第356話 お披露目
さぁ! てなわけで、やって来ましたお披露目当日!!
『楽しそうだね』
「ん、楽しみ」
あれ? おかしいな。
さっき召集した今日の主役!! アーク達が何やら苦笑いを浮かべてるんですけど。
私の配下になったから邪神の声は聞こえてるハズなんだし、私がブツブツと独り言を言ってるわけじゃ無いって事は全員理解してるハズなのに。
ふ〜む、まぁ良いや、細かい事は気にしない!
『それで? どうして彼らを召集したの?』
ふっ、そんなの決まってるじゃん。
今日愚かな人間共に……世界に向けてお披露目される
『……うん、まぁ頑張ってね』
言われるまでも無い!
むふふっ! 竜神たるファルニクスにも太鼓判をもらった私の素晴らしい激励の言葉を聞いて感涙するが良いわ!!
「アーク、ターニャ、マナ、アナ、マイク」
「「「「「はい」」」」」
「リーゼ」
「はっ!」
「リヒト」
「うっす」
うんうん、流石は私の部下!
返事は各々だけどこの真剣な面持ち、皆んななかなかに良い表情だぞ!!
「
「「「「「「「……」」」」」」」
あ、あれ? お、おかしいな。
何で皆んな、そんな死んだ魚みたいな虚というか虚無を感じさせるような目をしてるんだろ?
ここは、もっとこう……辛かった特訓の日々を脳裏に思い浮かべながら、それを乗り切った達成感とそれを支えた私への感謝で涙ぐみながら、はいっ! って返事するところじゃ無いの?
『えっ、何その古いスポ根みたいな展開予想……』
う、うるさいぞ邪神のバカ!
ま、まぁ良い。
この反応はちょっと想定外だったけど、ここから巻き返してやる!!
「1週間前。
皆んなは、ガスター達には勝てないって、言った」
はい、そこ!
バカ邪神! 昨日で1週間だから正確には8日前とか細かい事は言わない!!
『いや、私はなにも……』
「断言する。
今の皆んなは、ガスター達よりも、強い」
何せ!
何回も死んで、何回モザイク肉片になったかわからないけど……
私直々の特訓もしっかりと乗り切った!
まぁ、流石に私の一番弟子であるエレナにはまだ及ばないけど。
私は力加減を間違えて、瀕死にしちゃったり、殺しは……うん、何回かは死んでたな。
『毎回、瀕死になってたけどね。
しかも、1人瀕死にすれば次の人にローテーションしてその間に回復。
それでまた瀕死にって言う永遠ループで』
だ、だって部屋に引き篭もってばかりだったから久しぶりの軽い運動で楽しくなっちゃったんだもん。
で、でも! そのおかげで最後には皆んな、
初日なんてボス部屋に足を踏み込んだ瞬間に肉片になってたのを考えると、たった1週間で単独討伐できるようになったのは凄い進歩と言える。
ふふん! これも全ては私の指導のおかげなのだ!!
「準備は整った」
パチン!
指を鳴らして、皆んなの服装を魔国の軍服に変更!
「私の配下として、悪魔王国軍の一員として。
皆んなの力を、見せつけろ」
「「「「「「「はい!」」」」」」」
「ん、じゃあ行ってらっしゃい」
転移魔法を展開して……
「帰って来たら、褒めてあげる。
存分に暴れると良い」
皆んなを今日の舞台に転移! っと。
「ふぅ〜」
どうよ! 私の感動的で素晴らしいこの激励っ!!
『……まぁ、悪魔ちゃんが良いのなら別に良いんじゃない?』
なんか含みがある言い方だな。
まぁ良い、今は気分が良いからな!
そんな事よりも、転移した皆んなだ。
今日、皆んなをお披露目する舞台はアルタイル王国の国境にある大要塞ヴァント。
この大陸西方部にある要塞としては最大級の規模を誇る城郭都市であり、ミュール辺境伯が治める領土の領都。
アルタイル王国の首都である王都ペアディオまでの道のりで最も重要かつ大規模な要所!
当然、守りも堅いし人数だって他の場所とは比べ物にならないけど……だからこそ、皆んなのお披露目に相応しい!!
『ん? お、おいアレは……』
『何だ……あれ?』
むふふ! 大騒ぎになってる、なってる!
領都ヴァントの上空に展開される巨大な魔法陣!!
そして、その魔法陣によって巨大な黒き門が領都ヴァントの近郊。
城壁の外に広がる草原に出現する! そして扉がゆっくりと開いて行き……
『っ! 何をやっている! 早く領主様方に報告をっ!!』
『は、はっ!!』
『敵襲! 敵襲っ!!』
『門を閉ざせっ!!』
『結界の準備は……』
『くそっ! 前線からの報告はどうしたっ!?』
ぷぷっ! 無様に取り乱しちゃって!!
さぁ! 驚愕せよ! 驚嘆せよっ! そして……絶望しろっ!!
「力を見せつけろ」
戦場に降り立つは悪魔王国の黒い軍服に身を包んだ7人の人物。
さぁ! お披露目だ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます