第378話 王都消滅
「ふむ」
まっ、こんなもんだな。
──────ッ!!!!
苦し紛れの結界を打ち砕いた隕石が地面に衝突する。
その瞬間、一瞬で視界が真っ白に塗り潰されて、数瞬遅れて凄まじい轟音と衝撃波が襲い掛かる!
クズ勇者共はもちろん、この場にいる私も当然モロにその衝撃波を食らう事になる。
我が星天魔法・グランシャリオによる隕石の破壊力を生身に受けたら野蛮なヤツらとは違って、華奢で可憐な私の肉体は消し飛ぶ事になる……
まぁ! あくまでも生身で受けたらって話だけど!!
隕石の落下点から多少離れた上空、私の場所まで衝撃波が到来するまでの時間は僅かゼロコンマ数秒にも満たない刹那の時間。
常人ではもちろん、高位の冒険者ですら認知すらできないだろうけど……思考加速やら神羅万象スキルで体感時間を極限まで研ぎ澄ましてる私は違う!
私なら余裕を持って自分の周囲に結界を展開する事なんて雑作もないのだ!!
ってなわけで、クズ勇者共が無様に吹っ飛ばされる姿もちゃんと見たし。
普通に結界を展開しても良いんだけど……流石に眩しいな。
絶賛、視界が真っ白に塗り潰されてるわけだし。
まぁ、神眼があるからこの光の中でも普通に見通せるんだけど、眩しい事には違いない。
と! いう訳で……
「ふぅ」
翼に魔力を纏わせて自分の身体を包み込む。
コレなら衝撃波はもちろん、今頃周囲を襲っているハズの爆発による熱風やらに加えて眩しい光も遮断できる!!
流石は私! これでやっと一息つけるわ〜。
私の翼はクズ勇者共が持つ神器と同じ一種の魔力媒体。
だからこうして、翼に魔力やら魔法やらを纏わせて展開してする事ができるわけだけど。
「コレは……」
ま、マズイっ!
ヤバイぞ! コレはかなりヤバイっ!!
『ヤバイって、悪魔ちゃんがそこまで焦るなんて……一体何がっ?』
か、快適過ぎる!!
『……』
今は翼の周囲に滅光魔法による滅光結界を展開してるわけだけど。
さっきも説明してあげたように衝撃波とかは当然として、振動も音も完全に遮断してる上に……この、ふわっふわで! モッフモフな翼の羽毛っ!!
「むふふ!」
我ながら素晴らし過ぎる!
もう自画自賛しちゃうわ〜っ!!
『まぁ、うん。
悪魔ちゃんだもんね』
「むっふ〜」
極楽極楽。
今日は何気に頑張ってる気がするし、もういっそこのまま寝ちゃおうかな?
『何言ってるの。
ほら、そろそろ外の状況が落ち着いてきたよ』
むぅ、せっかく最高の居心地だったのに……けどまぁ仕方ないか。
翼に包まれてのお昼寝はまた今度だな。
その時はシルヴィアとか
「むっ」
土煙スゴっ!
何これ? 舞い上がった土煙で視界が……と言うより、辺り一体が覆われてるんですけど。
いやまぁ、隕石を落としたわけだし、こうなるのはわかってたけども!
「よっと」
片方の翼を軽くはためかせる。
たったそれだけで、視界を覆い尽くし、当たり一帯を覆い尽くしていた土煙が消し飛んで視界が晴れる。
「おぉ〜」
視界が晴れた眼前に広がるのは破滅の光景。
圧倒的な衝撃波によって抉れ、凄まじい熱量によって所々赤く沸騰する大地。
世界一の大都市とまで呼ばれていたアルタイル王国が王都ペイディオの姿は見る影も……面影すら存在せず。
代わりに広がるは、巨大なクレーター。
「凄い光景」
何せアレだけ広大で、栄えていた王都が一箇所を除いて見事に丸ごと消滅しちゃってるし。
そう言えば、クソメガネ熾天使パウロが王都にいた人間共を近くの丘に転移させたって言ってたけど。
「ふふっ!」
今頃、この光景を見て全員絶句してるだろうなぁ。
クズ勇者共もグランシャリオを3発目までは凌いだわけだし、頑張って粘ってたけど……
4発目で捌き切れずにこの結果っ!!
広大な王都すら消滅させる程の破壊力だ。
常人なら即死、肉片すら残ってないだろうけど、アーク達との約束もあるし……
マリアナ達3人はともかく、クズ勇者共はそう簡単には殺さない。
何の痛みも感じる事なく、一瞬で死ぬなんて許さない!
全員が死力を尽くせばなんとか助かる程度に威力を抑えてやったから……
「ぅ……」
ボロボロの満身創痍って感じで、地面に倒れ伏してるけど。
全員気絶もしてないし、この通り! ちゃんと無事に生きている!!
「王都が……」
「うそ……」
自分達もマリアナの魔法で王都ごと私を消し飛ばそうとしてたくせに。
この脳内お花畑のお2人は何を今更ショックを受けたような顔をしてるのやら。
「あはっ! あはははははっ!!
ねぇ、ノアール、リナ。
勇者に聖女なんて、呼び称えられてるくせに。
国王、王妃のくせに、王都を! 自分達の国を守れなかった気分はどう?」
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