第377話 王都決戦 その7

「ッ……」


「アレは、まずいっ!!」


「すぐに結界を……!」


 焦ってる! 焦ってるっ!

 まぁ、当然だよね〜。

 私が放った星天魔法による隕石は、さっきマリアナが放った隕石と同等の規模。


 もし、アレが落ちれば文字通り王都が消し飛ぶんだから。

 でもまぁ、自分達も王都が消し飛ぶのを承知で私に攻撃してたわけだし!

 自分達の攻撃で王都が消し飛ぼうが、私の魔法で消滅しようが変わりない!!


「クリスっ!!」


 ほほう、クリスの結界で防ぐつもりか。

 けどまぁ……


「っ……」


「クリス?」


 無駄だけどなっ!

 確かに神器・ユミルを用いたクリスの結界はかなりのモノだ。

 それは認めよう。


 広域殲滅魔法すら効かないし、並大抵の物理攻撃も弾く。

 が! アレだけの質量の塊が凄まじい速度で落下してくるんだ。

 いかに神器・ユミルを用いたクリスの結界と言えども耐え切れるハズが無い!


「無駄。

 クリスの結界じゃあ、防げない」


 そもそもな話。

 この隕石は、かつて幾重にも結界を張り巡らせた旧魔王のお城の半分を消しとばしたマリアナの星落メテオ・フォールよりも。


 さっきマリアナがアバズレ聖女と熾天使共の強化支援魔法バフを受けて放った、当時のそれよりも威力が高い星落メテオ・フォールと同等の威力なのだ。

 いかに神器を用いようと、クリス程度の結界で防げる道理はないのだよ!!


「ふふ」



 パチンッ!



 王都全域に転移不可領域アンチテレポートフィールド を展開してっと。


「逃さない」


 転移で逃げられでもしたら面白くないからな。


「ふふっ…… あははっ!」


 さぁ! どうする?

 せいぜい必死になって凌げ!

 せいぜい必死になって足掻けっ!


「くそっ……皆んなみんな、こうなったら俺たちの手であの隕石を破壊するぞ!」


 うんうん、まぁそうするしかないんだけど……ぷぷっ! 何かイタイ感じがしてめちゃくちゃウケるんですけど!!


「やるぞ! 皆んなっ!!

 神剣ワールド……神千ノ太刀っ!!」


「神杖オリジンっ! 聖女の祝福っ!!」


「術式多重展開、熱核収束砲ニュークリアキャノン


「魔刃、剛力一閃!」


「舞えっ! 千剣の舞いっ!!」


結界巨砲バリアキャノンっ!」


「「「「聖なる光線ホーリー・レイ」」」」


 アバズレ聖女の支援魔法で強化されたクズ勇者共と熾天使共の放った攻撃が隕石を迎え撃ち……



 ピシッ……



 打ち砕いた。


「おぉ〜」


 あ〜らら、せっかくの隕石が粉々になっちゃった。

 コレでも王都に降り注げばそれなりの被害は出るだろうけど……この程度ならクリスの結界でも十分に弾けるな。


「凄い凄い。

 流石は救世の六英雄様と五大熾天様」


 パチパチパチって拍手してあげよう。


「魔神レフィー。

 あまり私達をナメ……」


 まぁ尤も……


「なっ……!?」


 これで終わりじゃ無いけどな!



 ────ッ!!!



 再び轟音が鳴り響き。

 隕石が放つ熱と大気圏に突入した炎によって、空が真っ赤に染まる。


「さぁ、人類の希望共」


 グラン・シャリオとは北斗七星を指す言葉。

 つまり! この隕石は単発ではなく、七つの星屑による七連撃っ!!


「ふふっ! せいぜい必死になって、足掻くが良い!」


 そして……


「あはっ! 灰塵に帰せ」

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