第347話 敵情視察

「ふ〜む」


「どうかしましたか? レフィー」


 どうかしましたかって、そりゃまぁ言いたい事は色々あるよ?

 この状況とか、当然のように私を膝の上に座らせてるこの状況とか。


 まぁ、確かにちょっと恥ずかしいけど、ファルニクスが私の事を膝の上に乗せるのはいつもの事だし。

 中々に座り心地も悪くないから別に良いけど。

 それにっ!


「ふふん!」


 竜神たるファルニクスをソファーにできるのは私だけ!

 こうやってファルニクスの上で踏ん反り返る事ができるのは私だけの特権なのだ!!


『本当に、私には及ばないとは言えファルニクスは数多く存在する神の中でも強い神様なのに。

 そんなファルニクスをソファー扱いできるのは悪魔ちゃんくらいだよ』


 まぁ私だからな!

 しっかし、今更だけど神ってどれくらいいるの?

 てか、神々って普段どんな感じに暮らしてんの?


『おっ、ついに悪魔ちゃんも神々の世界に興味が出てきたみたいだね。

 まぁ悪魔ちゃんの頼みだし、特別にこの私が直々に神々について教えて……』


 ねぇ、ねぇ。


『うん? どうかした?』


 それって長くなる感じ?


『それはまぁ、神々の歴史は長いからね。

 多少は長くなると思うよ』


 じゃあ別に良いや。

 ぶっちゃけ、そこまで気になるわけでもないし。


『……』


 そんな事よりも! 今は人間共の動向を監視しなければならないと言う重大任務が私にはあるのだ!!


「ファルニクス」


「どうしましたか?」


 ノワールに目をつけられて上半身を吹っ飛ばされた上に、真っ先に輪廻の呪縛を掛けられて一番多く殺された哀れな熾天使こと。

 ヨハンが作ってたって言う天界門。


 無事に完成したらしい天界門から大量に天使共が湧き出て、整列してるんだけど……

 いやまぁ、確かに人間の一兵卒と比べたら強いと思うよ?


 一兵卒でも1人1人が人間の言うところのBランク冒険者くらいの実力はあるだろうし。

 その一兵卒を纏めてる隊長クラスになるとAランク冒険者並の実力者も普通に居るけど。


「天使って、意外と弱い?」


 ぶっちゃけ、雑魚にしか見えないんですけど。

 いやまぁ、天使共の最上位であるはずの熾天使が依代とは言えあの程度だった時点で何となく予想はついてたけど、流石にここまでとは思ってなかった。


 だって、隊長クラスですらAランク冒険者と同等の実力しか無いし。

 Aランク冒険者って言えば、やっと単独で下位悪魔レッサーデーモンと張り合える程度だよ?

 これがこの世界の主神たる女神の軍勢って……


「そうですね……まぁ、一般的に言えば彼等は主神の軍勢に相応しい強者達ですよ。

 そんな彼等を見て弱いと思ってしまえる程に悪魔王国ナイトメアが強いと言う事です」


「ふむ」


 ほほう、なるほどなるほど。

 つまり! そんな強い悪魔王国の頂点に立って、統べる私は超絶凄いって事だな!!


 まぁでも確かに、指揮官クラスになるとSランク冒険者並だし。

 本体で降臨してる熾天使共なら私を除く魔王とも対等に渡り合えるくらいには強い。


 常識的に考えたら天使の軍勢は凄まじく強い軍隊になるわけか。

 まぁ、それでも我が悪魔王国軍には及ばないけど!!

 むふふっ! 天使の軍勢が薙ぎ払われた時に愚かな人間共はどんな反応をするのかなぁ?


「ふふっ」


 さてさて、お次は……人間共の軍勢はどんな感じかな?

 昨日、クズ勇者共に一方的に言いたい事だけ言ってやった訳だけど……


「ふむ」


 ふ〜ん、流石に無駄な利権の奪い合いは辞めて、ちゃんと準備を整えてるみたいだな。

 昨日はマリアナ達の制限も取っ払ってあげたし。

 中心になってるのはやっぱり救世の六英雄か。


「む?」


 おお〜っ!!

 流石は人類国家殆ど全ての国々からなる連合軍! 旧魔王との戦争でその名を轟かせた有名人が一杯だぁ!!

 しゃ、写真! 写真を撮っておかないとっ!!


「あはは、レフィーは相変わらずですね」


『悪魔ちゃん、キミねぇ……』


 煩い! だって、あんなにも大勢の有名人が一堂に会してる所なんて滅多に無いんだぞ!!

 しっかりと、このワンシーンをレンズに収めなければ!!


 けど、冒険者ギルドが不介入を宣言したのに自分の意思で参戦する冒険者の多い事。

 まぁギルドは今、避難したい人が押し寄せてそれどころじゃ無いとは言え……せっかく避難勧告までしてやったのに嘆かわしいわ。


 けどまぁ、別に良いか。

 私の復讐を! この楽しい愉しい遊びを邪魔するヤツは誰であろうと叩き潰すだけだし!!


「失礼いたします」


「シルヴィア、どうしたの?」


「はい、実はレフィーお嬢様とお話がしたいと言う者達が」


 私と話したい者達?

 誰だろ? どうでも良いようなヤツらならシルヴィアが私に取り次ぐはずもないし。


「わかった」


 さてさて、誰が来たのかな?

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