第392話 守って見せろ!
「悪魔が……頭に乗るなっ!!」
「まっ……」
激昂したクソメガネ天使こと、パウロがバサッ! って翼をはためかせて切迫してくるけど……
バカなだなぁ、クソ女神の制止の声も聞こえてないみたいだし。
これだから、大した実力も無いくせにプライドだけは無駄に高いヤツは嫌いなんだ。
その曇ったメガネを叩き割ってやろうかな?
「〝蒸発しろ〟」
「ッ〜!! ぐがぁっ!」
「煩い」
仮にも
「がはっ!?」
おっと、重力魔法で地面に叩き付けて、縫い付けてやるつもりだったのに強すぎた。
もうちょっとで、そのままプチっと押し潰しちゃうところだったわ。
「グッ、目ガァッ〜!!」
「ふふっ、痛い?」
「グゥ、ガァア〜ッ!」
目からは血が流れて、口からは唾を飛ばして涎だらけ。
これが天下の熾天使様の姿とは……幻滅だわ、嘆かわしい。
『うわぁ、何となくわかるけど何したのコレ?』
ふふん! コイツの眼球を燃やして、水分を蒸発させてやったのだよ。
『容赦ないね』
私に散々無礼な態度をとった邪神を恐喝……げふん! げふん! じゃなくて脅……でも無くて!
邪神に強請って用意させた私のマンガコレクションと双璧を成すアニメコレクションがあるでしょ?
『……』
最近見返したコレクションの中の1つの、某有名ダークファンタジーアニメで焔の某大佐が想像を絶する痛みだって言ってたのだ!
それを再現してみたってわけ。
カッコつけて特攻して来てくせに、途中で目を潰されて。
悲鳴を上げながら両手で自分の目を押さえてフラっと体制を崩した直後に地面に叩き付けられ、涎を垂らしながら悶え苦しむ。
「ギザマァッ!!」
まともに話せてすらいないし、激昂して単独で特攻して来たくせにこの様とは。
滑稽で笑えるし、何より無様過ぎるっ!!
「よくもっ!!」
「破っ!!」
瞬時に私の左右に切迫したフィリが剣を横一線に薙いで、バルトロが身の丈もある戦鎚を振り下ろす。
その神聖な魔力を纏わせた高位の魔物でも一刀の元に斬り伏せるフィリの剣技も。
圧倒的な質量で大地をも容易く砕くバルトロの一撃も。
「「っ!!」」
当然ながら、私には通用しない。
振り抜いたフィリの神速の剣が、振り下ろしたバルトロの戦鎚が捉えたのは私ではなく……
「爆ぜろ」
真っ二つになった。
打ち砕かれた。
真っ赤な灼熱の火球が……
「きゃっ!」
「ぐおっ!?」
2人の間近で圧縮されたそのエネルギーを解き放って、フィリとバルトロを灼熱の業火で焼きながら吹っ飛ばす。
「パウロ! 無事か?
今治して……」
「ふふっ」
「っ!!」
フィリもバルトロも、パウロを介抱してるヨハンの支援魔法でバフを掛けてたみたいだけど。
当たらなければ意味がない。
「輪廻の呪縛」
「貴様──」
何か言い掛けたヨハンの首を蹴って吹き飛ばす。
蹴る時にボキっていってたけど……まぁ、細かい事は気にしない。
「ヨハンっ! このっ──」
「〝蒸発しろ〟」
「ギャァアッ!?」
バカだなぁ。
ヨハンに眼球を回復してもらって余裕ができたんだろうけど、回復すればまた蒸発させられるだけなのに。
「煩いから、黙ってろ」
「がはっ!?」
のたうち回りたいのに、重力魔法で押さえつけられて悶えているパウロの顔面を蹴り上げて勘に触るメガネを叩き割りつつ後方へと蹴り飛ばす。
「っ! よくも私の愛しい子らを……魔神レフィー。
貴女の犯して来た罪を悔い改め……っ!!」
私の蹴りを避けるとは、配下の五大熾天とは違うわ。
「ふふふ、人の話は最後まで聞くものですよっ!!」
私の蹴りを躱した勢いを利用しての回し蹴りね。
しかも、膨大な魔素を纏わせてるし。
流石にアレを食らったら私もダメージをくらうだろうけど。
「甘い」
ふふん! そんな蹴りが私に当たる……
「貴女がです。
至近距離でクソ女神から放たれた白い熱線が瞬時に眼前まで迫り……
「ふむ」
流石は腐ってもこの世界の主神たる女神アナスタシア。
翼に包まって防いだとはいえ、この私に攻撃を叩き込んだ上に元の場所まで押し戻されるとは。
私が熾天使共をあしらってる間にちゃんと腕も修復したみたいだし……
「愚かで可哀想な悪魔……哀れな魔神レフィー。
貴女が犯してしまった多くの罪を償いなさい」
「ふふっ」
「何を……」
何を? 何を、かぁ。
それはこっちのセリフだわ。
たかが私の攻撃を一回退けた程度で何をいい気になっている?
「あはっはっはっはっ!!」
今までの私は翼も出さずに、本気でも無かったのに。
どうせ神能を獲得して間もない私になら、余裕で勝てるとか思ってるんだろうけど……その考えが間違いだった事をその身を持って教えてやる!!
「神能」
今この場にいるのは私とアナスタシア。
五大熾天と六英雄に加えて、念のために気配を消して上空で待機しているファルニクスのみ。
シルヴィア達、七眷属の
そしてノワール達、七魔公の皆んなには聖都デサントに集結してる人間共の遊び相手をしてもらってるし。
「創滅ノ神」
「なっ!?」
ふふっ、私の持つ神能が神級でビックリしたみたいだな。
この場所なら周囲への被害とか、細かい事を気にする事なく!
ガスター達3人を殺さないように守ってさえいれば、何の遠慮も必要ない!!
「〝
さぁ! 人類を守護する女神アナスタシア!
この場にいるクズ勇者共を! 自らの配下である熾天使共を……守って見せろっ!!
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