、まだ3対ある熾天使の翼の内まだ片方。

 半分の翼しか引き千切ってないから、もう片方の翼が残ってるのにヨハンが失神しちゃったのは残念だけど……


「ふふっ!」


 幸い、熾天使は他にもいるし別に良いや。


「ひっ……!」


 むっ、ちょっと視線を向けただけで引き攣ったみたいな悲鳴をあげるとか本当にインテリクソメガネ熾天使パウロは失礼なヤツだわ。

 こんな超絶美少女に微笑みかけてもらえたんだぞ? それなのに怯えた悲鳴って……真っ赤になって光栄に思えっての!


『いやぁ、失神したヨハンの残ってる翼を掴んで引き摺ってる悪魔ちゃんの邪悪な笑みを見たらこうなると思うよ?』


 むぅ、煩いぞバカ邪神!

 せっかく可哀想だからこの世界にも干渉できるようにしてあげたのに……まぁ、熾天使共が恐怖に震えるのも見てて面白いから別に良いけど。


「はぁっ!!」


「喰らえっ!!」


 左右から襲い掛かってきたバルトロとフィリが魔素でできた戦鎚と剣を振り上げ……


「っ!」


「ぐっ!?」


 四肢と翼を一思いにぶった斬って、勢いのままに突っ込んできた2人の首を刎ね飛ばす!


「く、来るなっ!」


 ぷぷっ! ちょっと前までは私への怒りや憎悪、侮蔑に満ちいていた顔をすっかり恐怖と怯えに染め上げてちゃって!

 しかも……腰抜かしちゃってるじゃん!


 1回目は斬首、2回目は撲殺、3回目は圧死、4回目は焼死、5回目は溺死。

 で、今回が6回目だけど、まだ5回しか殺されてないのにもう心が折れたのかな?


「ふむ」


 まぁ、それぞれの回でそれなりに甚振ってから殺したし。

 思考加速で実際は数分でもコイツらにとっては、一回一回が死ぬまで何日にも感じてるだろうし。

 まだ6回目なのに心が折れるのも仕方ないのかな?


 う〜ん、まぁ良いや。

 本当なら翼を一枚一枚引き千切ってないから殺してやろうと思ってたけど、バルトロとフィリはもう殺しちゃったし。

 私の気が済むまでこの処刑は何回でも続くからな……よし、ここは一思いに首を刎ねて殺してやろう!


「く、来る……」


 パウロとヨハンの首を落としてっと!


「っ〜! っ!!!」


「ん〜〜! っ!」


「ふふっ」


 四肢を切断して、ついで喉を潰して喋れないようにして創造した椅子に拘束してるクズ勇者とアバズレ聖女の前にあるテーブルに熾天使共の首を並べる!


「気に入った?」


「っ!! っー!」


「んー! っ!?」


 右から順にクリス、クソ女神、そして熾天使4人の首! 毎回毎回、一々首を切り落としてコイツらの前に並べるのって結構面倒だけど……うんうん! 涙を流すほど気に入ってくれてるなら何よりだわ!!


「ふふっ、じゃあ始めよう」



 パチン!



 指を鳴らすと同時に出現する十数体の醜いゴブリン!


「ギィ!」


「ギィギィっ!!」


「ん〜〜っ!! っ! っっ!!」


 ゴブリン共が女であるアバズレ聖女に群がって服をビリビリと引き裂き、アバズレ聖女が声にならない悲鳴をあげる!


「ッー!! っ──!!」


 自分の隣でゴブリン共に襲われて泣き叫ぶアバズレ聖女にクズ勇者が必死の形相で喚き……


「ギギッ!!」


 せっかくのお楽しみを邪魔されて苛立ったゴブリンが棍棒をクズ勇者の側頭部に容赦なく振り下ろす!

 まぁ、ゴブリンの攻撃なんてクズ勇者には殆ど何の意味もないけど……痛覚を無理やり引き上げてる状態なら多少の効果はあるだろう。


「ふふっ!」


 3回目からクズ勇者とアバズレ聖女には私がされた仕打ちと同じ事を受けてもらってるけど……


「あはっはっはっはっ! ねぇ、今どんな気分?」


 いい気味だわっ!!

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