第391話 これで役者は出揃った!
────ッ!!!
耳を劈く雷鳴が漆黒に染まった聖都の空に鳴り響く。
何が起こっているのか理解すらできない
私の放った攻撃だと言うことだけは察する事ができたクズ勇者共も関係なく全員が咄嗟に愕然と空を見上る!!
そして……
『っ!!』
クソ女神が息を呑んだ瞬間! 天から降るは全てを破壊し、滅する神の雷鳴!
一瞬で音すら消し去る閃光が聖都の空を! 視界に映る世界全てを包み込む!
その余波だけで聖都に張り巡らされた結界に亀裂が走って悲鳴をあげる!!
『──なっ!?』
事前に幾重にも展開されていた結界も。
咄嗟にクソ女神が展開した結界も関係なく、一瞬で全てを貫いた雷がクソ女神が引きこもってる神域を破壊するっ!!
「あはっ!」
挨拶は気に入ってもらえたかな?
クソ女神には背中から身体を貫かれた借りがあるからな。
インターホンとか無かったし、ちょっと派手なご挨拶をしてあげたわけだけど。
「くっ……」
ふむ、私の神能を使って放った
クソ女神とは言え、腐ってもこの世界の主神ってわけか。
「何故……」
ふふっ! そんなに睨まなくても良いのに。
しかし、何故ねぇ。
まぁ、アナスタシアのその気持ちはわかる。
だって神域は、管理者……ファルニクスやアナスタシア達11柱の神々。
私を含めれば12柱の存在する神々が管理しているこの世界とは異なった、外界とは完全に隔絶された空間。
個人によって創造されて、創造者が支配する当人のためだけの小世界なわけだし。
普通なら支配者であるアナスタシアの許可無く外界から干渉する事もできない、アナスタシアの支配下にある絶対領域。
が! 私の神能・創滅ノ神は、ありとあらゆるモノを私が思うがままに創造して、私の思うがままに全てを破壊する。
それは例え、世界とは隔離された小世界。
アナスタシアの神域である天界であろうとも変わらないっ!
「いつまでも、安全圏にいられると、思った?」
そんなの赦すわけないじゃん!
神域ごと破壊して、無理やり引き摺り出してやったわ!!
「っ……魔神レフィー、やってくれましたね」
「ふふふっ!」
天下の主神様ともあろう者が片腕を消し飛ばされて、地面に膝をついちゃうとか。
ぷぷっ! 無様だわ〜っ!!
「アナスタシア様っ!!」
「ご無事ですかっ!?」
「っ! アナスタシア様、右腕がっ!!」
「おのれ邪神めっ!
不意打ちとは卑劣な……!!」
おぉ、おぉ、たかが神域を破壊されて引き摺り出されて、片腕を消し飛ばされたくらいで騒いじゃって。
しかも不意打ちって……クソメガネ天使パウロくん、そのメガネは曇ってるの? 言い掛かりも甚だしいわ。
「ふふふ、心配には及びません。
この程度の傷など……っ!!」
「簡単に治せる、とでも?」
「貴女……一体何を」
「ふふっ!」
私がやった事はアナスタシア、4日前お前にされた事と同じ!
私の魔素で修復を阻害してやってるのだよ!!
「挨拶は、気に入った?」
「っ……! 本当にやってくれましたね」
うんうん、私の挨拶を気に入って貰えたようで何より!
そして……やっと来たか。
「っ! これは……」
「うそ……」
「っ……!!」
「「「……」」」
ふふっ! 息を呑み、驚愕に目を見開き、愕然と呟く。
人類の希望、人類最強の英雄には相応しくない反応だけど……この光景を見れば当然の反応かな?
「霊峰ルミエル……いや、大山脈の山々が……」
クズ勇者共の目の前に広がってる光景。
霊峰ルミエルの麓、アナスタシア教国の首都である聖都デサントは周囲の大森林をクソ女神が開拓したから聖都デサントの背後に大陸を東西に分断する大山脈が直接隣接する。
つまり! 本来なら雄大で広大な大山脈が広がってるわけだけど……
霊峰ルミエルを含め、大山脈に連なる辺り一体の山々をは私の
後に残ってるのは、天界から引き摺り出されて無様に片腕を無くしクソ女神。
そして、焦げ付き、所々融解して赤く沸騰する荒野のみ!!
本当なら大地に大穴を穿ってるハズだけど、そこは主神たるクソ女神。
神域を破壊されてアナスタシアが咄嗟に神能を使った結界を展開したおかげでこの程度の被害で済んだわけだ。
「ふふっ」
人類最強と謳われる英雄である勇者ですらこの有様。
この光景を観てる人間共の反応を直接見れなかったのは残念だけど……まぁ、こればっかりは仕方ない!
まぁ、記憶を消して無いクリスは苦虫を噛み潰したよう顔で、ガスター達3人は苦笑いだけど。
クズ勇者とアバズレ聖女のマヌケな驚愕の顔を見れたからよしとしよう!
「あはっ!」
何はともあれ、これで役者は出揃った!
他の人間共に邪魔をされない舞台も用意できた事だし……
「魂の根底から、絶望しろ」
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