第407話 世界創造
「擬似神能……」
「驚くのはまだ早いですよ。
勇者ノアールだけではありません」
『ぴろん!
聖女リナが──』
『ぴろん!
大賢者マリアナが──』
『ぴろん!
教皇クリスが──』
『ぴろん!
姫騎士フェリシアが──』
『ぴろん!
冒険王ガスターが──』
「これが私の愛しい子達の……貴女が醜いと蔑む人間の力です」
「……」
うそ、でしょ?
まさか、そんな……!
「ふふふ、流石の貴方でも驚きで声も出ないようですね」
擬似神能って何っ!?
『って! そっちかいっ!!』
そんなの知らないんだけど!!
てか、何でクソ女神は当然みたいな感じで話してんの?
それって知ってて当然の事なの? 知らなかったら恥ずかしい系のやつなのっ!?
ピシッ!
『はい、どうどう。
とりあえず落ち着いて』
煩いぞ邪神!
ま、まずい事態になった。
流石にこの状況で擬似神能なんて知らない、何てカッコ悪過ぎて言えない。
ピシピシッ!!
ポ、ポーカーフェイスだ、ポーカーフェイス!
クソ女神共にこの動揺を、私が擬似神能の事を知らない事が悟られてはならない。
ふぅ〜、何とかこの窮地を乗り切らなければ……!!
『悪魔ちゃん、動揺し過ぎだから。
漏れ出た魔素でアナスタシアの鎖に罅が入ってるよ?』
あっ、せっかくカッコよく脱出しようと思ってたのに。
私とした事が取り乱してしまうとは……
『落ち着いたようだね』
てか、何シレッと登場してんの?
一応ここ干渉不可のクソ女神の神域の中なんだけど……いやまぁ、どうせお前の事だから普通に見てるだろうとは思ってたけど。
『いや、悪魔ちゃんも干渉不可の神域に干渉して外部の人間達にここの映像を見せてるじゃん』
ふふん! 当然!!
何たって私は〝干渉〟を本懐とする付与を極めし者だからな。
神に至る前ですらファルニクスの神域に干渉した私にかかれば、クソ女神程度の神域に干渉するのなんて雑作もないのだよ!!
それで? 何かよう?
見ての通り、鎖で雁字搦めに拘束されて。
目の前でクズ勇者共が覚醒しちゃって今忙しいんだけど?
『とてもそうは見えないけど……テンパってる悪魔ちゃんに擬似神能について教えてあげようと思ってね』
べ、別に、テンパってなんか無いし。
けど、お前がそこまで説明したいって言うのなら聞いてやる。
『全く、素直じゃ無いね。
擬似神能とは、他者の恩恵を受けて一時的に世界の理から半分遺脱した力。
簡単に言ってしまえば時間制限ありのユニークスキル以上、神能以下の能力の事だね』
何その微妙な感じ。
『今回はアナスタシアの加護と彼ら自身のユニークスキルが神域の恩恵を受けて進化した結果だね。
まぁ、擬似とは言え神能である事には違いないし。
今の彼らなら悪魔ちゃんにダメージを与える事も不可能じゃないと思うよ?』
ふ〜ん。
まぁ、一時的な超絶パワーアップって感じか。
それで、到達者ってのは?
『それは超越者に至るまでの丁度中間まで至って神性を獲得した者に贈られる称号だよ』
初耳なんですけど……
『まぁ、悪魔ちゃんの場合は色々とステップを飛ばして超越者に至っちゃったからね。
初めて悪魔ちゃんと戦った時のグランは到達者の領域だったよ? まぁ、今は超越者になってるけど』
そう! そうなんだよね〜。
いつの間にか七眷属の皆んなと、七魔公の皆んなが超越者になって……
「擬似神能・英雄ノ王……浄魔光刃」
クズ勇者が神剣を振り上げると同時に地面から立ち上った光の刃が私を呑み込む。
「擬似神能・慈愛ノ姫! 聖域っ!!」
アバズレ聖女が神杖を振り翳すと同時に地面が白く染まって、光の刃の威力が跳ね上がる。
「むぅ」
人が話してる時に失礼なやつらめ。
そもそも! 鎖で雁字搦めにされて拘束されてる可憐な美少女に攻撃を仕掛けるなっての!!
仮にも勇者に聖女のくせに鬼畜の所業じゃん!
「ふん」
何か勘違いしてるようだけど……
「っ!」
「やはり、この程度では倒せない!」
魔素を解放して私を拘束していた鎖を、私を飲み込んでるクズ勇者共の攻撃を吹き飛ばす。
私がちょっとその気になれば鎖を破壊する事も、クズ勇者共の攻撃を掻き消す事も雑作もない。
擬似神能を得た程度で調子に乗るなよ。
「ふふっ!」
ちょっと力を入れるとすぐに殺しちゃいそうだったから、うっかり殺しちゃわないように手加減する必要があったけど。
これで多少はやり易くなったし。
最悪の場合は蘇生させれば良いしな。
うん! もう手加減は止めよう、ここから先は……蹂躙してやる!
人間は高い所から落とした方がグチャグチャに潰れる!
希望を持った人間共が!
力を得て私と対等に渡り合えるなんて勘違いしてるクズ勇者共が希望から叩き落とされて、どんな顔をするのか楽しみだわ!!
「怯む必要はありません!
ここは私の神域の中、彼女の好きにはさせません!!」
神域の中、ね。
確かに普通なら神域は破壊する事も脱出する事も不可能な絶対領域。
自身の神域の中なら圧倒的優位な立場にある……
「神能・創滅ノ神」
普通なら、な!!
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます