第340話 謎は解けたっ!

「……」


「ははは、げんなりしていますね」


「む、アラン」


 そりゃあ、げんなりもするわ。

 何かもう、今日はメッチャ疲れた。

 1週間ほど自堕落に過ごしてたけど、もう1週間くらいは平穏な自分の部屋に引き篭もりたい。


 あの後、移動するために魔導車に乗ったし、コレでやっと一息付けるって思ったのに……

 まさか、港からこの場所まで真っ直ぐ続く大通りにもあんなに観衆がいるとは思ってなかった。


 何あのパレード。

 まさか、あんなに歓迎されるとは。

 私は三カ国連合を滅ぼした恐怖の象徴のハズなのに……アレじゃあ、まるで英雄の凱旋みたいじゃん。

 それに……


「しかし、コレは凄いですね……」


 やっぱり、アランもそう思う? 私もそう思う。

 何コレ? 何この中世ファンタジーの世界観ぶち壊しの高層ビル。

 いや、コレは高層ビルって言っていいのかな?


 ミスリルとかオリハルコンとかで作られてるし。

 地球の高層ビルみたいに全面ガラス張りってわけじゃ無いし……うん、コレは高層ビルじゃ無くて白亜の塔だな。

 そう言う事にしよう。


 それでも、この白亜の塔は魔導化学の粋を集めて建築されてるからオーパーツな事には違いないけど。

 まぁ、ここをこっちの大陸の技術水準を上げるための拠点にするって決めたのは私だし。


 面倒だからシルヴィア達に丸投……げふん、げふん! 一任したのも私だけど。

 流石にコレはちょっとやり過ぎ感がハンパない。


「お褒め頂きありがとうございます。

 ふふふ、レフィーお嬢様の偉大さを愚かな人間共に知らしめる良い材料になりました」


 シルヴィア……いや、シルヴィアだけじゃ無くて、皆んなみんな今日はやけに機嫌が良いと言うか。

 何かウキウキしてて、嬉しそうだな。


『まぁ、今まで悪魔ちゃんは人間達にとっては悪者だったからね。

 皆んな悪魔ちゃんの凄さを人間達に知らしめる事ができて嬉しいんだよ』


 ふ、ふ〜ん。

 なるほど、なるほど。


『あはは、悪魔ちゃんったらそんなに照れちゃって!』


 て、てて照れてないっ!!

 そ、それよりも、何で人間達にアレだけ歓迎されてるんだろ?


「う〜ん」


「どうかしましたか?」


「アラン。

 何であんなに、歓迎されてる?」


 恐れて、怖れて、畏れられる事はあっても歓迎される事は無いと思うんだけど。

 ルーナとセイヴァエル、他2人の魔王と一緒に自分達の国を滅ぼした元凶だし。


「それは当然ですよ」


「当然?」


「はい。

 レフィー様が滅ぼした三ヶ国連合、グローリー王国、フラン帝国、アウストロ皇国はかなり腐敗していました。

 特に王族と上位貴族は、前アクムス王ピッホグと共にやりたい放題でしたよ」


「ふむ」


 どうでも良いけど、そう言えばあの豚の名前はピッホグだったわ!


「確かに最初は恐怖と不安があったようですが。

 その旧体制を崩壊させただけで無く、インフラも整備されて生活水準もかなり向上していますからね。

 民達がレフィー様を歓迎するのは当然です」


 なるほど。

 だから、あんなに歓迎されてたわけね。

 まぁ、インフラの整備とかを実際に指揮して行ったのはシルヴィア達なんだけど。


「それに、シルヴィア様達の政策に加えて、この前の勇者達との一件もあって民の殆どがレフィー様の過去を知っています。

 今やレフィー様の姿を見て麗しの天使様、魔を司る救いの女神として崇めている者達もいますよ」


 まさか、そんな事にまでなっていたとは。

 ふふん! まぁ! 私の美貌に見惚れて崇めちゃうのは仕方ない。

 けど、シルヴィア達……私が知らないうちに一体どんな政策をしたんだろ?


「レフィーお嬢様。

 そろそろお時間です」


「ん、わかった」


 本当なら引き篭もって自堕落生活を送りたいところだけど。

 ガルド達を待ってる間にちょっと一息つけて、何であんなに歓迎させてたのかの謎も解けた事だし。


「ふふっ」


 大陸全土を巻き込む総力戦を始るとしよう!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る