第348話 来訪者達
よし、とりあえず身嗜みを……
「ファルニクス」
「どうしましたか?」
いや、どうしましたか? じゃ無くて。
何キョトンとした顔してんの?
「下ろして」
ふふん! 私は今から身嗜みを整えて魔王として。
そして!
『楽しそうだね』
まぁ、ちょうど暇してたし。
昨日までの1週間はベッドの上で寝っ転がってマンガを読んでお菓子を食べる。
昔には考えられなかったような自堕落な生活を送ってたけど……
ベッドの上で寝っ転がって漫画を読みながらお菓子を食べる、なんてお行儀の悪い事をしてた事がシルヴィアにバレて我が聖典!
世界のバイブルたるマンガが没収されちゃったからな。
さぁ、ファルニクスよ! 早く私を下ろすのだ!!
むふふっ、クズ勇者共と天使共の様子を見てるのもちょっと飽きて来たところだったし。
誰かは知らないけど、暇つぶ……げふん、げふん! しっかりと出迎えて私の威厳を見せつけてやるわ!
「こほん、ではこうしましょう。
このまま私もレフィーと一緒にお客人を出迎えます」
このまま……つまり、私はファルニクスの膝の上に乗せられた状態で来訪者を出迎えると……?
「やだ」
「……」
転移でファルニクスの膝の上から降りて、ついでに身嗜みを整えてっと。
「では、参りましょう」
「ん」
ファルニクスの膝の上に座らされた状態で出迎えるとか、威厳なんてあったもんじゃ無いし。
シルヴィア達の前ならともかく、来訪者の前でとか流石に恥ずかし過ぎる。
「ファルニクスはここでお留守番してて」
「……」
さっきからファルニクスが黙り込んでる気がするけど……まぁ、細かい事は別に気にしなくて良いや。
『可哀想に。
悪魔ちゃんに拒絶されたショックが強かったみたいだね』
さてと! 準備もできた事ですし、来訪者を出迎えてやるとしよう!!
『聞いてすらいない……』
シルヴィアの案内……と言うか、シルヴィアが開いた扉。
毎度お馴染みの扉に空間魔法をかけて転移門にした即席どこでもドアを潜ったら、はい到着!
さてさて、来訪者は……
「ご無沙汰しています」
「お久しぶりです」
「その節はどうも」
ほほう。
人間共の連合軍の中に姿が見えないとは思ってたけど……私を訪ねて来たのがお前達だったとは。
「ん、久しぶり」
苦笑いを浮かべるイケメン、雷帝アークと大魔導師ターニャ。
そして何故かちょっとビクついてるアナ、マナ、マイクの5人全員がSランク冒険者のパーティー星屑の剣。
救世の六英雄の1人ある姫騎士フェリシアと対等に呼び称えられるヴァリエ騎士王国の守護者。
黒髪の美少女、剣聖リーゼ・スパーダ。
今日は普通に白を基調とした綺麗めなスーツだけど普段は純白の鎧に身を包み、かつて旧魔王の四天王の一角を単独で打ち倒した英雄。
1週間前にノワールによってボッコボコにされた白の騎士団の団長リヒト・アルダール。
「さて」
何でこのメンツが揃って、このタイミングで私に会いに来たのか。
本題は……後回しにして! 私も椅子にも座った事だし……
「シルヴィア」
「かしこまりました」
いつものように優雅に一礼したシルヴィアが指を鳴らすと同時に私達の前に出現するお茶と茶菓子のケーキ!
謁見の間だったらもっと厳かな感じになるからお茶なんて用意しないけど……
今回は謁見の間じゃ無くて、旧3カ国連合領こと現悪魔王国領グラウスにある白亜の塔の応接室での会合だし!
むふふっ、やっぱり会合の場にはこれが無いと!!
「ふむ」
ふふん! 足を組んでティーカップを軽く傾ける。
さぁ! 私のこの優雅で気品に溢れ見惚れる程に美しく、それでいてカッコいいこの完璧な所作を刮目するがいいっ!!
「さて、私に揃って何のよう?」
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