第357話 対面!

「あはは……随分と派手な演出だね」


「当然でしょアーク。

 だってレフィー様だもん、このくらいはするわよ」


「確かに、今日のこのイベントに向けてかなり張り切ってらっしゃるってシルヴィア様が言ってたしね」


「ミーシャ様達も言ってたよね」


「お前らなぁ……もうちょっと緊張感を持とうぜ?」


「マイクさんの言う通りですよ。

 もう少し目の前の敵に注目してください」


「まぁ、お前らはマイペースだからな……」




 むぅ、なんか皆んなみんな楽しそうだな。

 アナとマナにリーゼとリヒトが親しそうな感じで苦笑いしてる。

 私と話す時は未だに緊張した感じがするのに……


 あの7人の中で変わらず接してくれるのなんてアークとターニャくらいの2人だけだし。

 まぁターニャは何故かキラキラした目でめちゃくちゃ尊敬の念を向けてくるけど。

 とにかくっ! もっと気安く接してくれて良いのに……


『いやまぁ……あの特訓という名の地獄を見せられたらね』


「うぅ……」


「「「「「っ!」」」」」


「だって……」


 1週間で皆んなをガスター達を圧倒できるレベルまで引き上げる必要があるあったんだもん……


「レフィーお嬢様……邪神、貴様……!」


『ま、まぁ! それは無しにしても、立場的にも彼らが悪魔ちゃんに気安く接するのは無理があると思うよ?』


「そうですよ!

 あっ、ココアは如何ですか?」


「ミルクもあるよ!」


「陛下のお好きなケーキもありますよ?」


「ん、ありがと」


 まぁ、でもそうだよね!

 アークとターニャ以外の皆んなに未だにちょっと壁を感じるのは立場のせい!!

 うんうん、断じて私のせいじゃ無いっ!


「あっ! レフィーお姉様、見てください!

 そろそろ始まるみたいですよ!」


「ん、本当だ」


 危ない危ない!

 邪神のせいでアーク達の活躍を見逃しちゃうところだったわ!


「「「「「ふぅ……」」」」」


「っと、遅れてしまい申し訳ありません……何かあったのですか?」


 むっ、やっと来たか。


「セラフィルも、早く座ると良い」


 グランは悪魔王国軍の元帥で総指揮を執ってるし。

 七魔公の皆んなはダンジョンの管理に加えて、14柱の最高位悪魔アークデーモンと一緒に魔国軍の背後を見張ってるから来れないのは残念だけど……


「ふふっ」


 皆んな、アーク達の特訓に付き合ったのだ。

 アーク達を指導した師匠として、しっかりとその活躍を見させてもらうからな!!




「かなり人が集まって来たわね。

 とりあえず、師匠達を引き摺り出す必要があるけど……アーク、その前に」


「はいはい、ターニャも大概派で好きだよ」


「何か言ったかしら?」


「いや、なにも」




 前々から思ってたけど、もしかしてあの2人って……




「へぇ、なるほどなるほど」


「あの2人はいつもあんな感じなんですか?」


「いつもあんな感じですね」


「うん、人前でも普通にイチャつく」


「幼馴染だって言ってた」




 むふふ、へぇ〜、ふ〜ん、そうですか。

 アークとツンデレで素直になれないターニャがねぇ。

 あ〜あ、リヒトのやつニヤニヤしちゃって! まぁわかるけど、緊張感が全く無いな。




「お前らなぁ……はぁ」


「アーク」


「はいはい、わかったよ。

 じゃあ早速! まずは手始めに……予定通りあの結界を破壊する。

 轟け──轟雷っ!」



 ──ィッッ!!!




 アークがスッと空に翳した手を振り下ろすと同時に巨大な青白い閃光が空から領都ヴァントに向かって降り注ぎ……



 バリンッ!!



 一瞬で領都の周囲を囲うように展開されていた大規模結界が砕け散り、結界を破壊して貫いた雷がそのまま勢いを止める事なく領都の中心部へと向かい……




「反転結界」




 直後に領都を消炭にせんと迫っていた雷が進路を変えて、雷を放った当人であるアーク達がいる場所に向かって飛来する。

 むふふっ! そりゃあ当然出てくるよね。


 その城郭都市、領都ヴァントはアルタイル王国が王都ペアディオまでにある要所の中でも最重要な防衛地点。

 昨日たった1日で大陸西方部の約三分の一程度が我が悪魔王国軍に堕ちたわけだし。


 けど残念、雷を反転させたのは流石だけど。

 そもそもあの雷を放ったのはアークなわけだし、当然っちゃあ当然だけど。あの雷程度じゃあアーク達は倒せない。




 パチン




 アークが指を鳴らすと同時に、飛来していた青白い雷が霧散し……



 ギィッン!!


 ドゴォッ!!



 直後、金属音と爆発音が鳴り響く。




「チッ、まさか今の一撃を結界で受け止められるとはな」


「どうして、キミ達が……」




 ターニャの結界で攻撃を受け止められた男とがニヤリと笑みを浮かべて、平然とリーゼに剣を弾かれた少女が呆然と呟く。




「これは、どう言う事かしら?」




 そんな2人の隣に、さっきアークの攻撃を反転させた女が。

 大賢者マリアナが冒険王ガスターと姫騎士フェリシアの隣に。

 アーク達の眼前に降り立った。

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