第411話 全員仲良く、殺してあげる

 熾天使共の頭が地面に転がる!

 首から上が無くなった熾天使共の身体から真っ赤な血が噴き出して、地面に赤い水溜まりを作り出す!!



 ピチャっ……



「むっ」


 飛び散った熾天使共の血が頬に着いちゃった。

 これ以上、コイツらの血で汚れるのは嫌だし……



 パチンッ!



 軽く指を鳴らして重力魔法!



 グチャッ……



 これでよしっと!

 首から下の身体が残っているから血が吹き出るのだ。

 だったら、重力魔法で吹き出てる血ごと押し潰しちゃえば問題なし!

 ふふん! 流石は私、我ながら冴えてるわ〜。


「あぁっ! そんなっ!!」


 むぅ、煩いぞクソ女神!

 せっかくいい気分で自画自賛してるのにお前の声のせいで台無しだわ。


「よくもっ! よくも、私の愛しい子達をっ!!」


「ふふっ」


 何を言い出すのかと思えば、涙まで浮かべちゃって!


「愛しい子達? 都合のいい下僕でしょ?」


「なっ!?」


「ふふ、図星?」


「っ……!」


 そんなに必死になって心優しい慈愛の女神様を演じなくても良いのに。

 お前が贖罪と言って自分自身で責任を取るわけでも無く、私に全ての責任を擦りつけて生贄にする事を黙認してた血も涙もない冷酷な女神だって事はもう全員が知ってるんだし。


「黙りなさいっ! これ以上、この子達を侮辱する事は許しませんっ!!」


「ふむ……」


 黙りなさい、ね。


「〝動くな〟」


「ッ!?」


「女神アナスタシア。

 お前は勘違いしている」


「な、何を!」


「黙りなさい?」


 一歩、また一歩と。


「許さない?」


 身動きの取れないクソ女神にゆっくりと歩いて近づき……


「誰に命令している?」


 翼を広げて浮かび上がり、クソ女神の両頬に手を添えてその瞳を覗き込む。


「ぇ、ぁ……」


「女神アナスタシア。

 お前如きが、私に命令するな」


 両手を添えていた頬から手を離して呆然とするクソ女神の両腕を斬り飛ばす。


「……っぁ!?」


 数秒の間を置いて呆然としていたクソ女神が自身の腕を切断された激痛で正気に戻り……


「がはっ!」


 激痛に顔を歪めるクソ女神の鳩尾に回し蹴りを叩き込んで吹き飛ばしてっ!

 地面に転がっていたクズ勇者の神剣ワールドを魔力で浮かべて……吹き飛んでるクソ女神に向けて発射!!


 ぶら下がっていたクズ勇者の右腕は吹き飛び。

 音すら置き去りにして音速を超えて、ソニックブームを発生させながら飛来する神剣ワールドが一瞬でクソ女神へと到達し……


「ぅぐっ──!!」


 クソ女神の腹部を貫き大きな風穴を開ける!!


「ふふっ」


 両腕を失くし、お腹に大穴を開けられて、血を撒き散らしながら地面に転がっても立ち上がろうとするとは。

 流石は女神、脆弱な人間共ならとっくに死んでてもおかしくないのに頑丈だなっと!


「ぐっ! ぅぅ……」


 おぉ、怖い怖い。

 立ち上がろうとしてたから胸元を踏みつけて地面に叩き付けてやっただけなのに。


 そりゃまぁ確かに、ちょっと力が入って地面に亀裂が走ったし、今のでクソ女神の肋骨とか胸骨とかは砕けたけど、そんなに睨まなくてもいいのに。


 あははっ! そんな目で! そんな憎悪と怒りの篭った目で睨まれると……殺意が湧いてくるじゃん!!

 う〜ん、本当はもっと痛ぶってから殺してやろうと思ってたけどもういいや。


「ねぇ、痛い?」


「な、なに、を……」


 本来なら超越者であるクソ女神は痛覚無効で痛みなんて感じない。

 けど、痛みを感じないはずのクソ女神が今は激痛に苛まれているのは何故か?


「私の攻撃は、肉体だけじゃ無くて、魂をも破壊する」


 ふふふ、今更気が付いたクソ女神の顔がサッと青褪める。

 つまり! 私は悪魔族私達と同じで精神生命体であるクソ女神の魂を消滅させる事が……完全に殺す事ができるって事だ!!


「お前も、これで……」


 ゆっくりと魔刀を持ち上げると、怒りと憎悪に染まっていたクソ女神の顔に恐怖と怯えが浮かぶ。


「っ──待っ……」


「〝切り刻まれろ〟」


「がぁっ!?」


「きゃぁっ!!」


「ッ──!!」


 地面を踏み込んで私に飛び掛かろうとしていたクズ勇者が。

 私へと攻撃しようと杖が掲げていたアバズレ聖女が。

 再び聖なる領域を展開しようとしていたクリスが。

 各々が悲鳴をあげて、全身から血を撒き散らしす!!


「いやぁぁ! 痛い! 痛いよぉ!!

 誰か、助けてっ!!」


 あらら、聖女様ともあろう者が全身を切り刻まれた程度で地面に蹲って泣き叫ぶとか無様だな〜!


「煩い」


 泣き喚くアバズレ聖女に向けて魔刀を軽く振るって斬撃を飛ばし……地面についていた両腕を切断する!


「ぶべっ!?」


 あはっ! いきなり体の支えが無くなったせいで顔から地面に激突した!!


「リナっ!!」


「ッ〜!! 腕が! 私の腕がぁぁっ!!」


 両腕を斬り飛ばされただけなのに煩いなぁ。

 まぁ、良いや。

 喚いてるアバズレ聖女は無視して……


「なっ!?」


 姑息にも転移で逃げようとしてたクソ女神の転移を強制キャンセル!


「安心して? 全員仲良く、殺してあげる」


「や、やめっ……」


 クソ女神の言葉を無視して魔刀を振るい……膝をついていたクリスの。

 無様にも倒れ伏していたクズ勇者の。

 泣き喚いていたアバズレ聖女の。

 クソ女神の。


「あはっ!」


 首が血を撒き散らしながら宙を舞って、地面に落ちた!!

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